03
昼時、ある橋の下。
俺たち二人はここで密談をする。
「ってことで明日、明後日にでも俺んちに来てくれ」
俺は浅川にそう告げると、彼は
「ユリーの家に挨拶しにいくのか。これは夢じゃないのか」
と彼は感極まっていた。
今更そんなことで感動するなんておかしなやつだ。家どころか本人が目の前にいて、俺と結婚、それ以上のことをするというのにだ。
「ユリー、僕は君のお父様に認めてもらえるかな?」
「ああ、そのことなんだが父も母もたぶん問題ないと思う。だが」
俺が最後まで言うまでもなく彼は言った。
「弟か? やはり弟なのか? グレンだろ。彼はシスコンだからな」
知っているのか。流石ユリーマニアだ。
てかやっぱあいつシスコンなのね。
「君の弟グレンは重度の好意を君、ユリーに抱いている」
「……原作にはそんな設定ないけど僕の小説の中ではそういう設定なんだ」
俺はそんな阿呆なことを聞くと、手を額に乗せわざとらしく飽きれたふりをする。
「優理、やっぱり本当にこれは僕が書いた小説の中らしい」
「原作にない弟がシスコンな点、騎士団長ルドルがユリーを好きな点」
「それはお前が俺のことを好きなだけだろ」
自分で言ってて恥ずかしくなるツッコミを俺はしたと後悔。
そんなこともお構いなしに続けて、
「そして魔法だ。原作では、僕は魔法を使えないはずなのに使える点」
魔法か。男性、それも限られた者しか使えない設定だから存在を今まで忘れていたが、確かにこのゲームは魔法という概念があったな。まぁ俺はユリーだから関係ないが。
「こんなんだったらもっといい魔法を、ルドルが使える話にしておけばよかった」
「そんなにしょっぱい魔法なのか? 使えないよりいいだろ」
「炎なんて面白味がないだろ、透視とか時間停止、洗脳とかもっと実用的なものもオマケするんだった」
「……お前本当にそんな能力もってないだろうな」
「ないさ、あったらとっくにユリーに使ってるさ」
「……」
「てかさ、お前の書いた小説なら、俺は死なないんだよな?」
「僕のシナリオ通りに進むならそれは保証できる。僕はユリーに幸せになって欲しくて書いた話だからね。物語だから困難はあるが」
困難か。こいつのことだからロクな気はしない。
死にかけるとか、痛い系は無しにしてほしい。
「困難って言っても最終的にはハッピーエンド、何ら問題のないことばかりだ」
「主人公メルを毒殺した疑いで処刑されかけるだけ、強盗に殺されそうになるだけ、戦争に巻き込まれるだけ、病に侵されるだけだ。」
なんでそこは原作通りなんだよ。
普通に俺とお前がイチャラブでいいだろ。無駄に物語に起伏を創ろうとするかな。
「大丈夫、優理。最終的にはハッピーエンド」
「……」
「お前本当にユリーのこと好きなんだよな?」




