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相合傘くらいしたっていいわよね。私なんだから!!!

 この高校に入学したときは満開だった桜並木は6月になった今、緑の濃い夏の葉にかわった。桜の葉から落ちる雨のしずくが私たちの傘に落ちる音が聞こえる。


「ねえトウヤ君」


「なんだ?」


「楽しみだね、遊園地……」


私は少し不安だった。私と行く遊園地が本当に楽しいのかどうかが。トウヤ君がシャイなのはわかるんだけど私が一方的に学食に誘ったり、相合傘をしてもらったりしているんだけどトウヤ君から誘ってくれたことはほとんどなかった。


トウヤ君も楽しみにしていてくれたらいいんだけど……


そう考えていたせいか私が話しかけてからトウヤ君が返事するまでの間がとてつもなく長く感じた。


「もちろん。楽しみだよ。うん。……今日は金曜日だから日曜日は明後日。雨、降らなければいいね」


言葉を一粒一粒拾い上げるようにして話すトウヤ君。トウヤ君の表情は少し照れているように感じた。


そして私たちはいつものようにローカル線に乗り、一緒に下校した。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



ついにこの日がやってきた。梅雨の日だというのに雲一つない天気。

私たち3人は集合場所として決めた、私とトウヤ君の自宅の最寄り駅に集まった。

四万十川さんもこの駅が最寄り駅だっだ。あとで聞いた話であるが彼女はこの4月に引っ越してきたらしい。


「トウヤさん。わたくしの急な誘いにもかかわらず来ていただいてありがとうございます」


「ちょっと四万十川さん!私のことはどうでもいいってこと?」


「あ、あと桜柳さん」


四万十川は取ってつけたように私の名前を言った。性格ブスもいいところだわ。


「まあまあふたりとも。今日は楽しくやろうね……」


「わっ、私だけを見ていればいいのよ!」


すると四万十川はにやりと笑い、


「まあ、時間がもったいないですし電車に乗りましょう」


私のことをどういうつもりで見ているのかしら。まあいいわ、トウヤ君と一緒に過ごせる時間が短くなるのは嫌だし。


遊園地に行く路線は、いつもの学校へ行く路線と違い電車で運行されていた。いつものローカル線の列車にはボックスシートがあったがこの電車はすべて長いイスのみのロングシート。トウヤ君の右隣が私、左隣が四万十川という順番で座った。


「ちょっと四万十川さん!トウヤ君に引っ付きすぎだわ!」


「私がどうしようと勝手ですの」


「わっ、私のトウヤ君なんだから私以上にくっつくのは許さないわ」


「おいおい、電車の中なんだからやめてくれよ。周りの視線がいたいとは思わないのかい?」


「私は思わないわ」


「私も思いませんですの」


「やれやれ……」


なんやかんやで私たちを乗せた電車は遊園地の最寄り駅まで到着した。


楽しんでいただけますと幸いです。

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