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03

 結婚か。

 思えば考えたこともなかった。そもそも俺は高校生だったし、それに結婚どこらか彼女すらいなかったからな。


 ただユリーとして生きるなら、女として生きないといけない。


 「ユリー、ナーラから聞きましたよ。王都で行われるお茶会が心配だと」


 ユリーの母は父を見ながら俺にそう話しかける。

 それに対して父は、「別にお見合いをしに行くわけじゃない、ただの社交の場なんだから楽しんできなさい」と。


 そして父は続けて俺に手紙を渡してきた。中を開けると見たこともないほど達筆で(この世界の文字についての知識はないが何故か読め、この字が美しいことも分かる)


 *****


 ユリー・クラット譲へ


 突然の手紙失礼いたします。

 私は王族騎士団、団長のルドル・グレンドと申します。


 以前街で貴方を見かけたときから私は貴方のことが気になっていました。

 今回行われるお茶会に貴方が参加する噂を聞きつけ、普段はそのような会に興味がない私も貴方が来るのならと、急遽予定を合わせました。


 本来であればこのような話、わざわざ手紙を書く必要はないかと思いますが、それほどに今回貴方と会えることを楽しみにしております。


 王族騎士団、団長ルドル・グレンド


 

 ***** 


 「どうしたユリー? 何か変なことでも書いてあったか?」


 「えっとお父様、これは……」


 俺は唐突なラブレターに困惑したまま、父に手紙を渡す。それを父は読むと


 「よかったじゃないかユリー、これで結婚相手も安心だな。それにしても王族騎士団のルドル様とはかなりの大物じゃないか。あの人はあまり女性に興味がないと聞いていたがユリーの美しさには……」


 父は娘が騎士団長に気に入られたことが嬉しいらしく、誰も聞きもしないのに自慢のような独り言?をしている。


 「ユリー、これはよりきちんとしていかないといけないわね」


 母も嬉しそうだ。


 俺はゲーム内での騎士団長の顔を思い出す。うん、結構カッコよかったはず。

 冷静な人で、女性によくモテるけどそういったことに興味がない。騎士団長ということもあって剣の腕も勿論、魔法もかなりの使い手だったはずだ。

 

 こう考えると優良物件じゃないか?

 どうせ女としていきるならもういっそのこと彼と結婚したほうがいいんじゃないか。浮気とかもしなそうだし、攻略対象だったはずだから、性格もたぶん悪い人じゃないだろうしな。


 ……やっぱ無理。男と結婚は生理的に無理。


 ただ、こんな展開ゲームだとなかったはずだ。

 ユリーは悪役令嬢だ。主人公の為にかませキャラに過ぎない。どんなルートに行ってもルドルと結ばれる道は存在しないはずだ。まさか裏でこんな手紙を貰っていたなんて話はないだろう。


 つまりこの世界は完全なゲームの世界ではない?

 かなり酷似しているだけで、俺の知っている世界ではないのか?


 なら俺が死なない可能性もあるはずだ。ユリーが幸せになる可能性も。


 全てはお茶会だ。

 ルドルと会うのも、主人公と初めて会うのもこの日だ。

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