表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
解錠令嬢と魔法の箱  作者: アシコシツヨシ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/114

33 陣の描き直し

 シアーノはベルトについているポーチから少量のインクが入った小瓶を取り出しました。

 その小瓶の中に、陣が描かれた小さな紙を入れました。


「では、レリック団長から登録して下さい。セシル嬢は同じようにやって貰いますので、見ていて下さい。」

「分かりました。」


 ワクワクしながら、レリック様を観察します。

 シアーノの持っているインク瓶を受け取ったレリック様が、インク瓶の中に人差し指を入れて、指を抜きました。

 不思議な事に、指にはインクが全然付いていません。


「レリック。」


 レリック様は瓶の口に向かって声を出すと、瓶の蓋を閉めて、シアーノに渡しました。


「次はセシル嬢です。瓶の中にある陣を軽く押して下さい。登録ボタンのようなモノです。その後、指を抜いて、声を登録します。陣を描くインクは特殊で、手には付かないので、安心して下さい。」


「分かりました。」


 シアーノからインク瓶を受け取りました。


 瓶の中に人差し指を入れます。

 陣が描かれた紙を押して、瓶から指を抜きました。

 濡れた感覚もありませんし、匂いもありません。

 本当に、全然インクが指に付いていません。


「セシル。」


 瓶の口に向かって声を出してから、蓋を閉めて、シアーノに渡しました。

 シアーノは、インク瓶のインクを別の瓶に少し移して、バルト副団に手渡しました。


「では、陣を描き直します。私はこちらを、バルト副団は向こうをお願いします。」

「了解。描き終えたら連絡します。」


 バルト副団は陣に入ると、床を二回ノックしました。

 陣が光ったかと思うと、バルト副団の姿は消えていました。

 シアーノは筆を手にして、陣の側にしゃがんでいます。

 どんな風に陣を描くのか気になります。


「シアーノ、近くで見ても良いですか?」


 ワクワクした気持ちでシアーノにお願いすると、レリック様の手が、私の肩に乗せられました。


「セシル、シアーノの邪魔をしてはいけない。」


 確かに、レリック様の言う事は尤もです。

 私のせいでシアーノが間違えてもいけません。


「分かりました。」


 残念ですが、諦めます。


「レリック団長、自分は大丈夫です。セシル嬢、近くにどうぞ。」


 シアーノが親切にも、許可してくれました。


「シアーノ、有り難うございます。」


 お言葉に甘えて、シアーノの隣にしゃがみました。

 じっと見つめ過ぎてしまったのかもしれません。

 シアーノはクスリと笑ってから、私に陣を描く説明をしてくれました。


「これは、陣を描く為の特殊な筆です。陣を描くと簡単には消えません。陣を消すには特殊な水を使います。」


 シアーノは、筆と水の入った小瓶を、ポーチから出して見せてくれました。

 筆は、どこにでもある筆のようですし、小瓶の水は無色透明で、ただの水にしか見えません。


「ここに、二人の名前を書きます。」


 陣の空白部分をシアーノが指差しました。


「その辺りは、錠前が見えていた所です。」

「セシル嬢は鍵を掛ける場所に、錠前が見えるようですね。」


 そう言いながら、シアーノはサラサラと文字を描いていますが、ちっとも解読出来ません。


「これは、何語なのですか?」

「陣語、でしょうか?陣の為だけの文字です。」

「そんな文字が存在するなんて、知りませんでした。」

「普通に生活していたら先ず、お目にかからないでしょうから当然です。」


 シアーノの言葉にハッとしました。

 陣の存在自体、公には明かされていないのでした。


「シアーノ、バルト副団です。陣の描き直しが完了しました。どうぞ。」


 シアーノの腕輪に、バルト副団から連絡が入りました。


「バルト副団、シアーノです。こちらも完了しました。早速転移を実行してみます。どうぞ。」

「了解、待機します。以上。」


「では、バルト副団の方も完了したようなので使ってみましょう。レリック団長とセシル嬢限定になっているので、自分はどちらかと一緒ではないと戻れないのですが……。」


 シアーノが、チラリとレリック様を見ました。


「では、私がシアーノと戻ろう。セシルは先に行ってくれ。」

「はい。」


 レリック様に言われましたので、私から陣に入りました。

 二回床を足でノックすると陣が光って、レリック様の個室に無事転移出来ました。


「レリック団長、バルト副団です。無事、セシル嬢と合流しました。以上。」


 待機していたバルト副団が、レリック様に連絡して下さいました。

 その後、レリック様がシアーノの背後に立って、シアーノの両肩に手を乗せた状態で、陣に現れました。

 二人を見て、気がつきました。


 今朝、レリック様と陣に入った時、何となく向かい合ってしまいましたが、向かい合う必要は無かったのです。

 向かい合ったから、抱き合う形になってしまったのでしょう。


 レリック様も後ろを向くように言って下されば……いえ、異性に不慣れな私と違って、レリック様にとっては、私が前を向こうと、後ろを向こうと大差無いのかも知れません。

 それはそれでどうなのでしょう。


 女性として、私はあまりにも魅力がないのでしょうか?

 婚約破棄された位ですから、そうなのかもしれません。

 女性としての魅力って何でしょうか?

 機会がありましたら、どなたかに聞いてみましょう。


 ああ、いけません、今は仕事中でした。

 余計な事は後にしなければなりません。


「では、最後に私が入って試してみます。」


 バルト副団が陣に入って、床を二回ノックしましたが、陣は無反応でした。


「では、自分も。」


 シアーノも陣に入って試しましたが、結果は同じ、無反応でした。


「これでこの陣は、レリック団長とセシル嬢限定に描き変わりました。」


 シアーノにお墨付きを貰って、レリック様が頷きました。


「では、それを踏まえてエドの陣を発見した時、どう対処するか、だ。」


「それは青騎士団の執務室で……いえ、エド団長に情報が漏れる可能性を考えると、黒騎士団が良いかも知れません。陣の解錠や、描き直しについても、アレク団長と共有するべきでしょう。」

「バルト副団の意見は尤もだ。だが、そろそろ昼時だ。黒騎士団へは午後からにしよう。」


 私達はレリック様の個室を出て、食堂へ向かいました。


 騎士棟の食堂は初めてです。

 どんな場所なのでしょうか。楽しみです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2023年12月8日にOFUSEサイトにて、レリックとセシルのイメージイラストを投稿しました。 宜しければご覧くださいませ。 OFUSEサイト・アシコシツヨシ
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ