第27話
「わたくしを捕らえると言うなら捕らえなさい」
「なに?」
「ですがわたくしは女王陛下の近衛騎士。それが証明されたなら――」
兵たちは詰め寄るわたくしの気迫に押され後退りします。この程度で怯むとはなんとも情けない私兵です。
「あなた方の愚行を陛下は決して御許しにならないでしょう」
「っ⁉」
「ウィレットでしたか。陛下はきっとその者も罰するでしょう」
「そ、それは……」
狙い通りの反応です。王領を治める貴族ならわたくしの名くらいは知っていて当然、つまりわたくしへの無礼はウィレットという貴族の名を汚すことになる。そんな脅迫めいた忠告の効果は覿面でした。しかしながらわたくしはウィレットという名に心当たりがありませんが、眼前の兵士たちにそんなのは関係ありません。
「不敬罪で捕えると言うなら構いません。ですが――」
――エリィ!
「――アリス様⁉」
当然聞こえた声に振り返ると人だかりを掻き分け、わたくしの方へ向かって来るアリス様の姿がありました。
「エリィ! 大丈夫⁉」
「アリス様! どうしてここに⁉」
「様子見に行っただけなのに遅いんだもん」
「も、申し訳ありません」
心配したと言うアリス様に謝罪するわたくしを周囲の野次馬たちが見つめます。兵士たちや彼らに捕らわれた露天商もわたくしとアリス様を見つめますが皆が状況を飲み込めていないようでした。
「ア、アリスリーリア様……?」
誰かがアリス様の名を口にしました。その瞬間、わたくしたちを囲む人だかりが俄かに騒がしくなります。




