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08

 部屋に戻ると、俺は布団に額を乗せる。


「浅川のやつ滅茶苦茶だ」


 三週間後までに俺とあいつは結婚する。

 そして今年中にあいつと、行為をして子を二人だ。

 俺にはその覚悟あるのだろうか。


 想像ができない。

 ユリーとして生活してから、誰かと結婚して、そういうこともあることは理解していた。

 だけどいざとなると、

 はい、そうですか。とはいかない。


 浅川はバカだけどいいやつだ。

 現実の浅川は、バカで、別にカッコ良くもなくて、ダサくて、正直で、キモくて女子受けは悪い、でも悪いやつじゃない。

 あいつがあんなに俺と結婚するのが乗り気なのは、モテないからそういうのを拗らせてるところがある。じゃなきゃ見てくれがよくても俺に、俺の命が危険だとしても告白するだろうか。


 別に俺が死んでも、あいつにとってこの世界で幸せになることは関係の無いはずだ。

 まぁ、そういうことができないのがあいつでもある。あいつは酔っているような性格。周りにどうどうとオタクであることを公言して、何事にも積極的。

 中学の時もこいつが体育祭とかの、応援団長やるからって俺を巻き込んだりした。それは文化祭もそうだし、何かの委員会や行事ごともそうだった。

 積極的で、バカで、真っすぐなやつ。顔はカッコよくないし、オタクだし、頭も悪い、だから男には好かれてたけど、女の子には全くだった。


 そいうところがカッコよくもあるけどな。


 俺は、男から見たらカッコいい、そうなりたい、そこまで自分に対して自然でいてみたいと憧れのような感情がないこともない。

 あいつみたいに全てをさらけ出したら、世の中は混沌とするだろが、いいなと思う時がある。

 

 今、こう考えているとまるで俺が、あいつを好きなんじゃないかと思う。


 男が惚れるところはあるよな。もし女だったら……


 バカか。

 もしじゃないんだよな。


 でも今月まで話進めないとな。両親にもそれとなく好きってこと伝えて、そうなる準備しないと。



 ……

 


 俺ってあいつのこと好きなのかな。

 元から好きだったんじゃないかな。

 

 ……



 憧れなのかな。

 それとも今、女になったからその感情が、そう思えるだけなのかな。



 どっちだっていいことだ。

 どっちにしろ結婚するんだ。

 他に道があるのか分からないけど、そうするのが安パイ、無難だから。



 でも俺はちょっと、悪戯で結婚を断ってみたいとも思う。

 そんなことはしないが、もしだ。

 もし、


「やっぱお前と結婚するくらいなら死ぬ」


 って返したら、どんな顔するんだろうか。

 泣くだろうか、悲しむだろうか、必死に「お前、本当に死んでもいいのか」と俺に懇願するだろうか。


 

 バカみたいだ。

 こんなこと考えてるのバカみたいだ。

 それこそまるで、俺があいつと結婚したがってるみたいだ。



 ……。

 このまま一旦、寝よう。

 こんな思考で、報告なんで両親にできない。


 俺は一体、今どんな顔してるんだろうか。

  

  

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