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06

「これは嘘じゃない、僕は君の結末を知っているんだ。」

「それを変えに来たんだ」


 ルドル・グレンドの告白。

 それは俺が求めていたものだった。


「もしかして、あのゲームを知っているのか? ユリーが死なないならどうすればいい?」


 俺はルドルに問う。


「どうすればユリーは殺されない、処刑されない? 悪役令嬢ではなく、幸せな人生を送れる?」


「分からない。けど君を、僕は殺したくない」




 俺たちは茶会を抜け出す。

 そしてある橋の下、川の前に座り込む。


 ルドルは石を投げると、その石はちゃぽんと沈む。

 

「んで、お前はあのゲーム知ってるんだろ?」


 俺はユリーとしての振る舞いを捨て、優理として彼に、


「俺は死にたくない、ただユリーは悪役だ。例え悪役じゃなくても、死ぬ。それが彼女が悪かろうとそうでなくてもだ。ゲームの製作者が、必ず殺す為に作ったキャラだ」


「……死なせないよ、僕はユリーが好きなんだ」


 彼はまた、石を投げ入れる。


「あのさ、なんでユリーが好きなんだ?」

「言わなきゃだめかい?」


 また一つ投げ入れる。


「別に興味ないけどさ、ユリーは悪役だし、面はいいけど、いい性格してないんだぜ」

「君はユリーのことが嫌いなのかい?」


「好きも嫌いもあるか、俺だぜ。そういう問題じゃないだろ」

「そういう質問じゃなくて、好きか嫌いかを聞いてるんだ」


 俺は立ち上がり、そこらの石を投げた。二、三度跳ね返り、それは沈む。


「嫌いじゃないよ、いいやつだとは思わないけどさ。でも救われない、救われる世界線がないっておかしいだろ。こんな可愛いのに、こんなにしっかりとしたキャラなのに」

「俺、優理っていうんだけどさ、俺と似た名前のやつがあんな結末しかないの、嫌だよ」


 ルドルは、石の行く先を見るのをやめた。立ち上がった俺を、静かに、


「優理って言ったか?」


 俺は「ああ」と、


「お前、千歳優理か? もしかして千歳か?」


 即質だった。

 俺はそれに「ああ、俺は千歳優理」と即答。


「僕だ。僕は浅川だよ。岡太郎だよ」


 こいつ、あいつなのかよ。

 俺にこれを貸した、浅川なのかよ。


「おい優理、なら余計に死なせるわけにはいかないな」

「その為にも、僕と結婚して守られるべきだ」


 言いたいことは分かる。こいつは王族騎士団団長、この国でもトップクラスの力、特に武力的な権力を持っている。なら俺の答えは、


「お前の為なら僕はなんだってする」

「分かった。全て理解した」


「結婚しよう。俺の命のためにも」  


 こいつと結婚する。


 



 


 



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