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02

「……ん」


 どうやら寝ていたらしい。

 あれ? 

 俺のスマホはどこだ? 


「お早うございます。気分はいかがですか?」


 寝ぼけた目を擦るも、景色は自分の家ではない。使用人?のような女性は俺に近づき、


「ユリー様、身支度をいたしましょう」


 ユリー? ああ俺の名前か。俺の名前は確かに千歳優理だ。しかしだ、この部屋は一体どこなんだろうか。俺の部屋では間違いなくない。


「ユリー様、どうしましたか? 寝ぼけているのですか? それともどこか気分がよろしくない……」


「ユリー? 優理だよな」


 俺は立ち上がり、目の前にある鏡を覗く。そこには……

 あのゲームの悪役令嬢ことユリー・クラットがいた。


 ということは俺がユリーということか。

 俺は自分の長い髪をジッとみる。やはり銀色だ。元の俺とは唯一似ていない点。元の俺は性格もユリーほど捻じ曲がってない。

 俺は乙女ゲーの世界に転生したということなのか。


「ユリー様? やっぱり具合がよろしくないのでは?」


「いや、大丈夫よ。えっとナーラ」


 うう寒気がする。男なのに女の振る舞いをしないといけないことがここまできついとは。


「そうですか、では髪を失礼します」


 ナーラは俺の髪を、服を手慣れた手つきで整えていく。


 兎に角だ。俺は今後ユリー・クラットとして生きていかないといけない。その上で一番大切なことはただ一つ。処刑だけは回避だ。

 ……今ってゲーム的にはどこら辺なんだ。もしかしてもう処刑ルートから逃げれないところまで……。


「ナーラ、今日って何日かしら?」


「ユリー様、今日は5月4日ですよ。王都でお茶会をする予定が明日ありますので本日はそれの準備を」


 5月4日。明日は王都でのお茶会。それって主人公とユリーが初めて会う日。

 ならまだ処刑ルートは回避できるってことか。とはいっても俺は主人公に悪さする気は一ミリもないから気を付けることはないな。


「整いましたよ」


 俺はそう言われ鏡に映る自分を今一度見つめる。

 綺麗だ。自分に対してこのような感情を持つのは複雑だが、男なら誰しもが見入るほどにだ。


「ユリー・クラット様。相変わらずお美しいです」

 

 俺は転生したのだ。ユリー・クラットとして今後、生涯を迎えるのだ。

 ならユリーを幸せにしよう。悪役令嬢としてではない幸せな結末を迎えよう。ユリーにとっての一番の最高の結末は……第一王子との結婚?


 ……無理だ。男と結婚なんて無理だ。ましてや王子との結婚となると無論、子供も必要となる。男と体を交わわせるなんて俺には無理だ。


 なら俺は独身のままユリー・クラットとして生きるのか?


「ねぇナーラ、私が結婚できなかったらどうかな?」


「できますよ。ユリー様ほど美しく心優しい方ならきっとお似合いな殿方が現れますよ。ですが、もしできないとなるとお父様やお母様はさぞ悲しむでしょうね。ユリー様の子供も死ぬ前には見たいでしょうに」


 ナーラはその後、俺に聞こえないように消えるような音量で、


「……弟のグレン様だけは喜びそうな気もしますが」


 とだけ。


 俺は男と結婚するのか。

 それだけは、さけなければ。


告知ですか、もう一つ話を書いてます。

そちらは、こちらとは全くの別ジャンルで、ストックもなく、こちらとは逆に終わり方しか決まっておりません。

たぶん、気が悪くなるかもしれませんが、もの好きな方はどうぞ、お願いいたします。

 

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