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ダークネスライト  作者: 京 ゆう
序章 ゲーム世界幽閉
6/42

説得不可

「イズナとなら大丈夫!問題ない!」


「これは………」


「ムリ………」


 静かに二人が諦めの言葉を言ったが、それは頭で理解することか、メリサを説得することか。後者でないこと願いたい。………もしかして両方か?

 仕方ない、もとから説得できるとは思ってなかったし、それならそれで条件をつけさせてもらおう。

 お互いの身を守るための条件だ。


「着いてきても良いけど、俺の言うことには従ってくれ」


「はっ嫌だね!」


「メリサ以外に従うなんてありえない!」


「二人とも………。イズナ、お願いするときはちゃんと!」


「なんで……、はぁ~俺に従って、ください!」


 まったく話しを聞かない二人に対して、落ち着くように微笑みながらも威圧している。

 おかげで二人はため息を吐き、お茶を飲むのが重なった。

 俺は俺で長く深くため息を吐いて、嫌々に言葉を出す。

 メリサがいる前で命令するのは諦めたほうがいいのか?まあ、メリサに命令するのは無理なのはわかってる。


「………うーーん、やっぱりイヤ!!」


「今日知り合ったばかりのヤツに従えるか!」


「二人とも………」


「いい、メリサ。………なら、死ね。俺は寝るから」


 「この部屋を自由に使ってくれ」と、言い残して俺は出ていった。

 冷たく告げた言葉のあとに微笑んで、出ていく俺を止める奴はいなかったが、背後からメリサの深いため息が聞こえた。

 俺が何を言っても意味はないだろう。だから、あとはメリサに頼んだ。いつも押し付けやがって、たまには面倒事を受け持て!

 その意図をきっとメリサなら理解している。それであとで文句を言いにくるはずだ。


 俺のそんな考えを知ってか知らずか。部屋に残ったメリサは小言を言う二人に聞こえたないように、「仕方ないね」と言った。


「メリサぁ、たしかにあいつは生産に関しては、スゴい技術を持ってるけどさぁ。やっぱりここのボスを倒せるとは思えないよぉ」


「オレ達は倒すつもりなんてなかったはずだ。アイツは置いて帰ろう」


「………そうだね。二人は帰っていいよ」


「っ!?そんなこと、できるわけないよ!!」


「アイツと一緒に死ぬつもりか!!」


「ううん」


 立ち上がって怒鳴り声を上げる二人が、メリサは自分のことを心配してくれているのはわかっていた。そして自分が二人と帰ったところで俺が別に気にしたりしないことも。

 けれどメリサは、そうしてしまったら俺との距離がさらに離れる気がしていた。

 死と隣り合わせだとしても、離れてはいけない。手を取って歩くことはできない、ならせめて目に見える所に。だから首を左右に振り、帰るのは拒絶した。


「私は死なない。大切な仲間を残して死ねないから。それにイズナとなら絶対に大丈夫!」


「どうしてそこまで信用するんだ!」


「どうして私がイズナをギルドに誘ったのか、どうして信用するのかを二人には見て欲しかった」


「わからないよぉメリサぁ………」


 メリサ自信、俺のことを全てわかっているわけじゃない。何故信じられるのかも曖昧だった。

 説明するのは難しいから、見てもらったほうが早い。そう考えて行動したが、疑うもの同士噛み合わない。

 「なんとか説明するしかないね」と、小さく呟き、再び深くため息を吐いた。


「言葉も態度も悪いけど、イズナは二人を心配して言ったの。ここは難易度が高いんだと思う。それこそ二人も、私も足を引っ張るほどに」


「アイツが一人でクリアできるならそれはないだろ?」


「ていうか、できるなら着いて行かなくたっていいよねぇ?」


「イズナはね、強い。誰よりも強い。自分の弱さを知ってるから。強くなるために弱さを捨てて、いつか自分をも捨てる。そんな気がするの」


 メリサの言葉に肯定も否定もせず、ただ二人は聞いた。

 その言葉には、自分達に向けられない感情がこもっていた。羨ましく思ったが、何より自分達以上に信頼しているとわかった。


「今回はイズナのことは信じなくてもいい。けどイズナを信じる私を信じて」


「………メリサがそういうならぁ」


「明日、無理そうなら帰るからな」


「ふふっありがとう♪」


 二人に先に休むように伝えたメリサは、俺が歩いて行った方向へ一人向かう。

 家の構造がわかるわけじゃないが、メリサには俺がどこにいるかだいたいわかっていた。


「一人になれるところか」


「そのほうが落ち着ける。でしょ」


「ああ」


「嘘つき。寂しくなるからでしょ」


「他人を気にできるほど、俺は強くないんだ」


「そう♪」


 まったく、屋根まで来るか?

 機嫌が良いところをみると説得できたようだが、明日あいつらも着いて来るのか………。どこまでやれるか見させてもらおう。

 さてと、メリサが何か期待する目で見てくる。なんでだ?とは思わないけど、あげられるものなんて有ったかどうか。

「待ってろ」と言ってアイテムボックスを探る。


「……あ、これやる」


「革の手袋?」


「俺特製の高い補正能力がついた手袋だ。能力的には普通の籠手を超えるぞ」


「………ふふっ、私に合った補正ばかりなのは偶然かな?しかも普通?」


「さあ?」


 とは言ったものの、速度や体力に技術等々の最高値近い補正がついてたらわかるか。

 ………使う武器が大剣ってのもあって、力重視なんで攻撃速度が遅く、大振りになってしまう。そんなメリサの弱点を補う手袋だ。しかも防御力もあり、鉄よりもかなり丈夫。

 そんな革手袋を填めて手を動かす。白地に手首から5本の指に沿うように赤の線が装飾されている。それを指で辿っていたメリサは、小さなてんとう虫の装飾品に気づいて微笑む。


「ありがとう!私からはこれっ!」


「なっなんだ!?あっおま、危なっ!!」


 メリサはいきなり大剣を投げ渡してきやがった。しかも刃がこちらを向いている。

 唐突のことに動揺しつつ反射的に刃の側面を弾いて回転させ、タイミングよく柄を掴む。

 焦って冷や汗を掻く俺を笑うメリサは隣に座った。


「イズナ慌てすぎ!」


「お前は危なすぎだっ!」


「それあげるから、ね!イズナが私のレベルを越えたことにイラついてたの」


「メリサ………明日になったら俺いないから」


「この世界に?」


「先に行くって意味だ!そもそも俺は大剣は使わないぞ!」


「知ってる!」


 俺の主な戦闘スタイルをよく知ってて大剣を渡すとか、悪意があるとしか思えない。

 レベルは越えられても、大剣の熟練度は越えられないとか言いたいんだろうか?


「そうじゃなくって、鑑定してみ♪」


「………」


 メリサに疑いの目を向けつつ、手元の大剣を鑑定スキルで調べる。

 そして武器の性能に驚き、目を見開く。

 これは最高位の、幻想級だ!?


 確か神様が作り出した幻の武器。この世界に同じ物は無く、唯一無二の最強の武器だ。

 鑑定スキルの結果と現物を何度も見て確かめる。

 そして驚きのあまり血の気の引いた青い顔で、俺に渡した張本人を見る。


双神刀影灯(そうじんとうかげあかし)。幻想級最弱最悪の武器よ」


「は?最弱最悪っていっても幻想級なら、とてつもない強さだろ」


「殺し合ってるとしても?」


「なんだそれ?」


「スキルを見て」と、大剣を指差すメリサに促されて下の欄にあるスキルの効果を読む。



〔影神の加護〕

 全能力の完全向上

 全状態異常無効

 常時回復

 スキル合成

 灯神の加護を無効にし、使用者の能力値を1にする


〔灯神の加護〕

 全能力の限界向上

 状態異常自由付加

 スキル完全強化

 スキル変化

 影神の加護を無効にし、使用者の能力値を1にする



「ああ~……これは最弱最悪だ。スキル効果を相殺したうえに能力値を1とか、しかも………」


 幻想級に浮かれていたが、よくよく見れば大剣じゃない。長さの違う白黒の2本の刀が刃を向かい合わせて結合した形状だ。

 つまり大剣ではなく刀、武器だが殺傷能力0。というか1はあるのか。

 慰め程度にもならない………。こんなものをどんな理由で作成したんだか。

 刃と刃合わせてる見た目からしても相殺しているのが、わかる?


「………もしかしてっ。メリサこれくれるんだろ?」


「どうしよっかな。そういえばギルドメンバーの育成が大変なのよねぇ!」


「わかった、ギルドを手伝ってやる。けど、入るかどうかは別だぞ。あと、一月だけ待ってくれ」


「やった!安心して、勧誘はしても強制はしない」


 俺を見つけては勧誘したり、強制的にギルドに連れて来たりしたくせによく言う。今日だってわざわざ着いて来て、無理矢理今の状況に持ち込んでいるくせに。

 まぁ手伝うだけで幻想級が手に入るんだ、安いもんだ。

 もともとは無償だったはずだし、メリサに填められたことは多少気に障るが。


「手伝うのは手が空いてる時でいいよ。そもそも、その刀が使えるのはイズナだけだしね!」


「何のことだ?」


「さあ?」


 ゲームだった頃の設定上、いくつかの出来ないことがあった。

 多様なことが出来ても、出来ないことは出来ない。だが、それはゲームだった頃の話しだ。と、俺は思って色々とやっているのを見られたか?


「メリサ、お前はストーカーか?」


「失礼ね!一人ぼっちのイズナを見守ってあげてるの、感謝してよ!」


「はいはい」


 ほぼストーカーじゃないのか?かなり隠密スキルが高いようだし、俺は察知スキルとか高めて驚かしてやるか。なんかメリサに観察されてるようで気に食わない。


「そうだ、たまには家に帰らないと駄目よ」


「家?俺の家はこれだぞ」


「この家じゃなくて、マイホームのほう」


 マイホームか………、ずいぶんと帰ってない。

 ゲームの頃から、ある程度の金額で家を購入できた。

 昔は無駄遣いだと思っていたが、こうなってからは宿で寝泊まりするよりも安いと考えて買ったんだっけ。


「あの家は人にやった。俺の家じゃない」


「本人は待ってた。生きてるの伝えたら良かったって安心してた」


「行ったのか?そうか、俺も安心した」


「それは直接会って言って。あのレベルじゃイズナに会いに行けないから。女の子を待たせるなんて最低よ」


 武器や金、生活できる程度は渡していたが、もう無くなっているだろう。生きてるってことは上手く生活できているってこと。

 メリサは納得しないだろうが俺は、まだ会いに行けない。そう伝え、代わりに渡してほしい物がある。と、てんとう虫の飾りが付いたブレスレットを渡す。


「フレンド登録してなかったから、これで互いに生きてるってわかる」


「イズナ、少し寄るぐらい。別に1日で何か変わるわけじゃないよ」


「変わるさ。少しの出来事で人の心は変化する。そこを戻すのは難しいんだ」


 全部終わったら必ず会いに行く。この約束をしてメリサを納得させた。

 人と出会って話したり、冒険するのは楽しい。けれど、今の俺が求めてはいけない。

 楽しさよりも効率的に早く強くならないといけないんだ。一度の繋がりが何度も重なって、離れるのが辛くなるから。


「私は離れない。隠れたって見つけて、どこにいたって捕まえる」


「捕まるのは、勘弁だ。警察か?」


 月夜に屋根の上で談笑し、眠気が入った頃にそれぞれ部屋に戻って眠った。


 翌日になってクァルとコトミの二人に疲れがみられた。どうやら、いつモンスターに襲われるか、複数に囲まれたらこの家でも無理なのでは、と気が気でなく二人は眠れなかったようだ。

 俺とメリサは熟睡して疲れが取れ、気持ちのいい朝に、隈をつくる二人を笑う。

 俺だけ睨まれたが気にせず、朝食など支度を済ませた後は家を直して冒険に向かう。


「まさか料理ができないとか。流石イズナ、抜けてる!料理スキルとか簡単に習得できるのに!というか無くて何食べてたの?焼いただけの肉とか野菜?………生野菜、生肉とか食べてた?原始人!?」


「生で食っても美味いやつは美味いぞ!」


 隣を歩くメリサが物凄い笑ってる。理由は俺が料理スキルを習得してないから。

 スキルがないと調理できない物が多く、生活していくうえで習得必須のスキルといえる。それを習得していないなら、焼くや切るなどの簡単な調理しかできない。だから今日の朝食はメリサが作った。

 そこは感謝するが………。俺の食生活の栄養面とか心配はせず、ただ想像して笑ってる。

 ………うるさい。

 後ろの二人は疲れで静かなものだ。


「後ろの二人と違ってなんで疲れてないんだ?モンスターが襲って来るとか考えなかったのか?」


「考えなかったわけじゃないよ。けど、一度見たし、イズナが大丈夫って言ったら大丈夫!」


「どこからの自信だ?俺がミスってる可能性もあるのに。そもそも最初はモンスターの鳴き声がうるさくて眠れないだろ?」


「そうね、耳栓してたから。それよりイズナ、モンスターと出会さないのはいいけど、ボスはまだ?」


「もう少しだ」


 後ろ二人の能力を見てやろうと思ってたけど、眠ってないせいで疲れが蓄積してる。

 休憩をとっても眠らないと眠気は取れないし、こんな所で眠れない!とか言ってるから早くボス倒して帰った方が良さそうだ。

 予定が完全に狂った。

 モンスターを避けるために本来の道を外れ、森を突っ切ってボスのいる場所に向かう。


「おっ見えた」


 森を抜けた先に高い外壁に囲われた場所があった。その中にボスが待ち構えている。

 壁沿いに歩いて正面の巨大な扉前で立ち止まり、装備やアイテムを整えてっと。


「これ持っとけ、攻撃を防いでくれる。俺が戦っている間は壁際で待機、援護射撃とかサポートはするな」


「んなっ!?バカか!!モンスターレベルから考えてボスは一人で勝てるヤツじゃない!」


「バカだと思ってたけど、私達を囮に一人で逃げるつもり?メリサ、帰ろう!」


「わかった」


 すぐに返ってきた答えが予想外で二人はわずかに戸惑い、頷いて帰るために転送玉の準備をする。

 が、メリサは扉へ歩いた。答えはコトミに対してではなく、俺に向けてだった。

 昨日説得したんじゃないのか?全然納得してないぞ?


「二人は帰って。私を信じられないなら来てくるなくていい」


「なっなんでだ!? なんで信じられる!!」


 二人を突き放す冷たいメリサの言葉にクァルが反論した。それは当然で正解だ。たった一度の判断で、たった一度間違えただけで生死が決まるんだ。

 モンスターの基本レベルが上昇の一歩を辿っている今、安易な信用や選択は死を意味する。

 疑問と疑念を持ち、警戒するのは正しい。

 俺からしたら、むしろメリサの思考が異常だ。


「仕方ないなぁ、メリサに着いてくよ。昨日話したもんね。カルは帰ってて」


 おっ意外とコトミが先だったか。あとはクァルだが、どうする?名前も間違われてるぞ。


「俺は………死にたくない。俺達三人がいなくなったら、他のギルドメンバーはどうなる?だから俺は先に帰る。待ってるから、早く帰ってこい。こなかったら俺、クァルがマスターになってやる!」


 そう混ぜてきたか。というか流れ的に一緒に来ると思ってた。

 こっちも意外だな。言い分は理解できるけど、メリサとコトミがへぇ~帰るんだ~、と冷たい視線を向けている。

 それを浴びていづらくなったクァルは転送玉で帰った。

 クァルがいなくなった所で、援護やサポートをしないことを再確認する。


「俺が何をしようと手を出さないでくれ、邪魔だ。あと一番重要なのが、俺がやられたら転送玉を使って逃げてくれ」


「わかった。帰ったらお昼奢ってね!」


「えっちょ!………ううん、わかった」


「どこで食べるか考えとけ。行こう!」


 俺の我が儘に従ってもらうんだ、昼を奢るくらい構わない。勿論ここにいる二人だけにだ。クァルには奢ってやらない。


 扉を開いて足を踏み入れ、俺達三人が入ると自然に閉まる。壁に囲われた空間の中央に普通の何倍も大きなモンスターが待ち構えていた。


「ううぅん、岩猫か。ちょうどいい」


「早くね、歩き疲れた!」


「ああ、ちょいと行ってくる」


「ちょっと待って!本当に一人で!?あ、あのモンスター……ロックキャット?物凄い速さと硬さで強力な攻撃をしてくる?しかもレベル………」


「216だな。まだキング級じゃないし、メタルより柔い」


 岩の身体は一見滑らかで柔軟に皮膚のように動いているが、硬度は岩より高い。コトミの言う通り、とにかく速くてすばしっこいんだ。さらには規則性の無い動きで翻弄してくる。

 本当に面倒だ。


「あ、重要なのをもう一つ忘れてた。ここで見たのは内緒だ、信頼できる相手だろうと誰にも話すんじゃないぞ」


 二人が壁際に寄っていることを確認し、帯で目隠しをしてゆっくりと前に出る。

 右手に切っ先で三つの剣が合わさったような剣、空三(カラミツ)。左手に三つの歯車が高速回転する剣、轟剣(ゴウケン)を握る。両方とも伝説級でも上位の武器で攻撃力と耐久性が高い。

 警戒を強める岩猫に、腰を落とした低い姿勢で空三を左後ろに回し、左手を頭まで上げて切っ先を前に向けた構えをとる。轟剣を逆手に持ち変え、深く息を吐く。


「〔リミット〕解除、ライフと体力と防御に〔リミッター〕発動、〔カウント・ガード〕開始。…………すっ!!」


 息を吸って歯を食い縛り一気に吐く、同時に踏み出す。初速から全速で、岩猫に動かれると面倒だから。

 その前に接近、首筋を轟剣の回転する刃で攻撃。

 それによる連撃でカウントが溜まったら、痛みに仰け反らせる隙も与えずに空三を喉深くに突き刺して柄を蹴り上げる。

 柄が鍔に入り込み、切っ先で重なっていた刃が左右に開いて肉を切り裂いた。

 生暖かい液体が左足を濡らして気持ち悪い。

 気配が消えたな、剣を引き抜いてやることやって帰ろう。


 目隠しを外してドスッと音のした方向を見ると、半分以上切断された首から大量の血を流す岩猫が倒れていた。

 隙間から首の中が見えるが、やっぱりグロい。気持ち悪くなったり、吐いたりしなくはなったけど。

 三・四週間前からデータが血肉に変わった。

 リアルに近くなってライフ関係なく急所を刺せば倒せるし、素材以外のモンスターの肉を食べられる。

 最後のは俺だけだと思うが、意外と美味しいんだ。


「〔カウント・ガード〕解除、〔リミッター〕解除、〔リミット〕発動っと」


 スキルを戦闘前の状態に戻したら、岩猫を解体して分け、ボックスに入れる。

 あ、今度岩猫の肌みたいに動く岩の鎧を作ってみよう!


「よしっ、解体スキルもなかなか上がったな。……ん?おーい帰るぞ!」


 倒したら壁際から離れていいって言ってなかったから動かないのか?いや、口が半開きだし、単純に驚いているのか。

 オリジナルスキルだけど、そんな驚くようなところなんてないだろう。

 もしかして解体のせいか?


 動かないから俺が二人のところまで行くと、二人の顔には戸惑いと驚きやら何やらが混ざった可笑しな顔をしていた。


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