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素晴らしき貞操逆転世界  作者: エイシ
第一部:一学年目
16/55

016話:【林間学校編】復路、バス内で

 林間学校も終わり、帰りもバスで俺達は学校へ帰る。



 そして、帰りのバスは行きと同じ席なわけだ。

 つまりは俺の隣は原木なわけだ。

 なんだこの状況は、最高なわけだ。




「えへへ……この席になれて、もう最高だよっ!」



 俺の隣に座る原木は俺にだけ聞こえるような声でそう囁く。

 いや、原木、お前のその笑顔が最高だ。


 あれ?

 でももし告白失敗したらどうしたんだろ、帰りのバスが地獄だったんではないだろうか? お互いに。

 原木、あんまり後のことは考えてなかったみたいだな。




 そういえば、通路挟んで反対側に座る石橋は爆睡していた。

 さっき川原で遊んで疲れたのだろうか……?

 足を大きく開いていて、もう少しでパンツが見えそうだ。

 川で拝見させて頂いた時はブラが黒かったので、パンツも黒いのだろうか……!?


 俺はしばらく凝視したあと、隣の原木さんから向けられる熱くて冷たい視線に気づいて、見るのをやめた。




「ぐふふ~……お二人さん聞きましたで~……」



 あぁ、そう言えば行きと同じと言うことはこいつが後ろの席か。



「なんだよ、バ神崎?」


「バカンザキ!? 酷いなぁ祐樹は……」


「お前なぁ、色々と酷いのはお前だろ……」


「へへへ、そんなことより唯に聞いちゃったよー、付き合ったの……?」



 原木を見るとニコニコとしていた。

 まぁ俺も原木もあまり他人に付き合っただなんだと言いふらすタイプではないが、身近な友人には伝えたんだろう。

 俺も真一達には言ったし。




「唯は幸せだなぁ、こんな良い男付き合えて! 私は祐樹のパンツ見れたしそれで満足するとしよう!」


「えっ……?」



 バカヤロー!!

 それ言うなよ!! なんでお前が見てるんだってなんだろうが!!

 あーほら、原木もビックリしてるぞっ!!



「ねぇ、麗ちゃんがなんで宮代君の見てるの?」



 やべぇぇぇ!

 目が、目が笑ってないっす原木さん!!



「えっ、なんでって昨日、ガラス館のとこでさーっ!!」

「おぃぃ!! 神崎ぃぃぃ!!」


 こ、こいつ気づいてないのかっ!?

 本物の馬鹿だろ!?

 俺がガラス館で東條にアクシデントとは言え、ズボン下ろされたことを言おうとしたのではないだろうか?

 原木のこの怪しいものを見るような目に気づいていないのだろうか?

 俺がキツく睨むとやっと気づいたのか、急に青い顔になった。

 どんだけだよ!!


 原木に疑われてるじゃねえか!




「いや、違う、唯これはあれだ、えーっと……そう、買い物のときにおみやげ物で祐樹がスゲーガラのついたパンツ買ってたんだよ!! そう、それを見たってこと!」



 そう言ってあたふたと弁明する神崎。

 えぇ……お土産でパンツ買うか普通? しかもスゲー柄のって……

 登山してパンツ買う男子高校生って、絶対パンツ破れた奴だろうオイ……

 まぁでも、なんとかなるか。うん、パンツ忘れたから買ったとか言えば、頑張ればそのくらいの嘘通るだろう。スゲー頑張ればなんとか……



「えっ!!」


 原木は驚いた顔で俺の顔を見る。

 そしてその視線は俺の股間へ……



「宮代君って凄いガラのパンツ履いてるんだね、アハハ……」


「えっ!? いや、違うよ!! たまたま、たまたまだからね!?」


 俺はそんなこと言われたら勃っちゃうよ、アハハ。

 モジモジしだした原木。


「私は結構普通派なんだけどな、こ、こんな感じの……なーんちって……」



 原木は恥ずかしそうに、しかしゆっくりとセーラー服のスカートを座ったまま持ち上げる。


 う、うぉぉぉおおお!!!

 なにこれ、この仕草はエロい!!

 ヤバイ、ヤバすぎる!!


 ゆっくりと見えてくる。

 白い肌、細い足、すべすべそうな太もも……そして……


 今日の原木は黄色いパンツがチラリと見えた。

 可愛い感じでリボンが着いてる。



 俺はガン見だった。

 原木がスカートを元に戻した後もそのまま一分くらい停止していた。


 え?

 どうするんこれ!?



「もう、仕方ないから、ここで一発……」

「出来るわけないだろバカヤロー!」


 意外にも神崎に助けられる。

 原木への悶々とした思いは霧散した。




「そ、そう言えばさー……宮代君ってど、け、け、結構経験あるのかな? ……女の子の?」


「えっ!?」




 こ、ここはどう答えるべきだ!?

 男としてはイエスと言いたいが、むしろもうモテてモテて仕方ないのさ、ふっ、とか言いたいが……彼女には嘘はつきたくない! てか、そんなモテた経験ない。

 あーあ、男のプライドが邪魔だあああ……



「えーと、あの、んー……いや、初めての彼女ですよ」


「えっ!! 本当!?」



 原木スッゲー嬉しそう。

 なんだか言って良かったみたい。

 原木の滅茶苦茶良い笑顔を見てると俺まで嬉しくなってくる。




「は、原木はどうなん?」


「えっ、私!? 私はそのあれだよ、あのー……ま、まぁ良いじゃない私のことは!」

「唯はバリバリの処女だよー。まだ男と手も繋いだことないし、男のこと妄想しては鼻血出してばっかりだもんねー」


「ちょっと! 麗ちゃんやめてよ!!」


「マジか!! 原木、そんななのか!! こんなに可愛いのに……!」


「か、か、か、かわ、かわ、可愛い!?!?」



 ラッキーなのではないか?

 うん、原木が初めて付き合う人が俺になれるってとってもハッピーだ!!

 隣で真っ赤に照れてる原木を見るとそう思える。




「あっ、でも大丈夫! 大丈夫だから! 絶対に大切にするし、経験は愛でカバー出来るから! 絶対に幸せにするから!!」



 原木がスゲー必死だ。

 なるほど、この世界ではやっぱり男と女の感覚が逆だな。

 女側が男側を幸せにするっぽいし……

 原木はめっちゃ必死にアピールしてきた。

 可愛いからこのまま見ておこう。









 ……


 そんな感じで、俺達は青春トークを交えワイワイとしていると神崎もいつの間にか寝てしまったようで大分静かになった。


 今日の晩飯なに食べようかなぁとか考えていると、俺の右手がぎゅっと暖かいものに包まれる。


 ……原木の手だ。


 真っ赤な顔で、俺の右手を握ってくれたんだ。

 なんか凄く嬉しい。

 原木は無言で何もない真正面の椅子をガン見してるけど、俺も応えないとな……


 俺は結ばれた手のひらを開いて、原木の指と指の間に、指を一つ一つ入れていく。

 恋人繋ぎってやつだろうか?


 俺と原木は恋人になったんだしこのくらいいいだろ。




「えへへ……暖かいね、ゆ、祐樹の手……」



 あぁ、そうだ、俺達は恋人になったんだ。

 呼び捨てくらいは普通だろう。

 そう普通だ。むしろ、そうしないと変だ。

 何も不思議なことはない。



「唯のもな……」




 俺達は学校に着くまでひっそりと手を繋いでいた。

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