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終焉王女と覚醒騎士の王国創世記  作者: 織姫
第2幕 女王と騎士の初行幸

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第25話

 わたくしは耳を疑いました。いま、この兵はフェリルゼト―ヌ城を再建と言いましたか。

(どうやら酒場で聞いた噂は本当のようですが――)

 争いの仲裁に入るつもりはありませんが、わたくしはもう少しだけ彼らの小競り合いを見守ることにしました。1人の男性に対し兵は3人。数で言えば兵側が有利な状況ですが男性は負けじと声を荒げます。

「いったい幾ら払えって言うんだ! 俺たちにはもうそんな余裕はないっ」

「クーゼウィンへ逃れていた女王陛下がお戻りになられたのだ。一刻も早く焼失した城を再建する必要があるのだ」

「そのために税を倍にしたんだろうが!」

「陛下は仮宮でお過ごしだ。これまで以上に城の再建を急ぐ必要がある」

 なるほど。少なくともこの街の売上税は通常時の倍まで引き上げられているのですね。それにあの様子だと他の税も特例的な増額がなされていると考えてよさそうです。

 税を取り立てる兵と支払いを拒む商人。都市では比較的よく目にする光景です。しかし兵士の一人が口にしたフェリルゼトーヌ城を再建するためという話は聞き流す訳に行きません。

「国王陛下のためと言うから我慢して払ってるんだ! これ以上は無理だ!」

「無理……か」

「ああ。無理だ。これ以上取られたら生活出来ねぇ!」

 この露天商はよほど不満が溜まっていたのでしょう。3人の兵士を前に怯むどころか食って掛かります。

「俺たちも食って行かなきゃいけねぇ。払えと言われても無理だ。帰ってくれ!」

「……そうか」

「な、なんだよ」

「応じぬなら連行しろとウィレット様の命令だ」

 断固として支払いを拒否する姿勢を見せる男性に兵士たちの様子が変わりました。従わなければ危害を加えると言わんばかりに腰の剣に手を掛けます。これはマズいことになってきました。

(アリス様にお伝えしないと!)

 このままでは露天商の男性が捕らわれてしまいます。王家に仕える身として助けに入るべきです。けれどまずはこの状況をお伝えしなければとアリス様の下へ戻ろうとしたその時です。

「離せっ!」

 男性の叫び声に振り返ると兵士の一人が彼の腕を掴み、何処かへ連行しようとしていました。



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