表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/45

葉月台ニュータウン 2


あ。いた。



すいませーん。引っ越してきたんですけどー…

あ…引っ越し…て…



なんだかゴーグルをつけた男が

ニヤニヤ笑いながら建物の中に入っていって


全くこっちには興味無さそう…




あ。2人目いた。



すいませーん。引っ越し…て…

…あ。まただ…



やっぱりゴーグルつけた、女子っぽい

だけどやけにサバゲー女子みたいな雰囲気だから

ちっとも男子か女子かわかんない


やけに機能性ウェアな奴が



なにかの宇宙語のような歌を歌いながら

また建物に…




あれ?リアル世界連動型の意味て…



ひょっとして、ここの住民

みんなあんな感じ?



だけどさ、ニュータウン中央はさ

あんなんじゃなかったよね。



ミレニアムバス、乗って行ってみよ。



バス乗り場にも、やっぱり誰もいない…



バスて、4分、17分、44分…

あ。今46分だから次、57分か。



待ってるうちに、人くらいくるだろ。


11分も前だから、いないんだよ。



…2分

…3分



あ。人きた。


ゴーグルつけてない人。



だけど、なんかやけに緑ぽい機能性ウェアぽいの着てる。


結構年寄り。



あ。引っ越してきたんですけど…



ん?そーいや、ゴーグルつけてねーな。結構若い奴がつけてないなら、引っ越してきたのは本物なんだろ。




???



あ。すまん。この街の若い奴な、やたらにバーチャルだかなんだかにハマりこんでて、バーチャル上の出来事を実際の世界で起こったみたいに平気で吹き込んできやがるから。



え?



あんたも、あんなゲームシステムだかなんだかにハマりこんで、ゴーグルなしで過ごせなくなる前に、こんな奥葉月は離れて、せめてニュータウン中央に行きなよ。ここはさ、隔離センターなんだからさ。


え?え?!



最初のうちはさ、俺みたいな自然志向の奴とあんたみたいなわりとまともな奴がいたんだ。

だけど、バーチャル何たらとゴーグルが来てから、あんな感じさ。

ほら、あんた。右側の洞窟と左側の塔の話、知らないか?



えーと、なんか聞いたことが…



探検者物語て物語の奴なんだよ。右側の洞窟の奴は、脳内世界でヨダレを流してる

左側の塔の奴が、夢を叶える。



あー。あれ…て?! あのゴーグル連中て?



そうだ。奴等はさ、脳内世界野郎たちさ。

リアル連動型バーチャルシステムだかなんだかに人生賭けた結果、負けて送り込まれた。

奴等は気づかなかったんだよ。



な、何を?



山を越えたら、またそこに山があった。

奴等はバーチャルシステムの世界が

山の向こうの世界だと気づかなかった。



どっかで聞いたこと…





21世紀の偉大な詩人の残した詩だ。

彼は預言者だった。政治的な変化や世の中の人の心理の変化をたくさん書き残し、そして旅立った。

俺がまだ子供の頃の話だ。


で、バーチャルシステムだな。

あれは、俺にはわかっている。

左側の塔を登り


『バーチャルシステム内で

リアル世界の発信者になっていない限り』


全員バーチャル世界と

現実の世界の区別がつかなくなる


ゴーグル野郎になるんだよ。





え??え?!えーっ!!?

…つまり、バーチャル世界内で

ライブ配信してて…



そう。そこで…俺たちの時代でいう

『バズって』ないと

つまり、とんでもなく人気がないと…




ゴ、ゴーグル野郎の仲間入りい?!!



そう。だから、悪いこと言わないから

まだゴーグルに侵されてないなら

早めにニュータウン中央に行け。

なんだったら教えてやる。俺もそこから聞いて

今、安心できる草人間たちのコロニーに向かう途中に、たまたま荷物取りに帰ってきただけだからな。


ニュータウン中央に、レインボービルてのが、ある。そこにいるハナと言う奴に俺…能登川の名前を出していいから、ニュータウン中央でやりたい、そう話してこい。



は、はい。わ、わかりました。ちょうど今から中央行きますし…



そ、あとな。奴等ゴーグル野郎たちは周囲にほとんど興味はないが、物資の補給のタイミングだけは周囲を気にしてる。対応できないからな。

そのタイミングでお前のノーゴーグル状態を見られるなよ。奴等、やけにバーチャルゴーグルにこだわるから、酷い目に遭いかねない。



は、はい…でも…



心配すんな。奴等の補給先はCQQPに限られる。だから、極力あそこは使うな。

あと、ハナが、お前のようなパターンの奴用に

マスクを用意してる。それを使って


自分のバーチャルゴーグルは、このマスクだ。


そう言って去れ。


奴等はゴーグル野郎だからな。マスク派には興味は示さねえ。




ミレニアムバスが向こうから走ってくる。



じゃあな。



え?乗らない?の…?



ああ。ゴーグル野郎じゃないんが珍しいから、草人間候補かと思って話してみただけだ。

俺はまだ荷物の整理をやんないとな。



あ、あ…じゃあ…



お前の周波数は、草人間じゃなく、発信者側だからな。じゃあ。




バスは1人だけ乗せて走り出す。



もう、そのバスの乗客が自分一人なのを


不思議に思うことはなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ