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終焉王女と覚醒騎士の王国創世記  作者: 織姫
第2幕 女王と騎士の初行幸

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第19話

                   ◇ ◇ ◇


 街道から少し外れた川辺で一夜を過ごしたわたくしたちは日の出と共に出発しました。あの時と同じように身体を寄せ合い、火の番を交互にしながら一夜を明かして食事は持参した携帯食料で済ましました。念の為と思って準備したつもりでしたがやはり使うことになりましたね。

「さすがエリィ。やっぱり準備してたんだね」

「ワタシが持って来ていなかったらどうしていたのですか」

「川で魚獲って焼く」

「女王の口から出た言葉と思えませんね」

 女王だって魚釣りするし野営だってすると口を尖らせるアリス様ですが、そんな王はアリス様だけだとそろそろ理解してもらえないでしょうか。

「いま失礼なこと考えてたでしょ」

「別にそんなことは思っていません。それより寒くありませんでしたか」

「大丈夫。エリィは平気?」

「はい。でも、今日は宿でゆっくり休みたいですね。ホルスまではあとどのくらい掛かるのですか」

「半日くらいからな。着いたら宿を探さないとね」

「え?」

「言ってなかった? 宿は街に着いてから探すつもりだよ」

 野宿になることは無いと断言されるアリス様に頭を抱えてしまいます。別にそのようなことを心配しているのではありません。無計画にも程があると言いたいだけです。これでは本当に放浪の旅をしている旅人ではありませんか。

「アリス様。ワタシもアリス様と旅をすることは好きです。ですが、もう少し計画性を持って頂かないと困ります」

「こっちの方が旅してるって感じがして良いでしょ?」

「ですからそういう問題では――」

 苦言を呈したところで意味がなさないのはわかっています。わかってはいますがあの時とは事情が違うのです。この様子だとグラビス様たちもこの件は知らないのでしょう。これからはもう少しわたくしが関与すべきなのかもしれません。

「怒ってる?」

「そう思われるなら今後はもう少し計画性を持って行動されてください」

「ごめんなさい……」

「一先ずホルスの街に着いたら宿を探しましょう。あまり上等な宿は難しいかもしれませんが」

「私は別に……なんでもない」

「いいですよ。もう怒ってませんし、いまのアリス様がアリス様なのですから無理に変えようとしなくて大丈夫ですよ」

 ちょっとした小言のつもりでしたが思った以上に効果があったようです。声のトーンが明らかに違うアリス様へ微笑むわたくしは同時に頭の中でホルスに着いたらやるべきことを整理しました。

 まずはそれなりの宿を確保しなければなりません。それから街の治安状態や雰囲気も調べなければ。王都から近いとはいえ、わざわざ視察の地へ選んだのですからなにか問題を抱えている可能性があります。場合によっては城へ手紙を出さなければならないかもしれません。

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