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ダークネスライト  作者: 京 ゆう
第一章 訪れる衝撃
19/42

反省会にて、ラドとサレスの調査報告

新年あけましたね、おめでとうございます!

もっと早く投稿するつもりだったんですが、遅くなりました……。

まあ、とにかく!今年もよろしくお願いします!

 ある日の授業で俺達は、衝撃を受けた。

 努力して強くなっている自信があった。なのにそれは、己惚れと思い知らされた。

 それは突然学園に現れた、ある人物によってもたらされたもの。

 その人物は黒髪黒目で、右目が髪で隠れている。

 髪は腰までの長さ、それを後ろから少しずれて結っている。

 髪を纏めるのが下手なのがよくわかる。


「ぐちゃぐちゃだし、あれは髪を結び慣れてない感じね」


「ちょうど俺もそう思ってた。今まで結んでなかったんだろうなって、そんなことはいいんだよ!」


「ぁっちょっと、声抑えて」


「わ…わるい………」


 独立学園都市クロッツノワにある校舎の一角を、朝日に長い黒髪の揺らす生徒が眠たげに歩く。後ろには茜色の模様のある風変わりな白衣を着た、海辺を照らす夕日のように美しい女性が楽し気に歩調を合わせる。


 学園に通う生徒は庶民から貴族、王族までありとあらゆる者がいる。様々な者が通う為貴族、王族などは従者を連れ歩くことが容認されていた。また、従者の服装を着飾ることで身分の高さを自己顕示するものとなっている。

 だから従者を連れ歩いていることは珍しくはない。けど………。


「やっぱりミコトさんって綺麗だよなー」


「顔さえ見られない人もいるくらいだものね」


 ミコトさんの顔を見てはすぐに頬を染めて顔を逸らすのは、生徒も従者も同じ。その気持ち、よくわかる。俺も初めて闘技場で見たときは、直後に顔を逸らしてそれから見れなかった。今では恐怖心と憧れが勝っているからか、見れるけど。


「シヅナ先生って嫉妬で恨まれてそうだよな。本人は絶対気にもしないだろうけど」


「でも、シヅナ先生とミコトさんに何かしようとした人は地獄をみるわね。主にミコトさんから」


「……………」


「あなたは睨まれたことがあるものね。私はそのとばっちりを受けたけど……、思い出したくはないわ。正面から受けたあなたはどうだった?」


「うぅぅぅ………」


 何気なく訊いただけだったが振り向いた先ではラドが身を抱いて震えていた。それはもう極寒の地にいるかのように。

 よっぽど怖かったのね。


 前方を歩く二人は登校する生徒の波に紛れていく。

 慌ててラドを引っ張って後を追ったけど見失ってしまった。

 朝早くから校門前で待ち伏せしていたけど、もうすぐ授業が始まるこの時間は行き交う生徒が多くて尾行が難しくなる。私も授業があるからこれ以上の尾行はできない。先生の時間割でもわかれば楽になるのに………。


「今回はここまで、か」


「そうね。仕方ない、放課後ここで先生を待ち伏せね。あなたより先に先生が来たら追ってるから」


「当然だ、シヅナ先生を尾行して情報を得るのが目的だからな」


 集まっているシヅナ先生の情報は僅か。ギルドカードにはランクE、レベル5って書かれていたけどそんなのは絶対に間違えだ。ギルドカードはごまかせないはずだけど、シヅナ先生のは間違ってる!じゃないと説明がつかないというか、こっちが納得できない!第一、この学園の教師になれるわけがないんだ。しっかりは見てないけど所属も無所属だった。

 実力的には噂くらい聞こえてきてもおかしくないのに、全く無い。つまりは誰かの権力、影響力のある人物に実力を認められて教師になった。いや、シヅナ先生の様子だと、ならされたって感じだな。授業を始める時、面倒そうにしてたし。

 それにしても、まさかなんとなく話しかけたら、先生だったなんて本当に驚いた。学園長の推薦だったから歴戦の戦士とかが来ると思ってたのに自分たちと同じ生徒だからな。前もって説明が欲しかったところだけど、生徒が教師とか言われても信じなかっただろうし、授業になんて行かなかっただろう。そういうことを考えての配慮か。


 あんなに強いシヅナ先生がどんな授業受けてるのか、気になる。教師をやってるくらいだからある程度の教養はあるってこと。なら、そのうち噂とか聞こえてくるかもしれない。


「よっ、まだいるってことは、シヅナ先生はまだ来てないんだろ」


「ええ。でも、私もついさっきここに来たばかりだから、もしかしたら先に帰られたかもしれないわね」


「じゃないことを願う」


 授業が長引いたせいで若干出遅れてしまった。場所が遠かったのもあるけど、全力で走って来るべきだった。……今更考えても仕方ない。

 学園の出入り口はいくつかある。あってもこの広い学園、かなりの距離がある。何か用事でもない限り、わざわざ違う所から出ないだろう。

 もし今日の朝は見つからなかったら、一日ごとに違う出入り口で待ち伏せしようと思ってた。一日目で見つかって良かったな。すぐ見失ったけど……。


 建物の影に隠れる二つの影。見つめる先の生徒の波が途切れ始めてまばらになり、誰もいなくなって日が暮れるまでそこから動くことはなかった。

 結局その日、時綱が現れることはなく。

 不完全に終わった二人は寒空の下、無口のまま重い足取りで帰っていった。


 明日こそは朝の授業を確認して、休み時間ごとに尾行して次の授業を確認。放課後はどんな所に住んでいるのか突き止めてる!

 二人は話し合わずとも心中で考えたことは奇しくも同じだった。


 翌朝、昨日よりも少し早く二人は校門で待ち伏せを決行した。そして昨日と同じ時間に登校する時綱と命を尾行する。

 いろいろな意味で目立ち、注目の的となる二人。何故昨日は見失ってしまったのか。

 そして………。


「今日も見失ってしまったな」


「そうねー……」


 連日、ラドとサレスの調査は続いた。朝の待ち伏せでは必ず同じ時間に時綱が現れ尾行を行う。けれど、見失って放課後に待ち伏せ。しかし、実らずに明日へと思いを繋ぐ。


 何故こう毎日失敗するのか。

 なんとも単純なことにサレスは気づいた。


 初日は目を逸らしたせいで見失ってしまった。反省して次の日は目を絶対に目を離さないようにしていた、けれど行き交う生徒に紛れて見失ってしまう。あんなに目立つ髪色をしてるんだから見失うはずなんてない。だって、紛れた瞬間は凄く浮いてる。それが少ししたら見えなくなってしまうなんておかしい。

 いくら待っても早く行っても場所を変えても二手に分かれてみても、放課後は見つけることすらできない。

 普通こんな広い学園に、毎回違う出入り口から通う人なんていない。シヅナ先生はそんなことをするようには見えなかったし。だとしたら答えは出たわね。

 少し考えれば、あんな実力を持った人がそう簡単に尾行なんてされるわけがない。

 ……最初から気づかれていたってことね。


 気づいても、考えてすらもないでしょうね、こいつ。


「はあー……、今日はなんとしても成功させたいな」


「ええ、明日はシヅナ先生の授業だし。流石に疲れて学業に支障が出てきたから今日が最後ね」


「毎日早く起きて待ち伏せ、放課後は遅くまで待ち伏せだからな」


 明日のシヅナ先生の授業が何するか知らないけど、淡々とした普通の訓練をするとは思えない。より辛いもののはず。だから今日は早く帰ってしっかり休んで備えたいわね。

 最後の調査。毎回朝だけは見つけて尾行ができる。なら、チャンスは朝しかない。


「ねえ?」


「ん、なんだ?」


「ちょっと先生がどんな授業受けてるのか探ってきてくれない?」


「は?」


「授業サボって探ってきてって言ってるの」


「はあ?」


「朝しか先生が見つからないでしょ。だからそのまま接近して撒かれないように尾行するのよ。あなた一人で」


「いやいやいやっ、無理だって!今からの授業、実践魔術なんだよ。知ってるだろう、あの授業のカリュユ先生って優しいんだけど、採点とか厳しいって。病気とかの理由がないとかなり減点されるんだよ。しかも証拠がいるし」


「その授業なら私も取ってるから知ってる。けどそうしないと諦めるしかないのよ」


「くぅ~~~~…………、あああああぁぁぁくぅそおーーーー」


 実践魔術はサボりたくないし、サボれない。シヅナ先生とミコトさんのあの強さ。只者じゃないことはわかるけど、あの歳でどうしてあんなに強いのか、どういう人でどうやって強くなったのか知りたい。この学園の教師になったくらいだから大きな後ろ盾があるはず。その後ろ盾がシヅナ先生が強くなれた理由なら俺も………。

 けど、そんな不確かな可能性を追いかけて実践魔術を諦めるわけにも……。俺、魔法苦手だからなあ………。


 朝日の射し込む静寂に包まれた空間に透き通る一つの声。机に広げた教科書とノートと黒板を視線が往来し、忙しなく手を動かす。

 暖かな日和を喜ぶ小鳥の囁きと、ペンの走る音が寝ていた睡魔を呼び起こした。緩む瞼を落とさないよう引き留めるが、漂う意識が舞うまでそう時間はかからないだろう。

 従って頭が波を打つ。迫り来る睡魔が意識を刈り取りる一歩手前だ。


「悪いみこと、ここなんて読むんだ?」


 彩られた眠気に、聞き覚えのある声音が波紋を立てる。

 うっすらと消えていく聞き覚えのある声は、きっとサレスのものだろうと連日にわたって蓄積した疲れで気にもせず意識は揺らぐ。


「ここは、魔術を用いる術師は後衛にての攻撃及び支援………」


 今朝、時綱は現れ、そして見失ってしまう。いつもの結果に溜め息を吐きつつ、授業が優先と調査は諦めた。

 偶然にも二人は同じ授業を同じ教室で受けていた。そのため聞き覚えのある声をサレスのものだと思った。が、何か違う。


「ん………?」


 鏡面にさざ波が立ち、浮かんだ疑問が睡魔を沈めて意識を荒立てる。

 おもむろに向けた目が徐々に見開かれた。


「えっ先生!?」


 視線の先、ミコトさんが机に座るシヅナ先生の質問に後ろから答えていた。

 今朝見失ってしまったはずの時綱が何故か同じ教室で机に座って勉強している。まったく予想だにしていなっか事態に思わず声を出してしまった。


「………なんでしょうか?」


 結果、周囲の視線を集めたうえに、帰って来たのは教卓にいるカリュユの声と鋭い視線。

 慌てて口を塞ぐがもう遅い。しかし、ラドと同様に口を押え、驚いている生徒がいた。

 今にも眠りそうなっていたラドの突然の声は寝ぼけてのものだろうと呆れ、振り向いた視線に時綱と命の姿が映り込んだサレスは同じ過ちを犯さないよう咄嗟に口を押える。


 カリュユは至って真面目な教師だ。公平であり人として好ましくないことには厳しく。それが信条なため、とても厳しい教師として知られているが、最後まで授業を受けたことのある生徒は一様に優しい教師だと答える。

 魔術師のローブを身につけ、髪はしっかりと纏めて結われ、眼鏡をかけた姿は凛としている。厳しい教師だといわれるのには、そのような外見も関係しているのだ。


 怒られたうえに減点されると慌てたラドは立ち上がって深く頭を下げて謝罪した。

 何が原因で先生と急に呼ばれたのか疑問は残ったが、ちゃんと謝罪をしたし今回が初めてだからお咎め無しにしよう。

 この時はそれで良かった。しかし、やはり後から気になってくるものがある。

 突然声を上げた生徒は明らかにある生徒に視線を向けていました。最近教師間で問題となっている生徒。学園に通う一般の生徒と変わりない年齢に見える生徒。従者が見惚れる程に美しい女性だということ以外、髪が長いという印象だけの生徒。けど、先日学園長直々に教師として紹介されました。なんともおかしなことです。更にそのことを生徒に私達教師から伝えることは許されず、その授業がどのようなものでいつどこで行われているのかは公開されていません。なんとも怪しいため学園長に聞き質した教師もいたが頑なに拒まれたらしいですし。

 教師陣から問題とされている謎の多い教師である生徒。その生徒に対して先生と言ったのなら、突然声を上げた生徒は噂の授業を受けているという予想がつきます。


 怪訝な視線を向けられた生徒、時綱は今訓練場にて目標の的に魔法を放っていた。離れた所で従者の命が暖かな眼差しで見ている。


 普通……、よりも下です。魔法に込める魔力量があまりにも少ないために比例して威力も低いです。保持している魔力が少ないんでしょうか?しかし、あの様子ではどう見ても魔法初心者。教師の試験を合格できるとは思えませんし、教師をすることも難しいです。


 それには同じように訓練をこなすラドとサレスも同意見だった。

 前回の授業では異常なほど頑丈な障壁を作り出し、ミコトさんの強力な三属性魔法を退け、更に攻撃にまで用いていた。それほどのことができるのに、あまりにも弱い。


 自分の記憶にあるものが本当は夢ではないのかと疑うほどの光景にラドとサレスは呆然としていた。そんな時、ふとあることが頭を過る。

 二限ある実践魔術の一限目、教室で行われた座学中、揺れる意識の中に聞こえた声に目を覚ました時のこと。

 シヅナ先生はミコトさんに教科書を読んでもらっていなかったか?その後も何度かミコトさんに文章を読んでもらっていた。


「そういうことで、たぶんシヅナ先生は文字が読めないし、普段は実力を抑えてる」


「後でカリュユ先生に訊いたけど、今年の転入生だって。この学園に来る前のことはカリュユ先生もわからないそうよ」


「そうなんだぁ。二人ともお疲れさま!でも、それだけしかわからないと、気になってくるね」


「だよなぁ。絶対に有名になっていてもおかしくない人なのに噂すら聞こえてこないし」


「私、結構世の中のことについては知ってるつもりだったんだけど。全属性を扱える人は聞いたことあっても、あんな障壁を使える人は聞いたことないわね……」


「うん、聞かないし、知らないよ」


 時綱の授業が終わった後の放課後。独立学園都市といわれる所以でもある、クロッツノワ学園を囲うように存在する都市部。そこにある喧騒に包まれたレストランに四人の生徒がいた。全くの接点などなかった四人は今、接点となった授業の反省会をするために集まっていた。のだが、最初に話題に上がったのはその授業を担当している教師、時綱のこと。


「なあ、お前は何か知らないか?」


「っえ、ぼ、僕は……何も知らない。ごめんね……」


「いや、ここにいる全員知らないんだから、謝らなくていいって。………っそういえば、木剣が反省点みたいなこと言われてたよな」


「あ、うん、ごめん……」


「な、何かあるのか?」


 先程の授業中の冷静に指示を出しながら剣を振るっていたのに比べて、なんとも弱気な様子のナクサに形容しがたい違和感をラドは感じていた。


「じ、実は僕が使っていた木剣、先生からもらったんだけど……」


「ああ、シヅナ先生が渡してたな」


「う、うん。あの木剣ね、……普通の木剣じゃ、ないんだ」


「ん、普通じゃないってどういうことだよ?何か違いがあるようには見えなかったけど」


 

「見た目は、普通の木剣に思えるんだけどね。持ってみるとわかるんだ……」


 先生に何気なく手渡されて木剣を受け取った時、急に魔力を吸い取られる感じがして変だなって思ったら身体にまでなんだか楽になって、先生との訓練中はいつも以上に動けた。思考も速くできて自分の意識した行動との速度の差に最初は戸惑ったんだ。


「えっと……あの木剣はね、魔力と引き換えに少しだけ、身体能力を向上させるみたい、なんだ」


 たどたどしくも使用した主観も含めて説明した。

 聞いていた三人は、信じてなく疑わしく思った。

 僅かに身体能力を向上させる木剣。そんなものを作ることはできないからだ。

 魔力を消費し、何かしらの効果、能力を発揮する剣は魔法的改造剣、一般に魔改剣と呼ばれる。生成する技術は職人によって独自のものがあるそうだが、基本的に効果や能力を発揮させるための素材と本体となる剣が必要らしい。ということを、この場にいる発言者であるナクサを含めて全員が知っているからこそ、ナクサの言ったこと疑った。

 あの場で魔改剣を即座に生成することは不可能。ならば持ってきたものということ、だがしかしそれも不可能だ。何故なら魔改剣のもととなる剣はそれなりの逸品でなければ改造に耐えることができず崩壊する。


「……じ、実は、持って来ちゃったんだ………」


 ナクサの手に握られているのは訓練用の間違いなく木製の剣。特別な素材を使われているわけではない。改造などできるものではないのだ。


「それが?普通の木剣にしか見えないけど」


「だよなあ。訓練用に置いてあるやつと変わってるところはないな」


「うーん、ちょっと持ってみてもいいかな?」


「あっやめたほうが──」


「なんでー……はぅっ!?」


 ナクサが制止してころには既に手を伸ばしていたジュニはテーブルに置かれた木剣の柄に触れてしまった。

 身体の芯が抜けた、もしくは糸の切れた人形のようにジュニがテーブルに突っ伏し、ラドとサレスは驚き、ナクサが慌てて木剣を奪い取る。

「へにゃ~、ま、まにょくがぁ~」と脱力しきったジュニが情けない声を呻く。

 先程の話から魔力が吸い取られたために、ジュニは全身の力が抜けたのだろう。しかし、それが意味するのは……。

 原因となった木剣に視線が集まる。


「それ、本当に木剣か……?人の魔力を枯渇をさせるほど吸い取るなんて、普通の魔改剣でもないよな。しかも、その木剣を使って訓練していたお前って………、とんでもなく凄いな」


「……え?」


「そうね。でも一つ訂正、枯渇させるほどじゃないわよ。一歩手前くらいだからすぐに回復すると思う。ジュニは魔力が普通の人よりも少ないみたい。それでもかなりの魔力を吸い取られるようね」


「ひゃい~……。わたし、魔力少ないんだ」


 まだ脱力しているものの呂律が回るくらいには回復したジュニは、呆然としているナクサに憧れの眼差しを向ける。

 困惑した様子を見せるナクサは俯いてしまった。


「正確にどのくらいの魔力を必要とするのかわからないけど……。とにかく、シヅナ先生は普通の生徒でも教師でもない。全く情報も出てこない、文字の読み書きが苦手なのに異常な実力を持つ。更には、木剣で魔改剣まで作る教師。何者か、考えられる可能性はいくつかあるけど……。こうなったら────最終手段よ」


 腕を組み、ニヤリと口角を上げてサレスが宣言をした。


『最終手段?』


「ええ」


「……あっ、授業前に言ってたけど、お前忘れてたな」


「うるさい!」


 授業前に意気揚々と発したことを、授業中に起こった出来事と疲労で忘れてしまっていたことが恥ずかしかったサレスに、なんとも理不尽にラドは怒鳴られた。

 その後、本格的に反省会が始まったのは随分と時間が経ってからのことだった。


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