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トウヤ君とのドキドキランチタイム!?

入学式の日だというのに昼食を済ませてからでないと下校ができないという何とも変わったシステムだ。入学式っていうのは昼食なしで終わって、桜がひらひら止まっている中トウヤ君と一緒に帰るっていうのが普通なはずだわ。


入学式の半日帰りの電車で仲が深まるって美しいと思ったんだけどな。まあできないならば仕方ない。この学校にはおいしい学食があるってことだし早速トウヤ君と一緒に行くことにするわ。


トウヤ君に近づき、声をかけようとしたその時であった。


「坂本東也君ですか?はじめまして。私の母が間違えて弁当を2つ作ってしまい、誰かに分けるよう言われたのですが、もしよかったらわたくしと一緒にお食事をしませんか?」


先手を打たれた。許せん。


「と、とっ、トウヤ君。私のトウヤ君。うん。私と一緒に学食いこう。ね?」


「えぇーっと、今日は弁当を持ってきていないから、その、どっちでも大丈夫なんだけど。この弁当はどうにかしないと、いけない……よね」


「と、トウヤ君!私がいながらこんな女の言いなりになるの」


「いや、だってかわいそうだろ。弁当が余ってるんだし」


「わっ、私は、トウヤ君のことが大好きですのに。そんな」


「桜柳さん、彼は困ってますわ。そんなわがまま言うものじゃありませんのよ」


四万十川は勝ち誇ったような表情で私を見てくる。忌々しい。ああ忌々しい。忌々しい。

まあ、トウヤ君をちょっと脅かせば私の言うこと聞くに違いないわ。


「じゃあ、わたし、一人で学食に行かなければならないんだね。そう。トウヤ君私のこと嫌いになってしまったんだ。私ね…、私ね……」


クラス中がシーンと静まり返る。


「わかった、わかった、わかったよ。一緒に食べような。四万十川さんの弁当」


「本当は二人っきりで学食に行きたかったけど、トウヤ君がそういうなら。うん。いいよ」


さすがはトウヤ君。「私の」計画通り。


机を3つ並べてもちろん私は桜柳君の隣に座る。


「あら、桜柳さん隣が好きなのですね。私は表情が見える前が好きですが」


「私は距離が近いほうが好き」


「さようでございますか」


ビリビリと電流が走っているのがわかる。まあ、この勝負は私の勝ちってとこね。


「坂本さん。あと、桜柳さん。お召し上がりください」


取ってつけたように「あと、桜柳さん」と言うところに性格が表れるものだわ。


「ありがとう。おー、とてもおいしそうだね」


私から見ても非常においしそうな弁当だ。忌々しい。


「あ、箸が一善しかないわね」


「あれ、それは困った」


「私は、トウヤ君となら一緒でも構わないわ。うん。気にしないで」


「いや、僕が気にするわ」


「えっ、私と同じ箸を使うのが…嫌…なの?」


目をうるうるとさせながら言った。


「わかった、わかったから。そのな、クラスの、その、クラスの視線が痛いんだよ」


「女子2人に囲まれてる時点でもうそれは仕方ないわよ」


「あっ、あー。そうだな。うん。終わったなー」


また、トウヤ君は自分の気持ちに素直になれないでいる。そう言うところが惚れてしまう。

そして、3人の食事は始まったのであった。

トウヤ君との距離が近づき、彼の瞳の中に私の表情が浮かびあがった。

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