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連載予備軍  作者: 桜鳴 颯祈
召喚・MMOネタ
10/11

召喚・MMOネタ続き

投稿したと思ったらされてなかったでござる(´・ω・`)とりあえずの続き。またぶった切り。



 突然だが領地システムについて説明しよう!領地システムとは一定以上の規模・団員を持ち月間ギルドランキングトップ3に直近の3ヶ月以上連続でランクインしているギルドの上級メンバー(全てのギルドには5つ以上の位階を定める義務がある。新人・下級・上級・幹部・ギルマスが最低限必要)以上が階級に応じて亜空間の領地をもらえるシステムだ!領地の中の町並みやNPC住人の種族、町傾向などは自由設定(神殿と政務庁と資源地、兵舎だけは最初から備わっている)で時間経過と投資(プレイヤー不在の際はNPCが代行、発展度の伸びはNPCの知力依存)によって発展度が貯まり町の中の主要建物(最初からある建物)が拡張され信仰値や格安の消費アイテムやお金が手に入るので領地持ちは必死に投資して発展度を上げていた記憶がアーラにはある!もちろん本人もがんばっていた!












「なんか妙にテンションの高い説明が前振りだった気がする」


 自身が造り上げ知らぬ間に発展した白亜の町並みを観察しつつ、アーラはぼそりと零す。顔には装備品としてキチンと能力の付いている眼鏡、服は少しダボついたローブ。ぶっちゃけこの町で素顔を曝すのがどういう効果をもたらすのか全く予想できなかったためである。そして彼女はもう1つ保険として1体のモンスターを召喚していた。そのモンスターは乙女ゲ制作陣の自重が家出した、とまで言われたほど設定と固有スキルを練りこまれた美形面の対魔族ワールドボス。


 ルシェル・オード・アゼロイディア。


 特殊高位人族と呼ばれるNPC専用種族の中の最強、という設定で、出てくるのは初期だが完全打破にはレベルキャップ解放を二度経て後、廃課金の廃人の中でも最もプレイヤースキルの高い4人が挑まねばならなかった。無論テイムには相応の時間がかかり親密度やレベルも上がりにくかったがそのデメリットがあってなお余りあるほどのスペックの高さを誇る。

 そんなモンスターを召喚している理由はごく単純である。


潜行ダイブ陰身ハイドの熟練度最高まで上げてんのこの子だけなんだよねー)


 双方とも読んで字のごとくのスキルである。アーラ自身はその職の特殊性からあまり必要のないスキルであったのでモンスターのものは育てていなかったのだが、一度必要に駆られて上げたのがルシェルだったのだ。なぜなら必要経験値が低かったから。まさかそれがこんな形で生きるとは、と感慨深くなりつつアーラはルシェルを連れて政務庁へと足を向けた。

 ざわざわと喧騒が続く中、画面ではわかり辛かった発展具合に彼女は町を創造した立場として感動しながらあたりを見回す。けして足は止めないが、自身が最後に見た町とのあまりの違いにちょっとどころではなく驚いて。

 まず、領土が広がっている。そしてそれに比例するように建物の種類と数が明らかに増えている。アーラが最後に弄った時には中規模の村といった様子だったのが今やどこかファンタジー世界の王都ですといわれても納得できるほどだ。当然ながら活気に溢れ、それでいながら路地裏を覗いてみても不穏な影がまったく見当たらない。しかも治安は良いが抑圧の影が見当たらないという正にある種の楽園だ。それには信仰値や魔族自身の性質といったものも大きく関係しているが、それを語りだすと時間がかかるのでここでは一旦脇に置かせてもらおう。

 そして、実はなによりアーラが驚いたのが・・・町の中に、人間が流石に数は少ないまでもおびえる様子もなく歩いていることだ。ゲーム中では人族と魔族の交流はほんの一部を除いて皆無だったため、こんなところでゲームより大分先の世界なんだ、と妙に納得し、同時にふと思い浮かぶギルメンの顔。




(ギルマスが見たら小躍りしながら祭り開催だろうな・・・)



 彼女の所属ギルドのギルマスって、そんな人である。








「アーラ様、これより先は潜行系スキルを扱うことが禁止されています」


 淡々と報告したルシェルに知ってるとうなずき、帰還させる。政務庁には主人アーラと言えども武装解除が必要なように設定してある。なにしろアーラの所属ギルドである魔神の檻(フォウマルハウト)には血の気の多いプレイヤーが相当数いた上、彼らを含むギルメンはアーラの領地に集合することが常だった。無論ギルメン同士の喧嘩もよく起こったのでギルマス他穏健派の勧めで政務庁では自分でも、それ以外では自分以外の全プレイヤーは武装解除および奇襲スキル解除必須と定めた。建物が壊れるリアルさは最初は良くても慣れると自分が手塩にかけて育てた町並みを壊されてなんだか嫌な気分になる。

 眼鏡も外し、装備効果0の外装だけになった状態でアーラは意を決して政務庁へと踏み込んだ。



[メールを受信しました。ご確認ください]



 ちろりん、と力が抜ける音の後表示されたメッセージ。タイミング的に怪しいことこの上ないが少なくとも手がかりではありそうだ、と一つため息をついてアーラは頭の中でメールボックスを見た。

 メールボックスには当然ながら一通だけしか入っていない。差出人の名前はなし。”栄光”においては差出人名を空欄で出すことはできないのに、と考えてから今更かと首を振る。どこからともなく現れるアイテム、知らないはずなのに必要とすれば頭の中に湧き出すシステムの使い方、どう考えても人知の及ぶところではない。これはもしかしてもしかするのかなあと微妙な心持で彼女はメールを開いた。



【はじめまして、プレイヤー・アーラ。

 僕はこの世界のかみさまです。

 この世界は君のプレイしていた遊戯の世界をほとんどコピーして造りました。

 なぜなら、僕は雛形となる世界を上位神族の手違いで持たされず、規範とすべき世界がなかったからです。

 この世界を造ったのはプレイヤー・アーラの世界の数え方で大体一万年ほど前です。大体九千年ほど前にコピーが全て終わり、僕の被造物たちで世界が満たされました。

 ですが、丁度その頃にプレイヤー・アーラたちの遊戯で大きな戦争が起こりました。その中の一つの魂の欠片、思念の塊が僕の世界に迷い込んでしまったのです。

 あの戦争の中では微々たる力しかもっていなかったその欠片は、まだ造られたばかりのこの世界では最強に等しい力です。僕はどうしようかと迷い、結果、彼の戦争の中に参加していた別の魂―――それも、欠片と敵対陣営のプレイヤーを呼ぶことにしました。その中でも他への被害をできる限り抑え、またこの世界の生態系に影響を与えないプレイヤーとしてあなたを選びました。

 本当に申し訳ないのですが、どうぞ戦争の後始末の一つと思い、あの欠片を討伐してください。ご迷惑でしょうがもしお断りされても僕の力では討伐が終わらないと帰せません。

 もちろん、全てが終わり次第プレイヤー・アーラを元の時間軸にある程度のお礼も添えてお帰しすることをお約束します】



「これ、脅迫じゃない?」


 胡乱なまなざしで文章を見つめ、アーラは幾らか考えてからそのメールを削除した。

 胡散臭い、実に胡散臭いが彼女はメールの内容に思い当たる部分が多々あった。具体的に言うと【他への被害をできる限り抑え、またこの世界の生態系に影響を与えないプレイヤー】という辺りに。

 彼女の所属ギルド、【魔神の檻】のメンバーはPKは滅多にしないギルドである。PK”は”。それも滅多にしないがごく稀にするとなればギルメンが上から下まで勢ぞろいで相手ギルドに宣戦布告し大々的なギルド戦争で叩きのめすという・・・なんと言うか、良くも悪くも物事を大きくしがちな面子が揃っていた。その後始末をする常識人メンバーもいなくはなかったのだが、基本的にレベルが低いメンバーほど常識的で高いメンバーがはっちゃけているギルドであり、さらに、他にごく少数いる他に比べれば常識的と言えるような面子は悉くMMOにトリップできたら、というテーマに対してたとえネット上であっても口にするのは憚られるような夢を語る、言うなれば世界変革を望む面々。それを考えるとその思いの欠片とやらに対抗できるのがギルド内カンストメンバー唯一の良心であったアーラしかいなかったのだろう。それにこの文とシステムメッセージから考えるとアーラ達が勝利してから千年後の世界において魔族の中のどの勢力が影響力を強く持っているのかは自明の理。つまり、【魔神の檻】のメンバーならば大して制約を受けずに動けるだろうと思われた―――そうあたりをつけてアーラはため息を吐いた。

 はっきり言って迷惑であるが、やらねばなるまいとそう考えて。


「ふう・・・”表示:地図・職員表・町ステータス”」


 一言つぶやくと彼女の前に半透明の館内地図といくつもの数字が表示される。そしてそれらを見て―――やっぱりか、とアーラは頭痛を覚えた。1000年、決して少なくはない数字である。しかし実感としてわかっていなかったと改めて項垂れる。


信仰値:count stop(未振り分け値が1000以上あります)

発展度:count stop(未振り分け値が1000以上あります)

執務量:normal(NPCが代行しています)

治安:great(犯罪率が0です)

生産:normal(失業率0です、転職率10%です)



「うわあ、もうなんていうかうわあ」


 参考までに、信仰値は1ヶ月フルで廃人してたとして15ほど、発展度は6ほどしかたまらないものである。

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