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第186話 一新!学園三大勢力!

 ついに西校舎の盟主・リュウショウはリュービに降伏した。


 これによりリュービは南校舎・西校舎二つの校舎の盟主となった。


 また、最後までリュウショウに従っていた者たちも、彼の投降を機に降伏を表明した。


 〜〜〜


「私は元リュウショウ家臣・コウケンと申します。これまでの非礼を詫び、リュービ様の軍門に降りたく参上いたしました。


 叛意(はんい)の責任は私一人にあります。どうか部下はお助けいただくようよろしくお願いいたします」


 長い髪を一つ結びにし、ダブルのスーツにネクタイをつけた男子生徒・コウケンはそう言って俺・リュービに頭を下げた。


 彼は元リュウショウの秘書官であった。だが、リュウショウの意に逆らい、北方警備の隊長に左遷(させん)された。俺とリュウショウの戦争が勃発すると、コウケンは担当する教室を固く守り、今日この時まで一切の攻撃を寄せ付けなかった。


 しかし、主君であるリュウショウが降伏した今、これ以上の抵抗は無意味と悟ったのだろう。


「コウケン、そう思い詰めないで欲しい。


 君のことは前から聞いて、高く評価していた。君を将軍に任命する。もちろん、部下も君の配下として取り立てよう。


 俺の下で是非、君の能力を活かしてくれないか?」


「私は処罰されても仕方のない身。それを昇進させてくれるとあれば拒否する理由もございません。


 喜んでお力をお貸しいたします」


 コウケンは早くから俺を危険視して、リュウショウに多く献策していた。敵であるうちは厄介な相手であったが、味方ならば心強い人物だ。俺はコウケンを取り立て、一足先に降伏したゴイやリゲンに準ずる地位を与えた。


 コウケンは俺の反対派の中では急先鋒であったが、もう一人、そう言える人物がいる。


 金髪につり目の小柄なその女生徒の名はリュウハという。彼女は元ソウソウの配下で、南校舎で一度、俺に反抗している。南校舎が俺の支配下に入ると、リュウハは俺に降伏するのを拒否。リュウショウの元に逃げ、その配下となった。


 リュウハは俺に二度反逆した人物と言える。しかし、リュウショウの降伏でついに彼女も観念し、謝罪に参上した。


「私は二度に渡ってリュービ様に盾突きました。如何(いか)なる処罰でも受けましょう」


「君の能力はコウメイも高く評価していた。


 俺の配下になるのであれば、これまでの罪は不問としよう」


「お許しいただけるというのであれば、喜んで配下に加わりましょう」


 リュウハは軍師・コウメイが強く推薦していた人物だ。その彼女が味方になってくれるのであれば心強い。俺はリュウハをコウメイの補佐役に任命した。


 降伏したコウケン・リュウハの二人は反リュービの中心的な人物。それは西校舎中によく知られていた。


 その二人が俺の配下として迎えられ、厚遇されたと知れ渡ると、未だ抵抗続けるリュウショウ配下も多く投降してきた。


 コウケンと同じく教室に()もり、抵抗を続けていたオーレンも教室を開けて降伏を表明した。


 また、チョーウンが捕虜にしたテイキという男は頑固で責任感が強く、俺が西校舎の盟主になるまでは降伏はしないと主張していた。彼もまた、俺が西校舎の盟主を引き継いだことで義務を果たし、配下として加わってくれた。


 俺はオーレンやテイキらにも相応の地位を与えた。


 まだ、完全ではないが、リュウショウ陣営の大部分を吸収することに成功した。俺は西校舎・南校舎を(また)ぐ新たな組織作りに着手した。


 コウメイを新組織の中枢(ちゅうすう)を預かる俺の補佐役に、新たに加わったホーセーを相談役に据えた。


 将軍には従来のカンウ・チョーヒらにバチョウ・モウタツらを新たに加え、ビジク・ソンカン・カンヨーら古参を賓客待遇とした。


 さらにリュウショウ元配下のトウワ・コウケン・リゲン・ゴイ・ホーヨウ・リュウハらを登用し、それぞれに(しか)るべき地位を与え、才能を十二分に発揮出来るようにした。


 俺たちは打倒ソウソウに向けて新たな一歩を踏み出した。


 〜〜〜


 一方、リュービが西校舎を手に入れたその頃、彼の宿敵・ソウソウもまた、新たな一歩を踏み出していた。


 長らくソウソウが署名を集め、準備を進めていた彼女の学園の理事就任。それがついに実現したのであった。


 ソウソウの理事就任は大体的に式典が催され、その光景はテレビを通じて全校に流れた。その前代未聞の光景は、ただ学園の理事が一人増えただけの出来事ではないことを物語っていた。


「では、これより辞令書を読み上げます」


 そう言って前に進み出たのは、分厚いメガネに、おさげ髪の、一見地味そうな女生徒、生徒会長補佐・チリョであった。


 彼女はソウソウの前に立つと、辞令書を広げて読み上げ始めた。


「『この三国学園は未曾有(みぞう)の危機に(ひん)することとなりました。


 学園長は名ばかりとなり、生徒会は崩壊し、生徒は寄る辺を求めて四散していきました。


 その中にあって生徒会長・宗操(そう・みさお)は学園の艱難を救済し、再び光を取り戻してくれました。


 その功績を称し、あなたを学園の理事に任命致します。三国学園長・竜宝協子(りゅうほう・きょうこ)』以上となります」


 学園長からの辞令書を読み上げたチリョは、その書を(うやうや)しく宗操(そう・みさお)こと生徒会長・ソウソウへ手渡した。


 それを受け取るのは、赤みがかった長い黒髪、それと同じ色の眼に白い肌、胸元を大きく開けた服に、ヘソ出し、ミニスカートの女生徒。この目立つ出で立ちの彼女が学園の生徒会長・ソウソウであった。


 彼女は、チリョに代わってマイクの前に立つと、就任の挨拶を述べた。


「このような名誉の職を受けたことを光栄に思います。


 私はかつて風紀委員の末席におり、それ以上の出世は望もうとも思いもしませんでした。


 たまたまトータクの乱に遭遇し、やむなく道義のため立ち上がりました。一身を奮い立たたせて軍勢を率いて敵を討ち、千載一遇の幸運に巡り合って世に名を知られることとなりました。


 エンショウ・エンジュツ姉妹が学園を専断しようとした時には、学園を守りつつ、進んで猛敵を引き受けました。しかし、この時もいつ負けるかと恐れ、自分が勝つとは思いもしませんでした。


 幸いにも私が勝利し、敵勢力の(ことごと)くは滅亡し、生徒会長の地位を得ることとなりました。


 それに加えてこの度は学園の理事という類を見ない高位を(たまわ)ることとなりました。その過分な地位に私は三度に渡って辞退いたしました。


 しかし、学園長はお(ゆる)しにならず、また、学園もそれを望んでいると知り、善良な一学生としてどうして逆らうことができましょうか。


 この身に余る光栄に恐れ(おのの)くばかりではありますが、謹んで学園の理事就任の辞令をお受けいたします」


 ソウソウの挨拶が終わると、割れんばかりの拍手が巻き起こった。


 ソウソウは式典に列席して者たちに目を移した。


 同じく生徒会のジュンユウ、テイイク、カク、ショーヨーら、武将のカコウトン、ソウジン、ソウコウらが居並んでいる。中にはカコウエンのように仕事のために参加できなかった者もいるが、ソウソウ陣営の主だった者たちが参席していた。


 しかし、その中の特等席が一つ、ポツリと空いていた。本来ならその席にはソウソウを長きに渡って支え続けた重臣・ジュンイクが座るはずであった。招待状も出したが、ついぞ彼女が会場に現れることはなかった。


 ソウソウは会場の拍手を一身に受けながら、その空席を寂しげに見つめていた。


 〜〜〜


 そして、リュービ・ソウソウに並ぶもう一人の群雄・ソンケンもこの理事就任の放送を見ていた。


「どうやらソウソウは周囲に推されてやむにやまれぬ状況で理事に就任した……そういう筋書きになっているようですな。


 実際は長らく連れ添ったジュンイクと別れてまで署名を集めたことは皆の知るところではありますがの」


 ソンケンの(かたわ)らでそう語るのは、背が低く、長い髪の、一見幼女のような、黒い漢服(かんふく)(中国風の着物)を着た女生徒、ソンケンの筆頭(ひっとう)文官・チョウショウであった。


 チョウショウに対して、小柄で細身、赤紫の髪に太陽の髪飾りをつけた童顔の男子生徒、群雄・ソンケンは彼女の意見に同調しつつ話し出した。


「ソウソウの挨拶文には僕らのことも、赤壁(せきへき)の戦いのことも一切触れてなかった。


 まるで既に天下を取ったような口ぶりであった。


 だが、そうではないことを僕らの手で証明しなければならない」


 そのソンケンの言葉に、文官・チョウショウは伏して答える。


「真にその通りでございます。


 ソウソウの挨拶文は謙遜で(おお)われておりながらも、増長が隠しきれておりませなんだ。


 全ての生徒がソウソウに(なび)くことはないでしょう」


「しかし、ソウソウは学園の理事に就任した。


 リュービは西校舎を手に入れた。


 対して僕らがその間に得たものはあまりにも(とぼ)しい……」


 そう(なげ)くソンケンに、チョウショウはすぐに反論する。


「そんなことはございませんぞ!


 第二南校舎のシショウは我らに降伏致しました。決して二勢力に遅れを取ってはおりますまい!」


 チョウショウの語る第二南校舎は南校舎のさらに南に増設された校舎だ。そこでは在来勢力のシショウと旧リュウヒョウ系のゴキョらが勢力争いを繰り広げていた。


 そこにソンケンが侵攻し、シショウは降伏し、ゴキョは討たれた。


 第二南校舎はソンケンの勢力下に入ったのであった。


 だが、ソンケンはその結果に満足しているわけではなかった。


「確かに第二南校舎を得たのは大きな一歩であった。


 だが、まだシショウは独立の気概を失っておらず、完全な臣従をしていない。


 その状況では、ソウソウやリュービらの躍進に比べればまだ弱い。


 このままではいけない……早急に次の一手を打たなければならない!」


 ソンケンは固い決意を胸に、外へと目を向けるのであった。




 俺、リュービは長い戦いの末、ついに西校舎を手に入れた。これにより俺たちの勢力は南・西の二つの校舎に(またが)る一大勢力へと成長した。


 かつて軍師・コウメイが唱えた『天下三分の計』。それは南校舎と西校舎を取り、東のソンケンと手を組み、宿敵・ソウソウに対抗しようという策であった。


 今、その南と西の二校舎が(そろ)った。そして、西校舎の多くの生徒に加え、西涼(せいりょう)のバチョウも陣営に加わってくれた。ソウソウとの決戦は間近へと迫っていた。


 対するソウソウは(かね)てより進めていた学園理事に就任し、より権力を強固にした。


 さらには西北校舎も攻略し、例え俺の勢力が成長しても、彼女の攻略が容易ではないことを予感させた。


 そして、もう一人の英雄・ソンケンもまた勢力を拡げていた。加えて俺やソウソウの活躍に刺激を受け、決意を新たにするのであった。


 この学園の様相は、コウメイの天下三分の計に沿いながら、三つ(どもえ)の戦いがより加速していった。


 俺とソウソウの因縁(いんねん)の決着もそう遠い未来のことではないだろう。


 第六部 完

 最新話まで読んでいただきありがとうございました。


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[良い点] 最高の物語で見事です!決着はどうなるのか楽しみにしています! [一言] ブックマーク登録と評価しました!これからの物語を楽しみにしています! こちらも描いている作品を完結させる為に頑張り…
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