11.リンドウin王宮 ②
「そのウェディングドレス?あぁ、そんなものがあったな。私の母上は恐らく着てないぞ。側妃だからな。碌に式も挙げずに後宮入りだろう」
はい。非常に現実的な答えを頂きました。
「それをリンドウがウェディングドレスとして着るねぇ。特に思い入れがないからな。先祖代々と言われてもなぁ。ヴェールくらい先祖代々のものにすればいいんじゃないか?」
そうよねぇ。私も先祖代々のドレスを見た時に『古っ!』って思うくらいデザインが古かったから。口に出さなくてよかったわよ、本当に。
「それじゃあ、ドレスの方は私が検討するわね♪」
これで思う存分ダラダラとデザインを検討できるー!
…と思ってたのに、強敵がいた。
「リンドウ様、どうしてあなたは油断するとそうしてダラダラするのですか?実家ではダルダル放題でしたよね?」
お付き侍女に昇格したユアンに諫められる。一人で考えたかったのに。
「リューはね、ヴェールは先祖代々のものを使えばいいけど、ドレスは新しくしていいんじゃないか?って言ってくれたの。いやぁ、こう言ってはなんだけど、先祖代々っていえば良いけど、あのデザインは古いわよ~。恥ずかしいわ。だから、私好みのウェディングドレスを検討するの!」
「リンドウ様好みですか…。まさかのダルダル・・・」
「そんなわけないじゃない!!えーと、なになに?3着検討しなきゃなの?結構な仕事量じゃないの。フン、やってやろうじゃないの!」
神父さんの前で宣誓する用、パレード用、披露宴用の3着らしい。適材適所……じゃなくて、TPOを弁えた服装がいいわよね。全部ウェディングドレスだけど。
うーん、このAラインのドレスがいい感じだなぁ。ふむふむ、ボートネックという手もあるんですな。そっかぁ、露出しそうなところを全て刺繍(レース?)にしてしまうという手もありますか。そうすれば、Aラインのドレスで前から見るとデコルテ全開というか、胸までしか布がないようなドレスでも、首までホルターネックでできるし、背中が多少開いてても、大丈夫ってことか。
「お嬢様。3着あるのですから、アイディアは3つに分けるのがよろしいかと……」
そうは言っても……ねぇ?
宣誓用は厳粛な感じで本当に露出は控えた方がいいだろうな。正直面白くないけど。Aラインのドレスっていかにも『妊娠してま~す』って感じなのよね。かといって、マーメイドラインは嫌よ。
何って採寸した日から、体型の維持に非常に気を使うから。
結婚式に向けてキレイになりたいけど……体型の維持に気を使うのはちょっと勘弁してください。
プリンセスライン?どのへんがプリンセスなのかわからないけど。
Aラインのドレスでウエストをちょっと絞った感じで。参列者が少ないから背中をガバーっと開けるのよ。た・だ・し、そこは全部金糸と緑色の糸で刺繍をしたレースで悉くカバー。ドレスもノースリーブだけど、長めの手袋した上に露出するようなところはレースでカバー。
あ、手袋は短い方がいいのかな?指輪の交換とかあったりするのかな?なるべく露出を避けてだだから、あくまでも『なるべく』
パレード用は華やかな方がいいよね。国民にお披露目なわけだし。
ほぼ座ったままだからドレスのラインとかは気にしない。そうそう、日光の下を通るわけだから日よけ対策みたいなものが必要なのよね。
「お嬢様、近侍のものが二人をガードするとともに日光からもガードしますゆえ」
国民から私たちの姿……見えるのかな?
えっと、ドレスは宣誓の時と同じでいいわよ。手袋を変えましょう。中指に通して手の甲から二の腕近くまで手袋。布とレースの比率は手の甲にいくにしたがって布の割合を増やす。
こうすれば、素手on指輪だから国民にも指輪が見えるでしょ?手袋を見ても楽しくないでしょ?
さて、問題は披露宴でのウェディングドレスよ。
多くの貴族家がいる中での服装だもの。気を使うわよ。
ドレスのデザインは宣誓の時と同じにしましょう。ただし、布の色を薄緑に。リューの瞳の色よ。
ホルターネックも魅力的なんだけど、ここはボートネックで。背中も開けません。
手袋はパレードの時のものと色違い。貴族家に指輪を見せつける。
3着とも無駄にレースだのリボンだの装飾は一切なし。シンプルイズベスト!