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【番外編】



《幸子Side》


 ぬかった!

 白面の奴め、レイに直接精神干渉を仕掛けてきやがった!


 嫌な予感は、あったのだ。

 うちら体内妖魔と、レイとのリンクが、プツリと途切れた瞬間があったから。


 そして、うちらの居場所である霊廟れいびょう――レイの精神世界。

 そこから、うちらは出られなくなってしまった。


 正確に言えば、レイ自身が「閉心術」を使って、扉を内側からロックしてしまったのだ。


 本来、これは自身の霊力を完全に遮断し、妖魔の探知から逃れるためのステルス技術だ。

 妖魔は妖力を探知サーチするから、体内妖魔ごと気配を消せば、外の妖魔には気付かれない。


 だが、白面はその術を逆手に取らせた。

 外敵から身を隠すための術で、内なる味方を幽閉させたのだ。

 見事にしてやられた。


 この精神世界において、主導権を握っているのは、あくまで宿主であるレイだ。

 レイが閉心術を解かない限り、うちらはここから一歩も出られない。

 たとえ、うちやタオ、つぐみがどれほどの大妖魔であろうとも、宿主の拒絶には逆らえないのだ。


「レイ……」


 白面め。

 あろうことか、レイの心を直接洗脳するとは。


 確かに、レイには心の脆い部分があった。

 そこを付け込まれたのだ。

 異能での力押しではレイの「霊亀」には敵わないと、白面は割り切ったのだろう。

 だから、こんな搦め手を使ってきた。


 このままでは、レイが白面の言いなり人形になってしまう。

 奴の目的はただ一つ、自身の復活。


 現在、一条の結界によって極東の地下深くに封印されている本体を、レイの力を使って解き放つつもりだ。

 守美すみが、命を賭して封印した、あの白面を。

 その封印を、レイ自身の手で壊させる。

 それが、白面の狙いなのだ。


「くそっ……!」


 うちは拳を床に叩きつける。

 ああ、畜生、畜生!

 何がザシキワラシだ。

 何が幸運の異能力だ!

 肝心な時に、うちは無力だ!


 悔しさで、視界が滲む。


 だが、諦めない。

 このままじゃ、レイは白面の手先となってしまう。

 白面を復活させた大戦犯になってしまう。

 人々から恨まれ、石を投げられる存在になってしまう。


 そんなの、駄目だ。

 レイは、誰からも愛される存在にならないといけないんだ。

 レイは、もう十分に苦しんだんだ。

 これ以上、あの子を苦しめたくない!


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