非現実(ゲーム)です。
第2話は建物探索!未だに犯人の目的が分からない中最後には物語がついに動き出す。
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休憩室ー11:35
会議室を出てすぐ4階のもう1つの部屋休憩室、4階はこの2部屋のみだ。地図を見ると会議室が設計ミスのようにデカく作られているため、構造上仕方がない。
「この部屋には自動販売機があるね♪」
俺たちの手荷物は基本的に奪われいたが元々居た個室の机に100円が20枚は入っている財布が置いてあった。水以外の飲み物はここで買うらしい、全て100円にされている。
「他にめぼしい物は冬の今にピッタリな灯油ストーブとソファー、部屋の隅にパイプ椅子と大きな観葉植物が2つ置いてあるだけだな。休憩室って言う割には机とかもないんだな」
シロの言った通り休憩室というにはかなり質素な感じだった。会議室は無駄に豪華に作られていたから余計にそう感じる。会議室はカーペットが敷かれていたのに対してここは何も無い硬い床だった。
「当たり前のように窓は鉄板で止められてるし、監視カメラもあって死角がない」
私としては全く気の休まらない休憩室に愚痴るように伝える。
「そうだね、この部屋はこれくらいかな♪」
兎咲の発言に同調し、私たちは部屋を後にするが実は休憩室には大平さんと杠葉さんがソファーに座っていた。何やらブツブツ独り言を続ける杠葉さんを大平さんが探索に連れ出そうと努力していた。なんか淀んだ空気に巻き込まれたくないので私達は逃げるように出ていった。
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3階廊下ー11:43
「3階は女子の個室7部屋と医務室、女子トイレだね♪」
4階から階段で3階へ降りてきて地図を確認しながら兎咲が言う。階段とは反対側にエレベーターもあったが他の人達が使っていた為断念した。
「個室は見て回れないからまずは医務室だな」
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医務室ー11:45
「イェーイ!((o(。>ω<。)o))あーしナース服着たかったけど白衣もアリじゃない?( ・´ー・`)」
「確かに似合ってる!かっこいい!」
「でしょ、でしょ?ヾ(〃^∇^)ノ」
なんて頭の悪そうな会話が行われているんだ...
「あっ、見てみて良くない?( *¯ ꒳¯*)」
私たちに気づいて夏色さんが絡みにきた、正直探索の邪魔である。
「かっ可愛いです。私も着てみたい♪」
若干取り繕ったように見える笑顔で兎咲が相手をしてくれる。2人の空間が広がった間にシロとめくませして室内の探索を開始する。彼女の犠牲を無駄にしないため手早く終わらせよう。
室内にはベットが2つと薬品の入った棚が壁沿いに作られていた。他には身長計や体重計、骸骨標本も置かれていた。室内には暖房がついていた。薬品の詳細が気になり棚に手を伸ばす。
「あっ、気をつけてください!ここの薬品たちガチの劇薬ですよ!」
錦さんが急いで駆けつけてきた。
「俺、仕事柄医者の方とか接点がありますし、現場とかで見るんですけどこの棚のものはお医者さんが使うやつばっかりで素人には危ないと思います!」
危ない、まさか錦さんに助けられるとは確かに軽率だった。私には薬学の知識がある訳では無いので危険薬など書かれていないものは安全だと考えしまった。
「凄いですね、でもそしたら胃薬とか風邪薬なんかの私たちでも分かるものはどこに...」
「それなら棚の上に救急箱が複数設置されていますよ!取りますね!ほら、中身もしっかり!」
そう言って錦さんは軽々と棚の上から救急箱を取り中を見せてくれる。流石の高身長だ。
「でも、これだと俺らじゃ取れないですね」
シロも近寄って来て私と同じ疑問を問いかける。
「それなら入口付近に脚立があったのでそれで届くと思いますよ!」
指さしの先には確かに脚立があり、あれを使えば誰でも取ることは可能なようだ。彼は意外と周りを見ていることが分かった。消防士のスキルなのか視野が広い。
「色々ありがとうございます。錦さん助かりました。私たちは次に行こうと思います」
「そうか!気をつけてね!何か力仕事があったら呼びに来てくれれば直ぐに向かうよ!」
実に頼りになることだ。あっちで遊んでいる夏色さんに比べて。
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女子トイレー12:08
ここは流石に入れないので兎咲に調べて来てもらう。中は至って普通のトイレで個室が3つと掃除用具のロッカーに窓は鉄板、監視カメラもついているとの事だ。大声を出しての防音性もチェックしたが扉を開けなければ完全防音だった。兎咲の個室も確認するか相談して来てくれたが個室のことは2階の私たちの部屋で試すことにして、2階へ向かう。2階は男子の個室7部屋と娯楽室、男子トイレだ。まずは娯楽室から向かった。
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娯楽室ー12:14
部屋に入ると橘さんがダーツで遊び、鴨井さんは本を読んでいた。完全に満喫中である。先程からみんなの緊張感が無さすぎる..現実逃避だろうか.。部屋の中には本棚や卓球台ビリヤード、ダーツに部屋の棚にはオセロなどのボードゲームやトランプなど様々な娯楽があった。もちろん監視カメラと鉄板付きではあるが。
「橘さん何やってるんですか」
シロが呆れながらも話しかける。
「どうせ、探したって出口なんかないんだ!無駄なことするよりマシだろ、こっちは仕事でストレス溜まってんだ少し遊んだっていいだろ!」
説得も虚しく聞く耳を持たない。こんな社会人にはなりたくないと痛感させられた。
鴨井さんはと言うと私たちの存在にすら気づかないほど本に熱中している。
「あの...鴨井さん探索の方は...?」
「へ?あっあ...ごめんなさい!橘さんが真っ先にこの部屋へ行きたいと言うので来てみたら遊び始めてしまって説得していたのですが、つい気になる本を見つけてしまいまして...気づいたら熱中していました...」
もしかしてこの人ポンコツなのか?最初はキャリアウーマンみたいに感じていたが完全に翻弄されている。可愛いw
「いえ、別に悪いわけじゃないんですよ!そもそも私たち誘拐されてるんですから別のことしたい気持ちは分かります。」
思わず肩を持ってしまった。これでは間接的に橘さんも容認してしまう結果になってしまった。
「いいえ!年下の子が頑張ってるのいい大人が油売ってるなんて許されません!橘さんの説得は私に任せてください!」
そう意気込んで橘さんと会話を始めた。どうなる事やら...特にそれ以外めぼしい物もないので次は個室に向かうことにした。
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個室201・202ー12:28
私とシロの部屋は都合よく隣同士だったこともあり、個室の防音設備を確認したが完全遮断されていた。部屋の作りも全く同じでベッド1つ、机、椅子1つ、冷蔵庫、電子レンジ、タンスだった。冷蔵庫には何も入っておらず食堂から持ち出すのだろう。タンスの中にはルームウェアのような衣服が入っていた。他にめぼしい物は紙やペンなど筆記用具が机に入っていたぐらいである。使えそうなものはなかったので一通り見て男子トイレに行こうと思ったが時間も迫って来たので諦めた。構造は女子トイレと同じことが予想できる。1階はシャワー室 更衣室 食堂の3つだ。また別れることになるが更衣室とシャワー室の探索に向かう。
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男子更衣室・シャワー室ー12:40
「おや、君たちか」
部屋に入ると藤さんが探索していた。
「何か見つかりましたか?」
シロが問いかける
「いや、見ての通り普通の更衣室だ」
部屋にはロッカーが7つとタオルなどの布類、そして洗濯機や洗面台などがあるだけの簡素な室内だ。窓が無いため鉄板は無いが監視カメラはしっかりとついている。
「では、私はこれでまた食堂で会おう」
?なんだか私たちを避けるように答え終わると藤さんはそそくさと出ていってしまった。
「ロッカーの中にはハンガーくらいしか無いが鍵はしっかりついてるね」
シロは気にも止めずロッカーを探っていく。私が神経質なだけなのだろうか?まぁ、それは置いておいて確かにロッカーには鍵がついている。鍵は差しっぱなしで特に割り振りなくどれでも使えるようだ。洗濯に必要な物も揃ってる。改めてここで生活しろって言われているようで気分が悪い。
「シャワー室も個室シャワーが7つで中には鏡だけだから監視カメラさえなければ普通のシャワー室だな...」
一通り確認するがやっぱり普通のシャワー室でしかなく、得られるものはなかった。ちなみに更衣室とシャワー室はガラスではなくしっかりと防音された壁で作られていたのでシャワーが流れていても更衣室からは聞こえない。部屋を出て兎咲と合流する。
「そろそろ時間だし食堂に行こうか♪」
特に出口や使えるものなどの収穫は無かったが、他にも爆弾が設置されているなどの危険物は見当たらなかっただけ良しとしよう。これでは他の人も期待出来ないだろう。とりあえずお腹が空いた。
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食堂ー12:55
食堂に向かうと縁下さんが料理をしていた。空腹も相まってよだれが出そうになるほどいい香りがする。私は料理が出来ないので可能なら分けてもらいたい。
「お待ちしておりました。皆さん、空腹でしょうから縁下に作らせております。よければ皆さん情報共有の後にお召し上がりください」
こちらに気づいて中本さんが伝えてくれた。凄く気が利いている。とてもありがたい。机にはかなりの量の料理が置いてある。恐らく会議室を出て直ぐに取りかかったのだろう。てっきり全部中本さんのものかも思ってしまった...何せ料理は縁下さんが全部やっていて中本さんは何もしていなかったからだ。縁下さんへの気遣いは全くない...これが普通なのかと考えてしまった。
「うわ〜何これいい匂い\(❁´∀`❁)ノ」
時間も近づいてきて続々と食堂に集まってくる。私たちは全員が来るのを待つ。
「では、探索の情報共有と行こうか」
前回と同じで宇井さんそして、ペアだった藤さんが最後に来て情報が共有される。とりあえず、建物で危険な場所はないことや生活するのに問題はないということなど安全は確保された。ちなみに食堂は長机にイスが13個と監視カメラ。厨房には食器類や大きな冷蔵庫にコンロなど実際に作った縁下さんが調理には何もは問題ないという。
「てか、こんだけ作って大丈夫なの?仮にも1週間分の食料でしょ?使いすぎたら終わるよ?」
相変わらず正論で噛み付く宇井さん。しかしそれにに対して噛み付いたのは...
「あら、ご確認してなくて?端末にあるルールには物資が尽きたら会議室から補充されるとありますよ?」
丁寧な毒舌で中本さんが反撃した。縁下さんの肩を持ったのか、恐らく作っている間にルールを確認したのだろ。というか会議室から補充とは?
「あの、私たちはずっと4階の探索をしてたんですけど、実は会議室が入れなくなっていてそれってなんか、ルールによるものでしょうか?」
大平さんが入ってきた。彼女は4階を探索と銘打っているが恐らく杠葉さんを動かせず4階にいるしかなかったのだろう...
「えぇ、ルールには会議室は開かれるべき時のみに開くと書かれていました」
いつの間にか施錠されたのか...他の部屋が気になり会議室の探索を忘れていた!もしかしてあの部屋に誰か居て最後の人の後に閉めたのか...それに探索前にルールの確認もしておくんだった、今はまだ中本さん以外は誰も見ていなかったようだ。
「まぁ、つまりはほとんど脱出の進展はなしか...」
「そうだね、激萎え〜_:( _ ́ཫ`):_」
藤さんの結論に皆が暗い空気になる。
「ぐ〜〜」
そんな淀みかけに腹の虫が鳴る...錦さんだ
「あっ...お恥ずかしい!せっかくですし、落ち込んでないでご飯食べましょ?ね?」
「食べないと元気が出ませんもんね」
錦さんの問いかけに私も続く、正直私も限界だった。早く食べたい!そのため皆に珍しく自分から同調する。
「そうだな、まずは頂こう。ありがとう縁下さん」
「頂きます!」
藤さんの号令は会食の合図となり、皆が食べ出す。
朝もほとんど食べていなかったのでかなりがっつくように頂いた。縁下さんの美味しい料理に舌鼓を打っているこの時の私はこの中に最後の晩餐となるものが居ることなど知る由もない。
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3〜4階段ー18:47
俺は伊集院錦...拉致られて監禁されてます!正直、消防署や自宅より快適で満喫してます!昼の食事会解散後19:00から晩御飯も縁下が作ってくれるとのことで飲み物を買いに休憩室へ向かいます!1階にはジュースとか無いんで、わざわざ4階まで行かなければなりません!いつも署では緊急出動に備えて気を張っているのに安全も確認できてシェアハウスみたいで今はかなり緩んでしまいそうです!そんなことを考えながら休憩室の扉を開けるとそこには大きな炎が上がっていました!うん、今日も消火活動に尽力を......ん?炎?そこには大きな炎が上がっており、幸い他の場所には移って居らず、何かが燃やされている状態でした。
「火災だ!消化器!誰か消化器を!」
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個室201ー19:12
「プープー!松風露碧ァ〜松風露碧ァ〜至急至急!4階休憩室へェ〜!」
警告音と共に部屋中にカラスーラの声が響く!あいつから貰った端末からだ。気づいたら約束の時間を12分も過ぎている。シロのやつ起こしてくれよ...私は昼食後疲れもあってベットで休んでいたところ寝てしまっていたようだ。急いで食堂へ向かおうとするとカラスーラが4階休憩室と言っていたことを思い出す...そして、頭が鮮明になるに連れて元々浮かんでいた嫌な予感が当たったのでは思い始め、急いで休憩室へ向かう!
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休憩室ー19:15
扉を開けるとそこにはほとんど全員が集合していた。室内には物が燃えていた煙の匂いが充満して、錦さんの手には消化器が握られていた。
そして、みんなの視線の先には黒く焼けた焦げた”者”が居た。間違いない...ほとんど全員...私を含め12人がこの部屋に集合していた、鴨井千歌さん1人を除いて......
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休憩室ー19:15
第1被害者 鴨井千歌ヲ全員ガ確認シマシタ。
第2話を読んで頂きありがとうございます。最初に亡くなったのは鴨井千歌さんでしたね。主人公はタイプだと語っていたのに...果たして彼女を殺した犯人は誰なんでしょうね。燃やすなんて恐ろしい...