第12話 黒龍の素材を売ったら、とんでもない金額になった
「黒龍を……討伐?」
ギルドマスターらしき男が俺の前に座っていた。
大柄な男だ。
片目に傷があり、いかにも歴戦の冒険者という雰囲気をしている。
「はい」
「お前が?」
「俺です」
「……十歳だよな?」
「はい」
「…………」
ギルドマスターは頭を抱えた。
「どうしてこうなった……」
「?」
隣を見る。
エリシアは苦笑していた。
「レオンは自分の異常さを理解していないようですね」
「そんなことないよ」
「では聞きますが、黒龍は普通どの程度の冒険者が討伐すると思いますか?」
「……Sランク?」
「正解です」
「じゃあ普通じゃん」
「普通ではありません!」
エリシアが珍しく声を荒らげた。
ギルドマスターがため息をつく。
「黒龍はSランクでも複数人で討伐する存在だ。単独討伐なんて聞いたことがない」
「そうなんですか?」
「そうなんだよ!」
俺は少し困った。
どうやらまたやりすぎたらしい。
父さんにも言われていた。
――力を隠せ。
だから俺は考えた。
「じゃあ……俺じゃなくて、エリシアが倒したことにします?」
「「無理だ」」
二人から同時に突っ込まれた。
「……ですよね」
ギルドマスターは大きく息を吐いた。
「まあいい。討伐証明を確認する」
俺はアイテムボックスから黒龍の牙を一本だけ取り出した。
ドンッ!
テーブルに置く。
ギルドマスターの顔が変わった。
「……本物だ」
そして次に、黒龍の魔石。
さらに鱗。
爪。
角。
次々と並べていく。
「ちょ、ちょっと待て!」
「はい?」
「なんでそんなに大量にある!?」
「全部倒したので」
「そういう意味じゃない!」
結局。
黒龍討伐報酬。
そして素材の買い取り。
合わせて――
「金貨三百枚だ」
「…………」
俺は目を丸くした。
「多くないですか?」
「黒龍だぞ!?」
「そうですか」
「……お前、本当に十歳か?」
ギルドマスターが遠い目をした。
こうして俺は。
十歳にして、人生で初めて――
金貨三百枚を手に入れた。
「これでしばらく生活できますね」
俺が笑うと。
エリシアが呟いた。
「……しばらくどころか、一生遊んで暮らせる金額ですよ」
「え?」
「…………」
エリシアは諦めたように笑った。




