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解錠令嬢と魔法の箱  作者: アシコシツヨシ


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54/114

54 任務翌日の昼食にて

 サイギー子爵邸、家宅捜索任務の翌朝。

 私はいつも通り、レリック様と地下道を通って騎士棟へ行きました。


 午前中は体力作りの為に散歩をして、お昼は二階の食堂で食事を取ります。


「今日から俺もここで食べる。」


 エド団長が私の向かいの席に座りました。

 確か今日から復帰と聞いていました。


「エド団長、そこは自分の席なんで、隣に移動してくださいよ。」


 座る席は特に決まっていませんが、何となく皆、同じ席に座っていました。

 私の向かいは、いつもシアーノが座っていました。


「知らん。早い者勝ちだ。あと、俺の方が団長と偉い。従え。」

「ったく、来て早々権力ちらつかせやがって。もう暫く牢にいれば良かったんですよ。」


 シアーノは文句を言いながら、アレク団長の向かいに座ると、不機嫌そうにパンを齧りました。


 シアーノの口の悪さには全く気に留めず、エド団長が話し掛けてきました。


「セシル嬢、迷惑を掛けたな。レミーナの事も感謝する。何かあれば必ず駆けつけると約束しよう。」

「エド団長、ありがとうございます。早くレミーナ嬢に会えると良いですね。」


 二人の幸せを願わずにはいられません。

 微笑むと、エド団長が目を細めて優しげな笑みを返してくださいました。


「ああ、有り難う。」

「エド団長が、レミーナ嬢以外の令嬢に笑いかけるなんて、初めて見ました。」


 パンを手に持っていたバルト副団が驚いています。


「エドの事はもう良いよ。言うタイミングが遅れたけれど、セシル嬢、昨日はお疲れ様。本当に助かったよ。もし出来る事があれば力になるから、何でも言って。」


 二つ目のパンを手に取って微笑むアレク団長を見て、思い出しました。


「あの……早速で申し訳ないのですが、実は、美丈夫ファンクラブを設立した公爵令嬢のジェーン様から、会員の為に、アレク団長の情報が欲しいとお願いされているのです。何でも構いませんので、宜しければ教えて頂けませんか?」


 何でもと言われて、早速お願いするのは、厚かましかったでしょうか。

 アレク団長の顔色を窺うと、にっこりと微笑まれました。


「そんな簡単な事でいいの?全然構わないよ。私に興味を持ってくれる令嬢の為なら、とっておきを教えよう。」


 アレク団長の水色の瞳がキラリと光った気がしました。


「あの、差し支え無い事で大丈夫ですよ。」


 アレク団長は隠密ですから、あまり自分の情報を教えたくない筈です。


「私の下着は常に赤色だよ。」

「え!?」


 まさか、男性の下着の色を聞くとは思いませんでした。

 しかも、赤なんて衝撃です。


「アレク、セシルに何を教えている。食事中にする話じゃないだろう。」


 レリック様が珍しく怒っています。

 確かに食事中にする話ではありませんが、驚きの方が勝ってしまいました。


「赤、なんてあるのですか?下着は白のシルクしかないのだと思っていました。でも、服に様々な色があるのですから、下着に色があるのも当然ですよね。」


 聞いておいて、一人で納得してしまいました。


「白の……」


 レリック様が呟いて、急に皆さん無言になりました。

 アレク団長は、考え事をするように、口を手で覆っています。

 バルト副団は、無言で明後日の方向を見ていました。

 シアーノは、両手で顔を覆って下を向いているので、顔は見えません。

 エド団長は、目を閉じて瞑想状態です。


 私の知識の無さに、皆さん呆れているのでしょうか?


 実家や王宮で侍女が用意してくれる下着は、全て白のシルクでした。

 だから、てっきりそれしかないのだと思い込んでいましたが、違うようです。


「お前のせいだぞアレク。出来るなら、今すぐ全員の記憶を消し去りたいところだ。」


 レリック様が物騒な事を言いながら、物凄くアレク団長を睨んでいます。


「ごめんて。不可抗力だよ。」


 アレク団長は苦笑いしながら、コホンと咳払いをしました。


「まあ、私からはこれくらいかな?嘘はついていないよ。ね、エド。」


 アレク団長から同意を求められたエド団長が目を開けて、顔をしかめながら頷きました。


「思い出したくもないが、確かにアレクはいつ見ても赤なのは間違いないな。」


 バルト副団とシアーノも無言で頷いています。

 皆さん、そんなにお互いの下着を見る機会があるのでしょうか?とは聞きません。


「いつも僕は黒い騎士服だから、せめて下着はお洒落しようと思ってね。」

「なるほど。意味があったのですね。」


 アレクセイ様が黒騎士団団長とは言えませんが、下着までお洒落に気を遣われているなんて、ファッションに興味津々な令嬢方は食い付きそうです。


「でも、本当に、下着の色なんて、お教えしても宜しいのですか?」

「勿論。あと、バターロールがパンの中で一番好きだね。」

「おい、アレク。バターロールの話だけで良かっただろう。」


 アレク団長の令嬢に対するサービス精神には頭が下がりますが、レリック様の指摘に、内心、ちょっと共感したのでした。


 下着の情報についてどうするかは、ジェーン様の判断にお任せするとして、教えて頂いた情報は全てお手紙でお伝えしました。


 アレク団長、いえ、アレクセイ様の情報は、一ヶ月後の会報誌に、しっかりと掲載されました。


 バターロールは勿論ですが、赤い下着まで爆発的人気になるなんて……。


 その時は、思いもしませんでした。

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2023年12月8日にOFUSEサイトにて、レリックとセシルのイメージイラストを投稿しました。 宜しければご覧くださいませ。 OFUSEサイト・アシコシツヨシ
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