【番外編】
ズドォォォォォン!!
霊剣の一撃が、白面の額――その硬質な仮面ごときに深々と突き刺さった。
浄化の光が内部で炸裂し、魂を灼き尽くす激痛が奔る。
『ぎゃあああああああああああああっ!?』
空間を震わす絶叫。
白面金毛九尾の巨体が、ビクンと大きく跳ね上がった。
『お、のれぇ……っ! 人間風情がぁ……! 我が肉体に、土足でぇぇぇっ!』
白面が暴れる。
その九つの尾が鞭のようにしなり、サトルを叩き潰そうと蠢く。
腐っても大妖怪。その一撃は山をも砕く威力があるはずだった。
――だが。
「無駄です」
私が冷徹に告げ、結界の強度を上げる。
ガガガガッ!
白面の尾は、見えない空間の鎖に縛り付けられ、ピクリとも動かない。
私が「動くな」と定義した以上、この空間において彼女は石像と同じだ。
『な、なぜだぁ!? なぜ動かん!? 貴様の霊力如きで、なぜ我が止まるぅぅぅ!?』
「言ったでしょう。貴女はもう、私の掌の上だと」
私が完全に動きを封じたその隙を、サトルが見逃すはずがない。
「オラァッ!!」
サトルが剣を引き抜き、返す刀で二撃目を放つ。
今度は右肩から脇腹にかけて、巨大な狐の体を斜めに切り裂いた。
『ぐ、ぎぃぃぃぃっ!?』
「まだだ! こんなもんじゃねえぞ!」
サトルは止まらない。
三撃、四撃、五撃。
神速の連撃が、白面の体を容赦なく刻んでいく。
ザシュッ! ズバッ! ドゴォォォォン!!
抵抗できないサンドバッグと化した大妖怪に対し、サトルは憎しみを込めて剣を振るう。
「これは、お前が弄んだ人たちの分!」
『や、やめ……っ』
「これは、世界を混乱させた分!」
そして、サトルはギリッと奥歯を噛み締め、怒号を飛ばす。
「そしてこれが――レイを苦しめた分だぁぁぁっ!!」
最愛の人であり、恩人であるレイ。
その身体を乗っ取り、魂を汚し、あまつさえ同士討ちをさせようとしたこの外道を、サトルは絶対に許さない。
その怒りが霊剣の輝きを増幅させ、限界を超えた出力を生み出す。
『ひ、ひぃぃぃぃっ! 待て! 助け――』
白面の目に、初めて明確な「死の恐怖」が浮かんだ。
命乞いをしようと口を開く。
だが、サトルは聞く耳を持たない。
「地獄で詫びろ」
サトルが剣を真上へと構える。
刀身が、太陽のように眩く輝いた。
空間全ての光を集約したかのような、絶対切断の一振り。
「終わりだ」
振り下ろされる刃。
白面の絶望に染まった顔が、スローモーションのように視えた。
ザンッ!!
一閃。
世界が白く染まり、伝説の大妖怪の魂が、真っ二つに両断された。
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