番外 ~お嬢様と執事(2)~
―――シルフィール本部・最上階―――
「ハイッ」
「ホッ」
「ハイッ」
「ホッ」
稟議書を確認しつつ、ラミエルはテンポ良く、ポンポンと判子を押していく。押された書類を傍らでビリーが素早く抜き取っている。まるで餅付きの様な妙技である。
「―――ビリー。少し蒸すわ」
「お任せください!」
そう言ってビリーが魔法を唱えると室内の水蒸気が凝集し、氷となって彼の左手に現れた。
「流石ね、すっきりしたわ」
「光栄にございます。つきましては、こちらでカキ氷など如何でしょう?」
「名案ね、でもちょっと大きいわ」
「では、これくらいで?」
ビリーは、素早く右手で氷を半分程にカットした。
「まだ大きいわね」
「では、これくらいで?」
ビリーは、素早く右手で氷を更に半分程にカットした。
「流石ね、仕事が速いわ」
「光栄にございます」
ビリーは、恭しく礼をした。
「でも、どうやって削るの?」
「カキ氷製造機というものがありましてそれを……」
「私、あの音嫌いなの」
「と、申しますと」
「氷がギシギシアンアン軋む音よ」
「それは、盲点でございました。……アンアン?」
「あれは人を狂わせる。近い将来兵器になるかも知れないわ」
「おぞましゅうございますね」
「……あら、何故かしら。床が濡れているわ」
ラミエルの視線に釣られて、ビリーが床に視線を落とす。
「これは、由々しき事態」
「あれね、雨漏りというやつね」
「私も、そう存じ上げます」
「何とかできるかしら」
「お任せください!」
そう言ってビリーが魔法を唱えると床を濡らしていた水は溶けかけていた氷毎蒸発し、水蒸気と化した。
「流石ね、仕事が速いわ」
「光栄にございます」
「でも、少し蒸すわね」