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第32話 復讐!二人の残党!

生徒会室~


「なんで俺がこんな雑用しねーといけねーんだよ…」


「文句を言うな。率先してトータクに協力した罰だ」


「オーイン、お前だってトータクに協力したじゃねーか。


スパイなんて最もらしいこと言ーやがってよ」


「だから私は私の出来る仕事で罪滅ぼしをしているんだ。


懲戒処分を受けたくなかったら早く手を動かせ」


愚痴る金髪の不良生徒・コシンと、その横で黙々と作業を行う生徒会長代理・オーイン。


“コンコン”


「誰か来たようだ。コシン、ちょっと出てくれないか」


「へーへー」


「ハイは一回!」


「ハイも言ってねーわ!


…ッタク」


“ガチャ”


「どちらさんですかー


あん…あんたらは…!」




リョフの宣戦布告を受けた俺達は形勢不利と判断し逃走、ソウソウの庇護下に入った。


一方のリョフはソウソウとの戦争を主張したようだが、部下の反対により思い止まった。こうして一応の平和が訪れた…はずだった。


中央校舎・パソコン室


一度はリョフに勢力を乗っ取られたソウソウだったが、今はこのパソコン室を中心に複数の教室を活動拠点にしていた。


ソウソウー赤黒いロングヘアーに、同じ色の瞳、白い肌に、制服の胸元は大きく開け、ヘソ出しミニスカートと、相変わらず刺激的な格好をしている。


ある時は味方、ある時は敵と幾度となく関わってきた彼女が、今回は俺達の庇護者となった。


「リュービ、よく来た。お前とまた会えるのを楽しみにしていたぞ」


「ああ、ソウソウ。こ、光栄だよ」


直接会うのは反トータク連合以来か。その後一度戦ったが、ソウソウは思ったより上機嫌で俺達を歓待してくれた。


しかし、その平穏はあっさり打ち破られた。


「ソウソウ様、大変です!」


丸眼鏡をかけた小柄な少女・ジュンイクがソウソウに何事か耳打ちする。


「何、オーインが!生徒会室に急ぐぞ!リュービお前も来い!」


「はい!」


突然の出来事で俺はカンウ・チョーヒにも知らせず、そのままわけもわからずソウソウと共に教室を飛び出した。


なんでも生徒会長代理のオーインが何者かの襲撃を受け重体で発見された。


殴打され気を失ったオーインを運び出すと、俺とソウソウは荒らされた生徒会室を調べてまわった。


「誰がこんなことを…」


「それはリカク・カクシ達です」


ソウソウの何気ない問いに答えたのは、燃えるような赤い逆立った髪に、鋭い目付き、緑玉の首飾りをつけ、赤いリストバンドをした、とても背の高い男子生徒だった。


「リカク・カクシ?あのトータクの残党か?


君は誰だ。何故それを知っている」


「俺はホッケー部の徐田晃(じょだ・あきら)、通称、ジョコーです。


我がホッケー部の部長ヨウホウはリカク・カクシに協力しています。俺はそれが嫌で抜けてきました。


ソウソウさん、俺は貴女に協力します」


「そうか、リカク・カクシは何故オーインを襲撃した?復讐か?」


「それもありますが、この学園に転校するための許可を得るためと聞いております」


「転校許可…しまった!リュービ・ジョコー、ついてこい!急ぐぞ!」


何か思い当たったのか、ソウソウは急いで生徒会を後にした。




学園長室~


まだ顔に幼さの残る、髪をサイドアップにまとめた二十代前半のスーツの女性・リューキョー新学園長のもとに、二人の不良がのりこんできた。


「なんなんですか貴方達は!」


金髪ジャージの男・リカクが顔を近づけて答える。


「俺達はリカクとカクシ、トータク様の部下と言えばわかりますかね?」


(かおり)君の部下ですか?それが今さら私に何の用ですか!」


リーゼントに西涼高校の制服の男・カクシが続けて二枚の紙を取り出す。


「この転校申請書にあんたの印鑑が欲しい。逆らえばアンタの綺麗な顔が無惨な有り様になっちまうぜ」


「わかりました…」


リューキョーはしぶしぶ申請書に押印した。


「これでいいのでしょう」


「よっしゃ、これで俺らもここの生徒だ」


「もういいでしょう。早く帰りなさい」


「さて、じゃあ復讐タイムといこうじゃねぇか」


リカク・カクシはいやらしい笑みを浮かべながら、リューキョーの前に立ちはだかる。


「待ちなさい!話が違うわ!」


「話?何のことだ?


しかし、アンタ学園長なのに随分若いな…たまんねーぜ!」


リカクがリューキョーの顔をまじまじと見つめ、舌舐めずりをした。


「ああ、トータク様は褒美はくれたが、女は独り占めだった。


その上、ところ構わずやりまくるからこちとら溜まって仕方なかったぜ…」


「俺は若ぇ女教師を学校で犯すのが夢だったんだよ。ちょうどいい、叶えさせて貰うぜ」


「いや、やめて!」


リューキョーはリカクの伸ばした手を振りほどくと、逃げ出そうと走り出した。


「おっと!逃げんなよ!」


しかし、すぐにカクシに行く手を阻まれ、捕らえられてしまった。


「やめて!誰か助けて!」


リューキョーは涙まじりに叫んだが、その様子はリカク・カクシを喜ばせるだけだった。


「よーし、カクシ、そのままその女を押さえとけ!」


リカクは自信のベルトを外し始めた。


「あん!おいリカク、なんでテメーが先にヤろうとしてんだよ!」


「転校の案出したの俺なんだぞ!当然だろうが!」


「それは元々カクの意見だろーが!」


「採用したのは俺なんだから俺の意見だろーが!まず俺にヤらせろ!」


「お前、最初にオーイン殴ったんだから次は俺の番だろうが!」


「ふざけんな!テメーの液まみれの女なんてヤれるか!」


「俺だって同じじゃ!」


「そこまでだ!」


ソウソウが真っ先に部屋に飛び込み、リカク・カクシの二人を制す。続けて俺とジョコーも部屋に入った。


「チ、見つかったか。逃げるぞ!」


「クソッ!これからって時によ!」


リカク・カクシの二人は窓を開けて外に逃げていった。


「待て!


リュービ、学園長を頼む!ジョコー、二人を追うぞ!」


ジョコーは応じると、ソウソウとともに二人の後を追った。


残された俺は床にうずくまるリューキョー新学園長の元に介抱に向かった。


「大丈夫ですか?学園長」


「ええ…ぐすっ…ごめんなさい…生徒であるあなたにこんなところを見せて…」


「もう大丈夫ですよ、安心してください」


「ありがとう…うう…うう…」


リューキョー新学園長は俺の胸に顔を預けて、少し泣いた。


しばらくしてソウソウ達が一人の男を連れて戻ってきた。


「残念ながらリカク・カクシには逃げられてしまったが、この男を捕らえたぞ」


男の名はコシン。聞けばオーインに恨みがあったのでリカク・カクシの二人に協力したらしいが、どうやら逃げる囮に使われたようだ。


「なんでもリカク・カクシはこの学園に転入して、選挙戦に参加するつもりらしい」


「選挙戦に?トータク残党の二人に支持なんて集まるの?」


「うーん、短期間で学園の騒動を鎮め、支配下においたその手腕から、トータクを尊敬するものがこの学園に少なからずいるという噂を聞いたことがあるが…


ホッケー部がついたのならあながちデマでも無さそうだな。生徒会長にならなくとも勢力を築かれたら厄介だ。


とにかく学園長の件と合わせて手を打たねばならない」


ソウソウは自身の拠点に戻ると早速、対策を練り、行動に移した。


「オーインが入院し、生徒会室が荒らされた今、我らでその役目を引き継ぐ。このパソコン室を臨時生徒会室、隣の教室を臨時学園長室とし、ここを学園の拠点とする!」


話終わるとソウソウはリューキョー新学園長の方に向き直った。


「臨時学園長室周辺は私達が警護しておきます。それでよろしいですね」


「はい、ソウソウさん、よろしくお願いします…」


「ではここに新臨時生徒会の発足を宣言する!」


こうしてソウソウ率いる新臨時生徒会が発足、ソウソウは生徒会長代理に就任した…かに見えたが




北校舎・会議室~


「なんでソウソウが私を差し置いて生徒会長代理に就任しているんですの!許せませんわ!」


北校舎の雄・エンショウはこの決定に異議を唱え、抗議のメールを送りつけた。


“ソウソウ、今はリカク・カクシの出現とオーインの入院で生徒達が不安に襲われていますわ。


こんな時だからこそ会長代理は慎重に生徒の納得するような形で決めねばなりません。速やかにかつ公平に決め直すべきです”


「つまり自分が会長になりたいんですね」


エンショウからのメールを読んだジュンイクはつまらなそうに呟いた。


「そういうことだ。よし、生徒会長代理はエンショウにしよう」


「よ、よろしいんですか?ソウソウ様」


「あいつが会長代理になっても執務しにここまでやってくる度胸はなかろう。名ばかり会長なら別に構わん」


ソウソウはくすりと笑って答えた。


「私は会計代理でもやろうかな。


ジュンイク、これから忙しくなるぞ。お前のあの同い年の姪にも声をかけておいてくれ」


「はい、わかりました」


エンショウが会長代理に就任した。更に彼女は生徒会室も北校舎に移せと主張したが、ソウソウは今さら学園長室は移せない、生徒会室は学園長室の遠くには置けないとしてこれを拒否した。


そしてソウソウはリカク・カクシの手配書を各地に配布、彼等とそれに加担した部の捜査をも開始した。


新生徒会長代理誕生とリカク・カクシの存在がまた学園に騒動を巻き起こすこととなる。

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