【番外編】
……しばらくして、サトル様が夜廻から帰ってきた。
「おかえりなさい、サトル……」
「レイ!」
私を見た瞬間、サトル様はカッと目を見開いた。
え……? なに……?
彼は虚空から、霊剣を取り出す。
そして――迷うことなく、私に斬りかかってきたのだ!
「ひっ……!」
ガキィイイン!
私はとっさに、霊亀の結界異能を発動させていた。
金属音がリビングに響き渡る。
「な、なんで……? どうして急に斬りかかってきたんですか……」
「違う! レイ、おまえ……自分の異常に気付いてないのか!?」
異常……?
サトル様の顔は、蒼白だった。
額には脂汗が浮かび、瞳は血走っている。
愛する恋人を見る目ではない。まるで……得体の知れない「化物」と対峙しているような、恐怖と焦燥に満ちた形相。
こんな怖いお顔のサトル様……初めて見た……。
「どういうことですか?」
「レイ……おまえから、幸子達の霊力を全く感じない……。おまえの、体内妖魔……三体の霊力を!」
「で、でも……私、異能を使ってますよね……?」
霊亀の異能は、ちゃんと発動してるではないか。
霊力が無いなら、結界を使えないはずではないか。
「邪悪なる霊力が……おまえの体内からにじみ出ている……」
「そんなもの……ないですよ……そんなのでているなら……私も気付くし、幸子ちゃんたちだって……」
「おまえも、幸子も、気付いてないのが、異常なんじゃあないか!」
な、なにいってるの……?
わからない、サトル様が……理解できない……。
「冷静になれ、レイ。おまえ……幸子の声が聞こえてないのではないか?」
「っ!」
た、たしかに……幸子ちゃんの声、全然聞こえない……。
普段、あの子は用事も無くでてきて、よくわからないことを言ったり、じゃれてきたりしてるのに……。
あれ……?
なんで……。
どうして……。
そういえば、玉藻さんが何か……。
……。
…………。
………………。
「あれ? サトル様? お帰りなさい」
「………………は?」
サトル様、夜廻から帰ってきたみたいだ。
外、寒かっただろうな。
「こたつで温まりますか……?」
「れ、レイ……?」
「レイ? さとるん……なんで、いつもみたいに『れいたん』って言ってくれないんですか?」
「…………」
あれ?
サトル様……なんだろう。
なにか……汚い物、あるいは壊れてしまった物を、見るような目で、私を見てくる……。
やだな……その目……。
やだ……。
だってそれ……西の大陸で、サイガの家で、そんな風に……みんなから見られていたから……。
『化け物』を見る目。
「レイ。百春に診てもらおう」
「四月一日 百春様……ですか? 科学班の?」
「ああ。おまえ……トンデモナイ、ヤバい事態に、巻き込まれてる」
「さとるん……」
「大丈夫。治療すれば、きっと良くなる」
「……なんですか、それ……。私が……異常者だって言いたいんですか?」
やだ……サトル様……そんなこと言わないで……。
私の大嫌いな人達と、同じ事を……言わないで……。
「ああ。レイ、おまえは……異常だ」
「…………」
なんで、ひどい……そんなこと……ひどいよ……サトル様……なんで……。
『ああ、レイ。悲しまないで』
「玉藻様……?」
『玉藻【様】……きひっ。ああそうだよ、レイ』
ああ、安心する……。
玉藻様の声を聞いてると……とっても……安らかな気持ちになる……。
【おしらせ】
※1/9(金)
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