第一部第二話 エリックの過去一
「エリックはの、幼い頃から真っ直ぐな瞳をしておったの。お前さんみたいな、純粋な碧の……」
アリエスとエリックがここまで似ていると知ったアリエスは、少し驚いた。
「わしはエリックが産まれた時から見守っていたが、成長の早さには驚かせてもらったのぅ……。あっという間に剣術を覚えて男らしくなっていった」
「そのあっという間とは、どのくらいの早さなんでしょうか」
「忘れた。しかし、本当に早かったんじゃよ。この町の広場で、楽しそうに剣をふっていたら、いつのまにやら上達しとった」
アリエスは、楽しそうに剣を振る少年エリックを想像しながら、話を聞き続けていた。
「エリックが青年ぐらいまで成長したとき、この世界に闇が広がって、瀕死状態だったんじゃ。立ち上がった勇敢な男が、エリックじゃった。うむ、そういえば、お前さん、エリックに似てるのぅ」
老人のような魔物は、今になってアリエスがエリックにそっくりなのに気づいたようだった。目を大きくして、アリエスの姿を眺めている。
「お前さん、エリックの子孫なのかね?」
「はい」
「なんと!再び現れたのか!英雄が……。エリックの凛々しい姿の生き写しのようじゃのぅ。生まれ変わったのかのぅ……」
魔物は驚き、興奮が抑えきれないようで、かなり息づかいなどが荒々しくなっている。エリックがかなり印象に残ってるからなのか。
「エリックは、無事世界を救ってくれて、子孫も残せて、そのまま死ねると思っていたら、違ったんじゃ。殺された」
「殺……された?」
「ああ、魔物を食料とする民族によって、子の目の前でな。子はそれがトラウマになっての、血が見れないほどだったんじゃ」
魔物はさらに話を続けていった。