#01 プロローグ
はじめまして!
初投稿です。つたない表現ですが、頑張って書いていきたいと思います。
よろしくお願いします!
森の中を歩き行く。生い茂る木々の隙間から時折照らされる太陽の光が心地よく感じる。
響く足音は軽快だが、足音の主の顔は真剣である。
満月のように大きな目から覗く瞳は糸のように細く、常に左右上下に動いている。
鋭く立つ耳は音一つ聞き逃すまいとピクピクと落ち着きなく動く。
鼻もヒクヒクと動き、鼻の横には『ヒゲ』が広がっている。
お尻からは生える『しっぽ』は落ち着きなく動いている。
「にゃあ~。良き天気、良きロケーションにゃのにゃ~。『現実』にゃら最高のピクニック日和にゃのに……」
足音の主はため息を吐いてぼやくも足の速度を変えることなく動かす。
「お?…にゃにゃっ!ソニダダたくさん見っけにゃ!これでC級解狂薬の素材揃ったかにゃあ?とりあえず回収にゃ!にゃふふ~ん♪」
薬草群を見つけてテンションが上がり、鼻歌を歌いながら『両手』を使い採集を始める。その姿は隙だらけに見える。もし近くにハンターやアサシンがいれば確実に襲撃を決意しているだろう。
そして、この世界には他にも隙を伺い襲撃してくる存在がいる。
グルァア!!
背後の茂みから黒い影が飛び出し、さらに速度をあげて目標に襲い掛かる。
影が目標に接触しようとした時。
「ほいにゃ!」
その目標は影よりも早く、その場から飛び退く。そして影と対面する。
「シェイドウルフ……かにゃあ」
黒い体毛を持つ四足獣。見た目は狼で体長約160cmと現実と大きく差はない。しかし、唸り声を響かせる口元から覗く牙は現実より5倍近く長い約15cmと長く鋭い。眼は赤く光り知性は感じられない。今にも飛び掛かろうとする気配を隠さない。
魔獣と呼ばれている異形の獣である。
「……僕みたいにゃ男はおいしくにゃいと思うけどにゃあ。仕方にゃいにゃ。……すー……はー……」
彼は深呼吸し集中する。そして腰に差している剣を抜く。
彼が持つ剣の幅は2cm程度と細い両刃の刺突剣である。
剣を構え、魔獣を見据える。
そして……
「んにゃっっはっああああぁぁぁーー!!!!にゃめんじゃねーぞぉぉ!!!この犬っころぉ!!」
テンション瞬間MAXで叫び魔獣に飛び掛かった。
「…………………なんだ?あれ」
「……私に聞かないでよ」
「……あぁ。あんなに愛らしく可愛かった子が……獣に…。神は…いないのでしょうか」
戦いの場から少し離れた所で複数の人影が彼を見ていた。魔獣に襲われている彼を助けようとしたが、急に狂ったように見える彼の様子に訳が分からず足が止まってしまった。
「あれってNPCか?獣人って顔とか手はヒューマンと同じじゃなかったか?」
「そのはずだけど……」
「多分ですが…レア種族かと」
「「えっ!?」」
神の存在を嘆いていた者が他の二人の疑問に答える。
「二本足で立つ猫。…妖精族『ケット・シー』」
そう。彼はケット・シーである。名前はまだ知られていない。
読んでいただきありがとうございました!