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落語【声劇台本書き起こし】

落語声劇「蛙茶番」

作者: 霧夜シオン


落語声劇「蛙茶番かわずちゃばん


台本化:霧夜きりやシオン@吟醸亭喃咄ぎんじょうていなんとつ


所要時間:約40分


必要演者数:5名

      (0:0:5)


※当台本は落語を声劇台本として書き起こしたものです。

よって性別は全て不問とさせていただきます。

(創作落語や合作などの落語声劇台本はその限りではありません。)


※当台本は元となった落語を声劇として成立させるために大筋は元の作品

 に沿っていますが、セリフの追加及び改変が随所にあります。

 それでも良い方は演じてみていただければ幸いです。



●登場人物


大旦那おおだんな番頭ばんとう定吉さだきちらが奉公ほうこうする店の大旦那おおだんな

    定期的に芝居しばいを上演している。


番頭ばんとう:お店の番頭ばんとうさん。

   普段の業務の他に芝居しばい手配てはいを整えなければならない苦労人。


定吉さだきち:お店で奉公ほうこうする丁稚でっちさん。

   伊勢屋いせや若旦那わかだんな芝居しばいの配役を嫌がった事で、

   急遽きゅうきょ小遣こづかいもらって代役に。


半次はんじ:町内で建具屋たてぐやいとなんでいる男。

   大旦那おおだんな容姿ようしをけなされ、芝居しばいの役をってもらえなかったことに

   怒って芝居しばいをボイコットしようとする。

   あんまり頭が良くないせいか、バカ半と呼ばれることも。


番台ばんだい:町内のお湯屋ゆや番台ばんだい


兄貴:半次はんじの兄貴分。


客1:芝居しばいを見に来た客その1。


客2:芝居しばいを見に来た客その2。


語り:雰囲気を大事に。


●配役例


大旦那・番台:

番頭・客1:

定吉・客2:

半次:

兄貴・語り・枕:




枕:芝居しばいる際にけては通れないのは配役ですな。

  皆それぞれ、りたい役をやれるのが一番いいんですが、

  どうしても人気の役ってぇものには希望が集中する。

  皆さんにも覚えがあるんじゃあないでしょうか。

  むかし、仮名手本忠臣蔵かなてほんちゅうしんぐらってぇ芝居しばいの五段目に、

  通称「鉄砲殺しの場」という場面があるんですが、ここでは早野勘平はやのかんぺい

  という役がたいそう人気で、毎回希望が殺到さっとうするとか。

  ある時なんかは、全員が勘平かんぺい役を希望してしまい、にっちもさっちも

  行かなくなってしまった座頭ざがしらは、なんと志願者しがんしゃ全員に勘平かんぺい役をって

  しまったんだそうで。

  いざ当日舞台の幕があくってぇと、そこにいたのは我こそ早野勘平はやのかんぺい

  胸を張る役者が30人ばかりずらーっと並んでいる。

  客は驚いて「なんだなんだ、全員ぜんいん勘平かんぺいって、あれは何です?」

  すると誰かが、「ああ、さしずめ、勘平式かんぺいしきでしょう。」と

  軍隊を総覧そうらんする観兵式かんぺいしきとかけた洒落しゃれが残ってます。

  そして、人気な役があれば不人気な役も当然存在します。

  セリフが少ない、カッコ悪いだなんて、敬遠けいえんされる不遇ふぐうな役ですな。

  それらの役すべてがあるからこそ、芝居しばい成立せいりつするものなのですが。


大旦那:番頭ばんとうさんや! 番頭ばんとうさん!

    ちょいとこっち来ておくれ!


番頭;は、はい旦那だんな様!

   お呼びでございますか。


大旦那:お呼びも何もないよ、ちっとも幕が上がらないじゃないか。

    お客様が大勢おおぜい押しかけて、みんなお待ちなんだよ。


番頭:も、申し訳ありません。

   急に役者が一人足りなくなりましたもので。


大旦那:役者が足りない?

    誰が来ないんだね?


番頭:伊勢屋いせや若旦那わかだんななんでございます。


大旦那:伊勢屋いせや若旦那わかだんな

    あの人は芝居好しばいずきで、いざとなると自分が先に立って皆を引っ張

    っていくっていうような人だよ?

    それが来ないってのはおかしいじゃないか。


番頭:いえ、それがどうも今度は、役が気に入らないのではないかと…。


大旦那:【溜息】

    また始まったよ…。

    そういうことのないように、今度はくじ引きで決めたんだろう?

    それで今までずっと稽古けいこしてて、当日になって急に来ないっての

    は困るじゃないか。

    役でめたって…ちょっと待っておくれよ。

    序幕じょまくはたしか、天竺徳兵衛てんじくとくべえ忍術譲にんじゅつゆずだな。


番頭:さようでございます。


大旦那:他の役ってったら…、

    あぁ、じゃあはなで出てくる、仕出しだしの船頭せんどうの役かい?


番頭:いえ旦那だんな様。

   伊勢屋いせや若旦那わかだんな芝居しばい好きでございますんで、

   もう仕出しだしの役でも役と名がつけば、色々と自分で趣向しゅこうらして

   出てくるんでございますよ。


大旦那:でもお前、あとは役って言ったら主役の天竺徳兵衛てんじくとくべえ赤松満祐あかまつまんゆう

    おじいさんくらいだよ?

    いったい何だい?    


番頭:え~それが…、

   いちばんしまいに出てくる、ガマの役なんでございますよ。


大旦那:なに、ガマぁ!?

    【溜息】

    番頭ばんとうさん…お前、あれまでくじに入れておいたのかい?

    まったく…四十しじゅうだの五十だの重箱じゅうばこみたいに無駄むだに年を重ねて、

    気がきかないにもほどがありますよ。

    あんなものはね、小僧こぞう小遣こづかいでもやってぬいぐるみの中に

    入ってもらえば、それで済むんじゃないか。

    いくら待ってたって若旦那わかだんなやしないよ!


番頭:へ、へい、申し訳ありません、旦那だんな様!


大旦那:うーん、しかしこのままには…、

    お、あれはうちの小僧こぞう定吉さだきちじゃないか。

    あれはたしか芝居しばいが好きだろ、あれにやらせな。


番頭:わ、わかりました、さっそく! 


   さだどん!

   定吉さだきち

   さだやー!


定吉:へーーい!


   へい、番頭ばんとうさん、お呼びでございますか?


番頭:ああ定吉さだきち、お前、今日うちで芝居しばいがあるのは知っているかい?


定吉:えぇへへへ、楽しみですね。


番頭:たいそう芝居好しばいずきだそうじゃないか。


定吉:へへそりゃもう!

   大好きなんですよぅあたしは!

   もう三度のおまんまを四度いただいても好きなんですよぅ!


番頭:じゃあおまんまの方が好きなんじゃないか。

   実はね、急に役者が一人足りなくなったんだよ。

   どうだ定吉さだきち、やる気は無いかい?


定吉:! えっ、今なんておっしゃったんですか番頭ばんとうさん。

   あたっ、あたしっ、役者っ、いっぺんりたいと思ってたんですよ

   、やらしてください!

   それで、誰が来ないんです?


番頭:伊勢屋いせや若旦那わかだんなが急に来られなくなったんだよ。


定吉:へぇぇ、伊勢屋いせや若旦那わかだんなさん!

   いい役なんでしょうねえ…どんな役です?


番頭:あんまり喜ばれても困るんだがな…。

   天竺徳兵衛韓噺てんじくとくべえいこくばなし忍術譲にんじゅつゆずという場面に出てくる…ガマの役だ。


定吉:がま…がまさん…がまさんってな、男ですか女ですか?


番頭:お前、ガマ知らないのかい?

   ガマガエルのガマだよ。


定吉:ガマガエルのガマ!?

   ゲロゲロっ、てアレですか!?

   ですよ番頭ばんとうさん、知り合いの小僧こぞうだって大ぜい見に来てんですよ

   。そんなものったら、さだどーんなんて呼んでくれませんよ。

   ガマどーんとかガマ吉どーんとか言われちまいます。


番頭:ははは、なんだお前、そんなこと気にしているのかい?

   大丈夫だよ、ぬいぐるみの中に入るんだから。

   誰がガマってるか、分かりゃしないよ。


定吉:あ、そうなんですか、へえ、ぬいぐるみ。

   じゃあってみようかな。


番頭:あぁやっとくれ、頼むよ。

   みんな内緒ないしょでお小遣こづかいをあげるから。


定吉:へへへ、ありがとうございます。

   あ、それじゃ番頭ばんとうさん、あの、きっかけを教えてくださいな。


番頭:ほぉ、えらいなお前は。

   きっかけを聞くところなんざ、なかなか感心だな。

   まぁ、きっかけと言ってもさして難しいものじゃ無いんだがな。

   赤松満祐あかまつまんゆうておじいさんの幽霊から、天竺徳兵衛てんじくとくべえ忍術にんじゅつゆずり受ける

   起きよ徳兵衛とくべえ、起きよ徳兵衛とくべえ大日丸だいにちまる

   徳兵衛とくべえが、

   はて心得こころえぬ、井手いで玉川たまがわ冬枯ふゆがれて、

   げに厳寒げんかんことわりや、こずえはろう風のおと

   ましらの叫ぶ声ならで、まさに我が名を呼びつるは、

   狐狸こりたぐいか、はて、何やつなるぞ。

   不思議は道理どうり、我こそはーー

   っと、ここから長いセリフのやり取りがあるんだが、

   まあそれはどうでもいいんだ。

   その忍術にんじゅつゆずり受ける時に、

   かく忍術にんじゅつを受けぐからは、足利一家あしかがいっけを滅ぼすはまたたくくうちと

   九字くじを切る。

   すると楽屋がくやからドロという太鼓たいこが、

   どろーんどろーんどろろろぉーんっと鳴って、

   いちばんしまいに徳兵衛とくべえいんを結ぶ。

   ここで大ドロって太鼓たいこの音が大きくなる。

   そしたらお前がぴょこぴょこっとい出すんだ。


定吉:はぁ~…いろいろ何だか、むずかしい責任があるんで。

   まぁ早い話がどろどろっ、と来たら、ぴょこぴょこっとい出せば

   、それでいいんですか。

   へへへ…どろぴょこってやつですね…へへへ…。

   うそつきはどろぴょこの始まり、なんてーー


番頭:【↑の語尾に被せて】

   つまんない洒落しゃれを言うんじゃないよ。


   旦那だんな様! 旦那だんな様!

   定吉さだきちがやってくれます!


大旦那:おお番頭ばんとうさん、首尾しゅびよくいったか。

    定吉さだきち、頼んだよ。

    よし、すぐにまくを開けーー


番頭:【↑の語尾に喰い気味に】

   だ、旦那だんな様!

   建具屋たてぐや半次はんじもまだ来ていないそうです!


大旦那:なに、半次はんじもかい!?

    あれも役が気に入らないとか言うんじゃないだろうね!?


番頭:いえ、半次はんじ舞台番ぶたいばんでして。


大旦那:それじゃ、役者のほうをやりたかったとか?

    舞台番ぶたいばんじゃ気に入らないってんで、ヘソ曲げて来ないのかい?

    困ったね…、

    ああ定吉さだきち、待ちな待ちな、ぬいぐるみに入るの待ちな。


定吉:え、やっぱり若旦那わかだんなさん来ました?


番頭:そうじゃないよ。

   建具屋たてぐや半次はんじうちを知ってるな?

   舞台番ぶたいばんを頼んでるんだ。

   本来は舞台番ぶたいばんは必要ないんだが、今回は旦那だんな様の意向いこうでな。

   ひとっぱしり行って、番頭ばんとうさんが呼んでるから来てくれ、

   はんさんが来ませんと幕がきませんから、よろしくお願い致します

   、と言ってな。


大旦那:道草みちくさを食うんじゃないよ、まっつぐ行っておいで!


定吉:へーーい!

   

   【二拍】


   えぇと、確かこの辺で…あ、あったあった、あの家だ。

   【戸を叩きながら】

   半さん、半さーん! はーんーさーん!!


半次:ぺぃッ、俺が行かねえもんだから呼びに来やがったな。ふんッ。

   【ドスを聞かせて】

   半さんは留守るすでぃッ。


定吉:ふふふ、留守るすでぃっ、てそこに座って煙草たばこ飲んでるじゃな

   いですか。


半次:でもいねえんだッ。


定吉:そんな事言わないで、番頭ばんとうさんが呼んでますよ。

   すぐ来てくださいって。

   半さんが来ないとね、お芝居しばいが始まらないんだって。


半次:てやんでぇッ、テメェんとこの芝居しばいなんざァな、

   こちとら行きたくもねェんだ!

   おめェにこんな事言ってもしゃあねェがな、

   言わなきゃわからねェから聞かしてやる。

   そこを開けてこっちへへぇれこっち!


   おう、こないだな、テメェんところの旦那だんな往来おうらいでばったり出くわ

   したんだ。

   こっちァ盆暮ぼんくれにくさ半纏はんてんの一枚ももらったってェんで、

   ほんの世辞せじのつもりで旦那だんな、今度ァ芝居しばいがあるそうですね、

   ひとつ、あっしにも一役ひとやくおくんなせェとこう言ったら、

   テメェんとこの旦那だんな、なんつったと思う?

   人の顔を穴のあくほどじーーーっと見やがって、


大旦那:おい半次はんじ、お前は鏡を見た事があるのかい?

    うちは化物芝居ばけものしばいはやらないんだ。

    こんど化物ばけものがふんだんに出てくる芝居しばいがあったらお前を座頭ざがしらにす

    るよ。


半次:こうぬかしやがったんだ、っざけやがって!

   こんな事言われてよ、さようでございますかってノコノコ出かけら

   れるかってんだこんちきしょうめ!

   けぇってテメェんとこの旦那だんなに言っとけ!

   建具屋たてぐや半次はんじは血のかよった人間でござんすと、ちきしょうめ。

   あんまバカにしてっと、頭から塩ぶっかけてかじっちまうぞってよ!

   ほれ、けぇったけぇった!!


定吉:わ、分かりましたよォ、そう伝えときます。


   【二拍】


   頭から塩ぶっかけてかじっちゃうだって…。

   山姥やまんばじゃねえんだからこっちは…ははは…。

   あ、番頭ばんとうさーん、言ってきました。


番頭:あぁ戻ったか、定吉さだきち

   すぐ来るって言ってたかい?


定吉:ぁー…ダメです。

   来ませんよォあれ。

   真っ赤になって怒ってましたから。


番頭:えぇ? 怒ってたって?

   いったい何に腹を立ててたんだい?


定吉:それが、旦那だんなにですね、

   化物芝居ばけものしばいの時はお前を座頭ざがしらにする、って言われたんですって。

   それで怒って来ないんですよ。


番頭:何を言ってるんだあいつは…ものが分からないねぇ。

   あの半次はんじはね、うち一軒いっけんでおまんま食べてんだよ。

   うちの旦那だんながしくじっちまったら人間の干物ひものが一枚できあがるって

   、そういう理屈りくつが分からないかねあいつは…。


定吉:いい年して、あきれたもんですねえ。


番頭:しかしね、舞台番ぶたいばんを置けってのは旦那だんなの命令なんだよ。

   ここで半次はんじに来てもらわないと、あたしが小言こごとをくらっちまうんだ

   。

   なんとかして引きずり出す手立てだてはないかね…。

   あ、そういえばこの間ちょいと小耳こみみにはさんだんだがね、

   半次はんじ小間物屋こまものやのみぃぼうにバカなれ方をしてるそうじゃないか。


定吉:へへへ、そうなんですよ、よく知ってますねえ番頭ばんとうさん。

   さすが地獄耳じごくみみだ。

   そうなんですよォ、もうバッカれのベタれ。

   もうね、半さんにみーちゃんって一言ひとこと言っただけで鼻の下のばして

   よだれたらしちゃう、だらしがないったらないや。

   みんな言ってますよ。

   あれは足袋屋たびや看板かんばんだって。


番頭:なんだいその、足袋屋たびや看板かんばんって。


定吉:かたっぽだけできている。


番頭:うまいなぁこらぁ。

   なるほど、足袋屋たびや看板かんばんかたっぽだけできているってか。

   ははは…じゃあ、みぃぼうのほうはまるっきり相手にしてないのか。


定吉:当たり前ですよ。

   みぃちゃんは半さんの事なんか気にしてませんよ。


番頭:そりゃそうだろうな。

   …そうか!

   じゃあ定吉さだきち、もういっぺん半次はんじうちへ行ってな、

   今そこで小間物屋こまものやのみぃちゃんに会ったと、一言ひとことポーンとぶつけて

   みろ。

   野郎ノコノコとい出して来るからな。

   俺の事なんか言ってたかくらいの事は聞くだろうから、

   「あら小僧こぞうさん、どこ行くの。」と言うから、

   「今日はおたなでもってお芝居しばいがあるから、半さんを呼びに行くとこ

   ろ」

   「あら、半さんもお役者様?」

   「いや、半さんは役者じゃなくて舞台番ぶたいばん」ってこう言え。

   あいつ怒るからな。

   「なんだって余計なことしゃべるんだ」ってな。

   そしたら、

   「みぃちゃんめてたよ。素人しろうと白粉おしろいぬって舞台の上でギクリバッ

   タリやるのはいい形じゃない。

   そこを半さんは舞台番ぶたいばんと逃げたところが、あの人の利口りこうな所。

   いきでいなせな半さんの舞台番ぶたいばんをひと目見たいわ」

   っておたなの方へけ出してったけど、半さんどうする、

   と、こう言ってみろ。

   あいつ間違いなく出てくる。


定吉:うまいなぁ…さすが古狸ふるだぬきだなぁ…。

   ぁいや、きっと来ますよ。

   じゃあ行ってきます!


   【二拍】


   これは面白おもしろくなってきたぞ~。

   半さん、半さーん!


半次:けっ、まだそんなとこにいやがったのか!

   けぇれってんだよ!!


定吉:今ねー!


半次:けぇれよ!


定吉:そこでさー!


半次:けぇれ!!


定吉:小間物屋こまものやのみぃちゃんに会ったよ!


半次:【態度が180度変わる】

   こっちへへぇれ。

   はははは…今なんつったおめェ。

   こまものやのォ、みぃぼうにィ、あったのかァ?

   んへァ…


定吉:大丈夫かい半さん!?

   ホントによだれたらすんだぁ…。

   あぁうん、会ったよ。

   小僧こぞうさん、どこ行くのーって言うからね、

   今日はおたなでもってお芝居しばいがあってね、半さん呼びに行くところ、

   ったら、あら、半さんもお役者様?って言うから、

   半さんは役者じゃなくて舞台番ぶたいばん、って言っといたよ。


半次:…こンのおしゃべ小僧こぞう、ろくな事言わねえな!

   なんだって舞台番ぶたいばんだなんて、間抜まぬけな事言いやがったんだ!


定吉:でもね、みぃちゃんめてたよ。


半次:何が?


定吉:素人しろうと白粉おしろいぬって舞台ぶたいの上でギクリバッタリやるのは、

   あんまりいい形じゃない。

   そこを半さんは舞台番ぶたいばんと逃げたところが、あの人の利口りこうな所。

   いきでいなせな半さんの舞台番ぶたいばんをひと目見たいわ。

   って今おたなの方へけ出してったけど、どうする半さん?

   舞台番ぶたいばんだったらね、吉太きちたよしさんもみんなやりたがってたよ。

   珍しいからって。

   どうする、半さん?

   ね、どうするの?

   来るの? 来ないの?


半次:ちょっと待て、この野郎!

   人の急所きゅうしょえぐりやがったなぁちきしょうめ。


   ………行く。

   行くよォおめェ、当たり前じゃねぇか。

   そらそうだ、みぃぼうの言う通りだ。

   素人しろうと白粉おしろいぬって舞台ぶたいの上でギクリバッタリやったって、

   いい形なもんじゃねえ。

   っお俺ァね、舞台番ぶたいばんをやりてえなと思ってたんだよォ、ハハハ…。


定吉:ハハ…なるほど、うまく持ち上がった。


半次:?なんでぇ、持ち上がったってな。


定吉:んんん何でもないよぉ!

   っじゃあさ、すぐ行こうよ!


半次:ちょっちょっ、ちょっちょっ、ちょっと待ちな。

   おぇは舞台番ぶたいばんてものを知らねえだろうがな、

   舞台番ぶたいばんってェのは花道はなみち本舞台ほんぶたいに、畳半畳たたみはんじょうだ。

   ここに威勢いせいよくクルっとケツをまくって座る。

   んでもって、客がさわいだり赤ん坊が泣いたりしたら静かにさせる、

   これが舞台番ぶたいばん役割やくわりだ。

   いま言った通り、カッと威勢いせいよくケツをまくるんだ。

   フンドシが見えらァ、フンドシが。


定吉:ふんふんふん…フンドシがね。


半次:並のフンドシじゃあしょうがねェだろ、な。

   で、今ひょいと考え付いたんだ。

   去年の祭りに神輿みこしかついだ時、俺がしてたフンドシ覚えてるか?


定吉:【手を叩く】

   覚えてるよ半さん、アレ目立めだってたねぇ、あの真っ赤な奴。


半次:おう、緋縮緬ひぢりめんのフンドシだ。


定吉:へェ…あれ、緋縮緬ひぢりめんっての。

   あれ良かったよォ、半さんがいっちばん目立めだってたよ!

   あの真っ赤な奴、いいね!

   じゃ、あれして行こうよ!


半次:ん~~…ちょいとこのところ懐都合ふところつごうが悪くてなァ、

   しちに入れちまったんだよ。


定吉:あら~…フンドシまでしちに入れちゃうの?

   じゃあ、入れ替える物も無いの?


半次:何にもねえんだ。

   台所にかまが一つあるっきりよ。


定吉:いいじゃない、フンドシの入れ替えにおかまなんぞよく似合にあうよ。


半次:ませたガキだなこの野郎。

   よーし、わかったわかった!

   いいか、いいか!?

   必ず行くから、みぃ坊を帰しちゃいけねェぞ!

   ぅかったな!!


語り:さて半次はんじ、どこをどう都合つごうを付けましたか、

   質屋しちやから緋縮緬ひぢりめんのフンドシを受け出して来るってぇとこいつを

   、まっつぐおたなや行きゃ別にどうという事もないんですが、

   そこはもう剽軽者ひょうきんものでございますから、ちょいとひとっ風呂ぷろ

   浴びて色男に、なんてんで町内のお湯屋ゆやけ込んだんでございます。


半次:おう、邪魔するぜィ!


番台:へぃらっしゃい!

   あれ、半さんじゃねえか?

   何だい、今時分いまじぶん


半次:ああ、たなでもって芝居しばいがあるんだよ。


番台:ああ、聞いてるよ。

   半さんもお役者さんなのかい?


半次:冗談じょうだん言うなよォ。

   役者なんぞにおなんぞ付けねえでくれ!たてまつらねえでもらいてぇな!

   素人しろうと白粉おしろいぬって、舞台ぶたいの上でギクリバッタリやるってなぁ

   あまりいい形じゃねえ。

   こちとらいき舞台番ぶたいばんに逃げたんだ。


番台:舞台番ぶたいばん

   へぇ、あの旦那だんなもまたずいぶんるねぇ。

   しかし半さん、舞台番ぶたいばんにしてはちょいとなりが地味じみじゃねえかい?


半次:へへ、確かになり地味じみよ。

   地味じみだけど一箇所いっかしょ派手はでな所があって、

   そこでオチを取ろうってんだ。

   おうおう、どうよこれこれこれこれ!

   これを見てくれってんだよ!

   よっ!

   どうだよ、派手はでだろこれァ!


番台:おぉこら派手はでだ、真っ赤じゃねぇか。

   見事みごとなもんだ、こいつァ緋縮緬ひぢりめんだな!


半次:おっ、分かるかい?

   へへへ、町内ちょうない広しといえども、これだけのものを持ってる奴ァいね

   えだろ!


番台:ああ、いねえだろうな。


半次:ものがいいんでよ、ずっしり目方めかたがかかってんだ!


番台:たしかに、こいつはなかなか重そうだ。


半次:本物でぇ!


番台:おう間違いなく本物だ。

   いい品だ、染め直せばヘコおびにでもなる。


半次:俺ァ、女子供に見せて驚かしてやろうってんだよ。

   物はしっかりしてるんだ、うそだと思うんならちょいとくわえて

   引っ張ってみてくんな。

   チリチリっと音がしてちぢむからよ。


番台:嫌なこと言うね。

   誰がくわえるってんだよ。


半次:おっそうだ、すまねえけどあぶらかみ貸してくんねぇか?


番台:いや、そんなもの置いてないよ。

   どうしようってぇんだい?


半次:これだけの物だ、盗まれたら芝居しばいに行けなくなっちまう。

   あぶらかみに包んで頭の上にくくり付けるんだよ。


番台:そんな川越かわごしみたいなことしなくても、

   大事だいじなものなら番台ばんだいあずかってやるよ。


半次:おう、そうしてくれるかい!?

   滅多めったなとこへ置いちゃいけねえよ。

   うしろの神棚かみだなかどっかへ上げといてくんな!


番台:バカ言っちゃいけないよ。

   そんなの聞いた事もねえ。


語り:なんてやってる間にも舞台ぶたいの方では、半次はんじが来るのを今か今かと

   待っていた番頭ばんとうさん、ついにしびれを切らして定吉さだきちを呼び立てまし

   た。


番頭:定吉さだきち定吉さだきち


定吉:へーい番頭ばんとうさん、ご用ですか?


番頭:ご用か何かじゃないよ、半次はんじはどうなってるんだい?

   まだ来ないんだ、お前もう一度行って見てきておくれ!


定吉:えっ、まだ来ないんです?

   ほんとしょうがないですね、行ってきます。


   【二拍】


   まったくいい年して世話せわが焼けるなぁ。

   どうしちゃったんだろう、来るって言ってたのに。


   半さーん、半さーん!


   あれ、留守るすだ。

   あ、すいません、おとなりのおばさん、半さん知りませんか?

   えっ、手ぬぐいぶら下げてお湯屋ゆや行った?

   あららら…ははは…色っぽいんだからなぁ。

   あの顔、お湯で洗って綺麗きれいになると思ってんのかな?

   顔の造作ぞうさく間違まちがっちゃってるんだからさ、どうしようもないんだよ。

   そういう事が分からないんだよなぁ半さんて人は。

   だからみんなにバカはん、バカはんって呼ばれるんだよ。


   あ、こんちわー!

   建具屋たてぐやの半ちゃん来てますかー?


番台:おぅ小僧こぞうかい。

   ねっ返りのはんならほら、えーと、左から四つ目の、

   般若はんにゃってあるケツが、半次はんじのおケツだ。


定吉:あ、あれが半さんのおケツ?

   半さんのおケツで半ケツ?

   毛むくじゃらの汚いおケツだよ。

   山ん中で出したら鉄砲で撃たれちまうね。

   これででもわずらいかけてたら半””のおケツだよ。

   しかも男のくせ糠袋ぬかぶくろ使って…おしゃれしてどうしようってんだろ。

   って、じっくり観察してる場合じゃないや。   


   ちょっと半さん、何ぐずぐずやってんだよ!

   早くしないと、みーちゃん帰っちゃうよ!


半次:!あっあっ、ダメだッ帰しちまっちゃあ!

   す、すぐ行くからよッッ!


語り:さぁ半次はんじ、みぃ坊の名前がポーンと耳に飛び込むと、

   あわてて湯からポーンと飛び出した。

   体をひまもあらばこそ、着物ひっかけてダーッとおもてけ出す。

   肝心かんじん番台ばんだいあずけてあるフンドシもすっかり忘れる有様ありさま


半次:いけねぇいけねぇ、急がねえとッ!


兄貴:おう、半次はんじじゃあねぇか!

   どうした、頭から湯気ゆげェ出してケンカか?


半次:あっ、こいつァ兄貴!

   いや、ケンカじゃねえんですよ、たなでもって芝居しばいがあるんでさァ!


兄貴:おう聞いてるぜ!

   俺も後で行ってみようかなって思ってんだ。

   てェ事ァ半次はんじ、おめえ役者かい?


半次:冗談じょうだん言っちゃあいけねェよ!

   兄貴のめぇだけどね、素人しろうと白粉おしろいぬって、

   舞台ぶたいでギクリバッタリやるのはあまりいい形じゃねえ。

   こちとらいきに、舞台番ぶたいばんと逃げたんだ!


兄貴:ほぉ舞台番ぶたいばんか、オメェにしちゃあ上出来じょうできだな。

   ?おい、舞台番ぶたいばんにしちゃあ、ちょいとなりが地味じみじゃねえか?


半次:確かになりァ地味じみですよ、なりァ。

   でもね兄貴、一箇所いっかしょだけ派手はでな所があって、

   そいつでオチを取ろうってんだ。

   まぁまぁまぁ見てくれ見てくれよこいつを!

   ぃよッ、とォ!!


   どうだぃ兄貴、これよ!

   派手はでだろ?


兄貴:ぉ、おいおいよせよ、そういうのを往来おうらいで出すのは。


半次:へへへどうでぃ、立派りっぱなもんだろ、兄貴!


兄貴:ま、まあその、立派りっぱ、まぁそのだから、よくわかったから、

   もうやめときな、そのぁ、早くしまえ。


半次:町内ちょうない広しといえども、これだけのものを持ってる奴ァいませんぜ!

   目方めかたもあるんでさ!


兄貴:そ、そらぁ、町内どころじゃねえよな。

   それだけのものったら、おめぇ、八丁はっちょうまわり探したって、

   いやしねえよ。

   わ、わかったわかった、だからそういうのはしまっとけって…。


半次:んな事ァ言わねえでよう!

   もっと顔をそばへ持ってきて、よく見てくれよ!


兄貴:だ、誰が顔持ってくかい!


半次:くわえて引っ張ってみてくれよ!


兄貴:バカ言うんじゃねえ!

   誰がくわえて引っ張る奴があるかよ!


半次:こいつで俺ァ町内ちょうないの奴らをびっくりさせてやるんでさァ!


兄貴:んなもん見たら、気の弱いは目を回しちまうぞ!


半次:わかったよォ!

   へへ、兄貴、待ってるからねー!


   【二拍】


兄貴:バカだねあいつァ!

   ケツまくったままけてったよ。


   【二拍】


定吉:番頭ばんとうさーん!

   半さん連れて来ましたよー!!


大旦那:おぉやっと半次はんじが来たか!


番頭:じゃあすぐ幕を上げとくれ!


語り:さあ最後の面子めんつ半次はんじ舞台ぶたいけ込むや、すみに設置さ

   れてる半畳はんじょうに飛び乗り、小手こてかざして客席をぐるりと見渡す。


半次:みぃちゃんみぃちゃんみぃちゃんみぃちゃんみぃちゃんみぃちゃん

   みぃちゃんみぃちゃんみぃちゃんみぃちゃん………、

   【↑だんだん尻すぼみになっていく】


定吉:【つぶやく】

   うわぁ…血眼ちまなこになって探してるよ。

   これ、バレた時にやばいんじゃないの…?

   

半次:…チッ、いねえや…けえっちゃったか…。

   あんの与太小僧よたこぞう、あれほどけえしちゃいけねえって言っといたのによ

   …!

   何のために俺ァこんだけの苦労をしたんだかわからねえや、

   ちきしょうめ、後で張り倒してやろうか?

   くやしいが…まあいいや。

   他の女の子に見てもらおうじゃねえか。


   …ダメだ、みんな芝居しばいの方を見てやがる。

   ちったぁこっちを見ろっての、こっちを、ちきしょうめ。

   こちとらァ、今日は色々とぜにがかかってんでぇ。

   ん”、ん”っ、ん”ん”ッ!

   さぁさぁさぁ、あんまさわいじゃいけねえよ! 静かに静かにッ!

   さぁさぁさぁ、さぁー静かに静かに、し ず か に!


客1:うーむ、いやぁなかなか見せてくれるじゃありませんか。

   恐れ入りましたね。


客2:確かに、これだけせてくれるってのは久しぶりだ。

   大概たいがいどっかで、つまづいたりするもんなんですがね。


客1:役者がいいよ。

   あの赤松満祐あかまつまんゆうは、誰がやってるんです?


客2:ああ、駿河屋するがや若旦那わかだんならしいよ。


客1:えっ、駿河屋するがやの!?

   へええ、達者たっしゃなもんだねえ。

   玄人くろうとはだしってぇのはこの事だ。

   じゃあこっちの天竺徳兵衛てんじくとくべえは?


客2:聞いて驚け。

   …なんとげんちゃんだ。


客1:えっげんちゃん!!?

   げんちゃんがこんなにけちゃったのかい!?

   いや驚いたねぇこらぁ…、たいしたもんだよ、うん。

   楽しませてくれるんだけど、ちょっとそうぞう々しいね…なんです?


客2:ああ、舞台番ぶたいばんが騒いでるんだよ。


客1:舞台番ぶたいばんてな、客がさわいだり、子供が走り回ったりしたら静かにさせ

   る役だろ。

   客が静かに舞台ぶたいをじーっと見てるのに、一人でぱーぱーさわいで

   どうするんだ。

   たしか、舞台番ぶたいばんは…。


客2:建具屋たてぐや半次はんじだよ。


客1:半次はんじィ? あんのバカ半!

   あきれかえった奴だ、ほんと物が分からないんだからね、あれは。

   ……ん? んんん?

   お、おい、ち、ちょっと、ちょっと見なさい舞台番ぶたいばんを、

   あの、バカ半を。


客2:いやいや、あんなもの見たってしょうがないよ。


客1:い、いやね、目の錯覚さっかくかね、ほら、ちょっと見なさいよ。


客2:なにが…っって、ぉおぉおぉお!!?


   【三拍】


   本物かね? あれ。


   糝粉細工しんこざいくかなんかでこしらえたんじゃないのあれ?

   あ、ほんもの…ぶっ、ははは…。

   ははぁ、あいつぁアレを見せたいばっかりに、

   さっきからぱーぱーぱーぱーさわいでるのかい?


客1:なるほどねぇ、あそこまでやるんならいきなもんだ。

   せっかくのご趣向しゅこうだ、めてやろうじゃないか!


客2:いよッ! 半次はんじ


客1:半ちゃん! ご趣向しゅこう! 日本一にっぽんいち


客2:見事みごと鎌首かまくびッ!

   大道具おおどうぐッ!


半次:おッ、やぁっと俺の了見りょうけんが上がりやがったな!

   へへへ、ありがたいねェ!

   そうこなくっちゃあよ!!

   

語り:すっかり調子ちょうしに乗った半次はんじ

   ズルズルズルズル前にせり出してくる始末しまつ

   さあ客席きゃくせきはざわつく。

   笑い出すのもあれば女子供おんなこどもは逃げ出すのもいるで

   すっかり混乱してしまうが、そこは素人芝居しろうとしばいの悲しさ、

   自分のセリフを言うのが精一杯せいいっぱいで、なんで客席きゃくせきがざわついているの

   か気が付かない。

   それでも芝居しばいはトントントントン進み、いよいよ忍術譲にんじゅつゆず

   楽屋がくやからおおどろの太鼓たいこが、

   どろーんどろーんどろろろぉーんっと鳴りひびく。

   天竺徳兵衛役てんじくとくべえやく精一杯せいいっぱい気取きどったんですが、肝心かんじんのガマが出て来ない。


大旦那:おい、ガマだよ、ガマガマ。

    ガマが出て来なくちゃまくろせないよ!

    早くガマを出しな!


番頭:しょうがないな、定吉さだきちは何をして…ってあ、

   こんなとこにうずくまっていて、おいおいさだ、何をしてるんだい!

   あたしが言っただろう。

   どろどろっと大きく鳴ったら出るんだって!

   今が出時でどきだよ! 早く出なさい!


定吉:いぇ…出られませんん…。


番頭:そんなこと言ってないで、早く出なさい!


定吉:【↑の語尾に被せて】

   いぃえ番頭ばんとうさん、出られません。

   あそこで青大将あおだいしょうねらってますから。




終劇



参考にした落語口演の噺家演者様等(敬称略)


三遊亭小遊三

柳家小三治(十代目)

三遊亭圓生(六代目)



※用語解説



糝粉細工しんこざいく:うるち米を洗って乾かし、ひいて粉にしたもの。上質のもの

     を上糝じょうしん上用粉じょうようこという。





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