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11.『終わる平和、後編』

「前座なのにまだやるつもりかしら♪」

「私達と貴女方の約束は解除までです………」

「力が無いのに立ち向かうなんて愚かの他なにものでも無いわよ♪」

「私は真夏達を守ります。雷の双剣魔法。ボルトソード、ヘルブレイド」

右手には木の枝のような杖を媒体に雷を纏う剣を作り、左手には放電する小剣を顕現させ構えた。

「そう。殺る気なのね♪なら先に逝きなさい♪氷水の魔法。ヘルレイピア」

蒼炎は何もない所に右手を伸ばして掴む動作をするとそこから青白い刺剣を引き抜いた。

「奥義、雷演舞刃」

「あらあら♪いきなり本気?」

楓は双剣をクロスさせて振り抜くと雷を蒼炎に飛ばし、それを疾風のように追い掛けると舞を舞うように蒼炎に斬りかかった。

かつて真夏に放った時は先に出した雷をミラーシールドに反射され未完成のまま止められたが今の雷演舞刃の力は先に放った雷に楓の刃が追い着き雷の威力が数倍に跳ね上がっていた。

しかし制限された中とは言え最大限の力で放たれた不規則にして華麗な舞、雷演舞刃を涼しい顔で軌道を変えたり受け止めたりと言う動作をやってみせていた。

「うふふ♪綺麗だと思わない?」

「何がですか?」

「貴女の双剣と私の刺剣が交差する度に雷と冷気が火花を出すのよ♪」

クロスで斬りつけてきた楓の双剣を蒼炎は火花を魅せつけるように受け止めた。

「ほらね♪」

「ちっ…雷の魔法。チャージボルト」

楓の言霊と共に楓の双剣から出る雷は勢いと鋭さは増し蒼炎を押し始めた。

「うふふ♪貴女の芸の無い攻撃にはもう飽きたわ♪幕を閉じなさい。氷の魔法。アイスニードル」

楓の背後に数十の氷の針が現れると楓の背中目掛け突き刺さった。

「くっ…」

「さようなら♪楓」

蒼炎は背中の痛みに顔を歪める楓の剣を払い除けるとヘルレイピアを突き刺した。

楓は力無く崩れ落ちると同時に雷は弱まり勢いを無くし消えた。

「さぁ邪魔者は居なくなったわよ♪真夏」

「…い…や…いや…」

「大丈夫だよ♪真夏ちゃん♪私が守るから♪」

刺剣に着いた血を払い落としながら可愛らしく笑う蒼炎。

震える真夏を片足を庇いながら安心させようとする千夏。

それ等を見て、真夏は笑い始めた。

最初は心の中で段々と音が漏れ始め…そして高らかにいつものように笑い始めた。

「回復の魔法。ヒーリングフィールド」

真夏の言霊と共に緑色の粒子が千夏の脚に集まり、楓の全身を包み込み傷を癒し始めた。

「うふふ♪蒼炎ちゃん♪調子に乗りすぎだよ?」

「あらあら♪誰に向かって口を聞いてるのかしら?お馬鹿さん♪」

「ダメだよ。逃げて真夏ちゃん」

「千夏ちゃんも調子に乗ってるの?…うふふ♪皆、調子に乗りすぎだよ♪私が調教してあげる!」

真夏は立ち上がるとペンタ君を蒼炎に向けた。

「出来るなら来なさい♪」

「うふふ♪炎の魔法。ファイアーランス」

ペンタ君を媒体に炎の槍を精製するとそのまま蒼炎の元に突っ込んだ。

「今さらそんな攻撃が喰らうと思うの?」

蒼炎は刺剣で槍の軌道を変えるとそのまま左手を真夏に向けた。

「水の魔法。ヘルアクア」

「炎の魔法。ヘルフレイム」

蒼炎の左手から水の矢が放たれると同時に真夏も振り向き槍の先端から火炎を吹き出した。

水流と火炎がぶつかり合い爆風と共に夕立のような大粒の雨が中空から降り注いだ。

「真夏!千夏ちゃん!楓ちゃん!」

雨が終わり始め視界が良好に成り始めバンッと言う乱暴な音と共に幸多が現れると名前を叫んだ。

片足を庇う千夏。

ぐったりと血溜まりの中で倒れる楓。

炎の槍を構える真夏。

それに微かな微笑みを浮かべながら冷気を帯びた刺剣を構える蒼炎。

「なんでこんな事をするんだ!蒼炎ちゃん」

思わず出た一言。

楓から蒼炎と楓と真夏と千夏の事を聞かされ納得はしていたが…それでも思わず言ってしまった。

少しの間しか一緒に居なかったが良い子だと思えた蒼炎がこんな事をしてる事実を受け止めたくなかったから…

「うふふ♪マナ♪役者が揃ったわね♪そうね…私がヒールを演じてあげるからしっかりこの町を守りなさい♪マナ」

「当たり前だよ♪私は正義の魔法少女。バカと害虫に正義の鉄槌与えて町を守る。超美少女魔法使い、マナだもん♪」

「頑張りなさい♪氷の魔法。ヘヴンブリザード」

蒼炎は刺剣を一振りすると吹雪を発生させた。


「炎の魔法。ヘヴンボム」

真夏はそれに合わせるように槍の先端から火炎の球体を発射した。

吹雪は間にある全てを凍らせ、火炎の球体は間に在るモノには目もくれず球体のままスピードを上げて吹雪に突っ込んだ。

吹雪にぶつかると炎の球体は爆発を起こし、吹雪を水蒸気に変えようとした。

吹雪を水蒸気に変えようとするソレを吹雪は凍らせようとしていた。

ヘヴンボムとヘヴンブリザード両者がぶつかり真夏と蒼炎以外の全てのモノを吹き飛ばした。

両者がぶつかって出来た副産物、真っ白な霧が明けると校舎に溝ができ、地面には亀裂が入っていた。

「うふふ♪まだ出来るわよね?マナ」

「はぁ…はぁ…印の魔法。ペンタ君」

「そんな子供騙しで何がしたいの?」

ペンタ君の中にある魔法力を全部流し捨てると真夏は蒼炎に瓶の口を向けた。

しかしソレを見た蒼炎はクスクスと可笑しそうに笑いながら真夏の魔法を喰らった。

「!?!?」

「どうしたの?止めないと貴女のソレ割れるわよ?」

蒼炎の魔法力を吸収していたがペンタ君の魔法容量を遥かに上回り魔法力が溢れ出してしまいあちらこちらに亀裂が入り始めた。

真夏はソレを確認すると急いでペンタ君に栓をした。

「うふふ♪もう幕を閉じましょ♪ヘルレイピア、解除、スノーレイピア」

先程まで冷気を放っていた刺剣が雪の結晶を纏った薄い青の刺剣に変わった。

「はぁ…はぁ…」

「奥義、雪の御劔(ゆきのみつるぎ)

蒼炎は刺剣をただ真っ直ぐ真夏に向かって突いた。

他に何かをした訳でも無い、真夏も弱っていたからと言って単調な突きをかわせない程は弱ってはいない。

だがスノーレイピアは真夏の腹を貫いていた。

ソレを見た幸多と千夏はそれぞれ蒼炎に走り出していた。

「秋月流殺法!壱の型!零の章!!滅殺脚!!!」

千夏は背後から左足を軸にして凍傷を帯びた右足で回し蹴りを放ち、蒼炎の背中に当たると共に右足で蒼炎の背中にブレーキをかけ、そのまま左足で踵落とし、そして龍神波を叩き込んだ。

全ての蹴りに闘気が練り込まれており一撃でコンクリさえ破壊してしまう一撃、一撃を全て蒼炎に命中させた。

しかし…

「氷の魔法。アイスドールよ♪」

龍神波を喰らった蒼炎はパリンと言う音と共に砕けちり、少し離れた所で本物の蒼炎が微笑んでいた。

「うぉ〜!蒼炎!!!」

幸多は本物の蒼炎に駆け寄ると円を描くように右拳を振り抜きその勢いのまま左裏拳を叩き込み、そして膝を落とし足払い、倒れた蒼炎の腹目掛けて正拳突きを喰らわせた。

「もうおしまいかしら?幸多お兄ちゃん♪なら死んで♪水の魔法。真、リヴァイアサン」

千夏と幸多の怒涛の攻撃を千夏には身代わりを、幸多には魔障壁を張りやり過ごすと体制を立て直し二人目掛けて左手を突き出し、そこから蛇の形をした水を出した。

蛇は幸多を噛み砕きその勢いのまま千夏をも噛み砕いた。

真夏は遠退く意識の中、その光景を一部始終見ていた。

脳裏で祝詞が響いた。

『永久の終演。記憶の復元』

そして脳裏で紡がれる一つの魔法…

『復元の魔法。メモリーバック』

記憶が甦り始めた。

力が内から溢れ始めた。

魔法が幾重にも身体を纏い始めた。

「うっ…うぅ…」

空に雷雲が漂いあちらこちらの空間にヒビが入り始めた。

「ついに本気を出すのね?マナ♪」

「きゃ〜〜〜〜!!!」

叫び声と共に事実上、小学四年であり破天荒の真夏は死んだ。

そこには見た目、十八の大人びた少女、マナが俯きながら立っていた。

「私は…私は…もう誰も死なしたく無かったのに…」

「うふふ♪」

「貴女が!貴女のせいで!」

マナは顔を上げると蒼炎を睨み付けた。

「炎の魔法。真、イフリート」

業火が地面を裂いて現れ、灼熱が空間を包み込み、あちらこちらの空間から炎が現れ、辺りを赤一面に塗り替えた。

「うふふ♪禁忌の縛魔法。ソウルホールド」

イフリートが具現化され蒼炎に拳を振り上げた。その時、世界が割れた。

「残念♪もう終わりなのね♪でも住人の偽りの魂は私が頂いたわ♪それではまたね♪マナ」

世界から飛ばされる瞬間、蒼炎は光る珠をマナに見せながら不敵な、満足そうな笑みを浮かべた。

「くそ〜!!」

マナの叫び声と共に全ての幕は閉じた。


マナは目を覚ますと辺りを見渡した。

そこは森だった。

神聖さ溢れる森だった。

マナは何かに誘われるように森の奥に歩き始めた。

なぜ自分がココで目覚めたかは分からなかった。

ココは芒と初めて出逢った大切な森…

そして辿り着いた。

芒を命に掛けて護ると誓った湖に…

そこには柄に宝玉がはまった槍が浮いていた。

『マナ…覚えてるよね?』

槍がマナに語りかけてきた。

「もちろん。覚えてるよ…」

マナも槍に応えた。

『なら僕の事も分かるよね?』

「うん。ペンタ君でしょ?」

『よかった。ならマナ…また力を振るう気はある?フォースガードの力…』

「……ペンタ君…行こ♪」

『それが答えなんだね…分かった行こう。マナ』

マナは右手を伸ばしペンタ君を掴み一閃振るった。

「マナ………」

「楓居たんだ…」

「私は………」

楓は悲しそうな表情を向けると双剣を構えマナへ走り出した。

マナは冷たく楓の動きを見つめるとペンタ君を一閃して双剣を吹き飛ばし楓の喉元に矛先を当てた。

「なぜ止めたのです。私は貴女を殺すつもりでした………」

「そう……相変わらず嘘が下手ね…」

「私は本当に」

「貴女じゃ私を殺せないし私は貴女を殺さない」

「………」

マナは楓をその場に置いて歩き始め湖の入り口で振り向かず言葉だけを残した。

「それに…貴女が死んだらニクルも千春も…私も悲しいもの…」

ただその一言を残すと湖からマナは完全に出ていった。

……

………

第一部『魔法少女と平和(?)な町』(完)


真夏「千夏〜!!!」

千夏「真夏〜!!!」

真夏「打撃の魔法。ペンタ君デルタアタック」

千夏「秋月流殺法。壱の型。零の章。滅殺脚」

千夏「はぁ…はぁ…うっ……」

真夏「はぁ…勝て………」

幸多「…何やってんだ?お前等」

楓「全くです………」

幸多「お〜い。生きてるか?千夏ちゃん、真夏」

千夏「うにぅ…」

真夏「…うふふ…むにゃ…」

幸多「………」

楓「復元の魔法。リターンフィールド」

幸多「なぁ…こいつ等どうするんだ?」

楓「…知りません。私は帰ります。真夏は良いですが千夏に何かしたら訴えるだけではすみませんよ?………」

幸多「はぁ?俺がなんでそんな事しないといけないんだ?」

楓「癒しの魔法。ヒーリングフィールド。それでは帰ります……」幸多「帰れ。帰れ」

真夏「うぅん…幸多…さん?…乱れた服、寝てる私と千夏ちゃん。そして疲れてるぽい幸多さん♪やっぱり、アレだよね♪」

幸多「なんだ?」

真夏「炎の魔法。ファイアーブレス」

幸多「酒切れだろ…が…」

真夏「寝たから大丈夫だよ♪」

千夏「むにゃむにゃ…」




はい。と言う訳で本編も終わりました♪

後書き物語りも今回で終わりです

次は番外編で締めです♪

そして…ラストに告知が!


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