バージョン
「じゃあ、Souくんを追放することはしないわ。」
大半の人が頷く。
「ただ、納得できない人ももちろんいるから。」
チトセさんはそう言ってカレンさんを見る。カレンさんはムスッとしている。
「出来る範囲でいいから、説明してあげてね。」
「はい。」
といってもどこまで言えるかな。全部言っちゃってもいいんだけれども、なにがあるかわからないから無闇に言いふらすのもなぁ…。
とりあえず集まりはお開きになった。蒼はコミュ障を発動してはいるがみんなに馴染めたようで良かった。
僕は静かに部屋を離れ、屋上までの階段を登る。
「おい、わかってんだよな。」
後ろから声が聞こえる。
「もちろん。ただ、かなりややこしい話だし、できるだけみんなに聞こえないようにここまで来たんだ。」
階段に腰掛け、カレンさんを見る。
「話せることに限りはあるが、できる限り話す。」
「全部話せ、と言いたいところだがとりあえずお前の話を聞こう。」
「まず初めに、君も知っての通り僕はバフを扱える。そのバフの存在は、 “固有スキル” で知ったんだ。」
「固有スキル…。」
「ああ、固有スキル。僕の固有スキルは “可視化” 。このスキルの全貌は僕も知らないが、少なくとも自身のステータスを見ることが出来る。」
「ステータス…?!」
「そう。それでバフの存在、秘技も知る事になった。」
「可視化で他に見れるものは?」
鋭いなぁ。普通ならステータスだけ見れるって思うと思ったんだけど。
「他にはマップが見れる。」
「マップ?」
「自身の周囲の地図、さらに付近の敵も確認することが出来る。」
「なるほど…。」
「僕がはっきりと分かっているものはとりあえずそれくらいだ。」
カレンさんがじっと僕を見る。
「ど、どうした?」
「…いや、まだありそうだなって思っただけ。」
「あまり不確実なことを言うのはどうかなって。」
「ま、それもそうか。ま、じゃ、ありがと。」
「うん。」
これは…納得してもらえたと言うより見逃してもらえたって感じだな…。まあ、いいか。
僕は彼女の姿が見えなくなったのを確認し、屋上へと上り始めた。
「さて、AI、ステータス系の更新をしよう。」
『AI更新あり…再起動…プログラム更新…ver.Ξ起動。』
「…?」
この感じは、初めてかもしれない。勝手に新しくなってたことはあったけど、この更新ってのはこれまでなかった。
『更新完了—。』
「初めまして、ますたー!」
「どわっ!!」
突然顔に何かが突っ込んできた。そのまま後ろにこける。
「あらら。失礼しました。」
その何かが顔から降りた。
「いてて…。」
起き上がり、横を見ると、そこにはペンギンのような形の小さな生物がいた。
「えーっと…。どちら様?」
「私はマスターのAI『自己学習型サポートAI ルパ(ver.Ξ)』です!」
「…。」
待て待て待て、これがあのAI…?体を持つの…?それにバージョンクシー?
「…どうかなされましたか?」
「いや、ごめん、ちょっと情報量ががが…。」
「?まあ、いいや。これからよろしくお願いしますね、マスター!」
「あ、ああ、よろしく…。」
…うん、考えることをやめよう。
ステータス画面を開く。
◯プレイヤー情報
プレイヤー:Sou
タイプ:アタッカー
通常スキル:加速、筋力上昇、飛翔
言語:日本語
所持武器:白兎(Lv.5)
◯ステータス/残数
筋力:512
体力:2560/2560
魔力:256/256
速度:256
撃破ダメージ:256
通常スキル(残):256/256
◯特殊ステータス
特殊タイプ:水属性
属性付与:未開放
特殊秘技:1280/1280
◯特殊スキル
固有スキル:可視化(Lv.3)
スキル生成(Lv.1)
~経験値が溜まっています。ステータスに割り振りましょう。~
経験値:2500
「筋力と魔力が増えたのかな。あとは、白兎のレベルも上がってるね。それと、可視化がまた一段とレベルが上がってるし…。ていうか、可視化で変化を感じてるのはAI関連とステータスのごく一部だけなんだけど。もっと大きく変化することはないの…?」
「可視化の最高レベルは100ですから、これくらいならほんの少しの成長しかないですよ~。」
ペンギンが僕の肩に飛び乗ってきた。意外と軽いけど、首が動かせないよこれじゃ…。
「なるほどね。とりあえず、経験値をステータスに割り振るか。」
「経験値、それだけあるなら属性付与を解放しましょ~。」
「属性付与…ってなに?」
ずっと未開放だったから謎だったんだよな。
「属性付与っていうのは、簡単に言えばモノや人に属性を付与できるんです。」
「…ゑ?」




