恐怖の足音
――カツンッ
「っ!?」
また…
まただ。
「だっ…誰だよっ!!
用があんなら出てこいよっ!!」
俺は高校二年の木崎竜貴(きさき たつき )。
そんな俺は最近悩んでいる…。
それも、かなり大きな悩みだ。
「ストーカーとか…っ、きめぇんだよ!!」
そう。ストーカーだ。
――――カツンッ、カツンッ
「っく…!」
徐々に距離を縮めてくるのが足音で分かる。
なんだよ、俺がなにしたっていうんだよ…。
頭がぐわんぐわんする。
あぁ、はやく逃げたい。怖い。怖い。
俺は思わず走り出していた。
「|(怖い…っ、怖い…怖い!)」
高校二年生にもなってこんな無様な姿を晒すとは…知ったらきっとクラスの奴ら、笑うだろうな。そんなことを思っている俺、少し余裕があんのかな。
「うわっ!!」
視界が急に変わる。転んだと気づいたのはそう遅くはない。やばい。足音が近い。
「だ、だれか…」
真っ暗な夜道。誰もいない。俺と、俺をつけているストーカー以外には――…
カツンッ
「ひっ…!」
足音がすぐ後ろまできて止まった。
みなくても分かる。
俺の…すぐ後ろにいる…。
思わず固く眼を瞑った。
「たつ、き…くん」
「く、くるなっ!
この、ストーカー!!」
「たー、つきくん」
声からして女だろうか。
さっきから俺の名を呼んでいる。
怖い…怖いっ
「…っも、…やめて、くれ…っ」
地面の色が変わる。恥ずかしすぎんだろ。泣くなんて。しかも、女のまえで。
「つーかまえた」
そう喜びが満ちた声を聞いたのを最後に俺の意識はどっかにふっとんでしまった。