夢見る絵本 その2
少女は読み終えた『夢見る絵本』を閉じました。
初めて読むそれは彼女が一番に気に入っている唯の少女が王子様に見初められるお話でした。
少女と似た本が好きな少女が魅力的な王子様と幸せになる夢のようなお話。
とても羨ましく思いながらも少女は物語の余韻に溜息を付きました。
「やっと見つけました。」
急に掛けられた声にハッと少女が顔を上げると、そこには一人の背の高い青年の姿がありました。
絵本の王子様とは違い、所々みすぼらしい服装、働き者であろうその姿。
しかし、浮かべる笑みは柔らかくとても魅力的な人でした。
読んだ絵本と似た出来事に、少女は驚きのあまり声が出ません。
「私はずっとこの絵本を見つけてくれる人を探していたのです。」
そう言って青年は少女から『夢見る絵本』を受け取ると大切そうに撫ぜます。
夢のようだと、間違った世界から飛び出してきた王子様を前に少女は何故だか泣きたくなりました。
「この本は貴方が書いたのですか?」
「そう。ずっと昔からここで楽しそうに本を読む君に恋をしていました。
僕はこの本の様に王子様ではない唯の村人です。けれど君を心から愛しているのです。
どうか、僕だけのお姫様になって欲しい。」
たどたどしい仕草で手を取られ、ぎこちないキスを一つ。
青年の瞳は真っ直ぐで、深い愛を少女は感じました。
真剣に少女を思う姿は凛々しく、まるで絵本に良く出てくる王子様のようで・・・
いえ、少女にはそれ以上に格好良く見えたのでした。
「喜んで。私だけの王子様。」
嬉しそうに少女は顔を赤くして、その申し出を受け入れたのでした。
それから、二人は手に手を取り幸せへの道へと歩いていくのでした。
おしまい。




