プロローグ RPGの『勇者』に憧れたことはありますか?
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少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです、よろしくお願いいたします。
剣に魔法になんでもござれの最強な性能。
有り余る富と名声に、傍らにはとてつもなく可愛い女の子たち。
あなたは、RPGの『勇者』に憧れたことはありますか?
もし、あると答える者がいるのならば、月城 琥珀 改め、勇者レクスは全力で忠告するだろう。
勇者なんて、まともな人間が憧れるようなものじゃない。
聞こえだけは華々しくとも、とんでもなくハズレ職業なんだぞ! と。
「ありがとうございます、勇者様!」
涙ぐみながら感謝を示す村人たちに、金髪碧眼のそこそこ顔の良い男……即ち勇者レクスは、まるでお手本のような笑みを浮かべて、
「トンデモナイ。 ミンナガブジデ、ホントウニヨカッタ」
と、死んだ目かつ見事な棒読みで応えた。
なにせ、勇者業はとんでもなく激務だったのだから。
最後に休んだのなんて半年以上も前である。
勇者の図抜けた耐久力がなければ、レクスはまず間違いなく過労死していたことだろう。
そもそも、普通はこうだ。
勇者は死闘の末に、見事魔王を打ち倒しました。
たくさんの褒賞金を貰って、最強に可愛い女の子と幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし……で、お仕舞い。
英雄譚とは概ねそう言うモノだ。
ただ、現実は無情だった。
魔王を倒したと思ったら、何故か各地で魔物が大量発生した。
倒せど倒せど涌き出てくるのは、勇者にとっては雑魚でも、普通の人間種にとっては驚異となる程度には強い中位魔物。
お陰でレクスは国中を駆けずり回る羽目になり、本日遂に驚異の二百連勤を達成してしまったのである。
……全くもって嬉しくない。
魔王を倒したら、田舎でのんびり暮らすんだ!というささやかな夢は叶わず、前世のサラリーマン時代に比毛を取らないレベルの社畜生活を強いられている。
一体、俺は何をどこで間違えた?
「田舎でのんびり暮らしたいなぁ……!」
勇者には不似合いな、しかし漏れ出てしまった切実な呟きは、村人たちの歓声によって呆気なく掻き消された。
勇者レクス
→前世から続く社畜っぷりを嘆いている最強の勇者。
可愛い女の子と田舎でのんびり暮らしたい。
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