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終焉王女と覚醒騎士の王国創世記  作者: 織姫
第1幕 王女と騎士の帰還

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第46話


                ◇ ◇ ◇


 翌日。

 わたくしたちは再びグラビス様の執務室を訪れ、如何にして伯爵を討つか話し合う場を設けました。

 他人祓いをした執務室にはグラビス様とわたくしたち2人、他にグラビス様が厳選した兵が数人。彼らは口が堅く、信用が置けるということで他言無用を条件に参加が許されました。

「私は一刻も早く、伯爵からこの国を取り戻したいと思っております。ですが、先日も言った通り無用な血は流したくありません」

「あの男は城を燃やし、更には国王陛下、王妃陛下を殺しました。そのような人間に情けを掛けるのは」

「情けを掛けてるのではありません。彼が犯した罪はどれだけ重大であっても法に則って処罰されるべきだと言っているのです」

 アリス様はあくまで平和的解決を望まれようとしています。血を流したくない、見たくないと言うお気持ちはよく理解できます。一方でそれは平時であるから出来るものだと理解して欲しいと願うわたくしがいます。

「アリス様、これは臣下としての意見具申です」

「なんですか?」

「アリス様のその優しさ、慈悲深さはこの国にとって無くてはならないものだと思います」

「はい」

「ですが、いまは有事です。敵に情けを掛ける必要はありません。なにより『国に戻ったからにはいつもニコニコ笑顔の王女じゃいられない』そう言ったのはアリス様ですよ」

 欲を言えばアリス様にはいつも笑顔であって頂きたいです。しかし現実はそう甘くありません。時には厳しい判断をして頂く必要があり、女王に即位されれば尚更です。だからこそ今回はアリス様の意に反してでも伯爵を討つべく動いて頂きたいのです。

「アリス様。改めて進言いたします。アルフォンヌ伯爵を討ちましょう。わたくしがお供致します」

「エーリカ……わかりました。グラビス」

「なんでしょうか」

「こちらの兵力はどの程度確保できるのですか」

「っ! 殿下それはつまり」

「私は伯爵を討ちます。協力してもらえますか」

「もちろんです。私だけではありません。陛下にお仕えしていた者、皆が殿下の味方です」

 グラビス様の力強い言葉にその場にいた者全員が頷きます。もちろんわたくしも。ようやく下地が整った。そんな感じが致します。あとは具体的な計画を立て実行するのみです。

「ここの指揮は私が執っています。10名にも満たない数ですが殿下の配下も同然です」

「わかりました。味方を集める最中で相手に気付かれては意味がありません。戦力は最小限で行きましょう」

「承知しました。それから、奇襲を掛けるなら暗闇に乗じるべきかと思います」

「彼は夜も離宮にいるのですか?」

「あそこを屋敷代わりに使っていると聞いております」

「王家の離宮を屋敷代わりですか。図々しいにも程がありますね。グラビス、私は戦略的な話については詳しくありません。貴方の考えに従います」

「それでは後ほどご報告すると言う形で」

「それで構いません。エーリカ、私たちは一度部屋に戻りましょう」

「よろしいのですか」

 核となる部分は一任すると言うアリス様に確認の意味を込めて尋ねます。グラビス様を疑う訳ではありません。この中に内通者がいてもおかしくないと疑うべきだと思っただけです。

「この中に密偵はいない。俺が保証する」

「も、申し訳ありません。そのようなつもりで言った訳では……」

「気にするな。殿下、明日にはご提案が出来ると思いますが宜しいですか?」

「構いません。それではエーリカ?」

 アリス様に促され席を立つわたくし。グラビス様は別として、他の方たちはわたくしのことを決して良く思ってないような、そんな視線を感じつつ部屋を後にしました。

「ごめんね」

 部屋を出て扉を閉めた途端、アリス様が呟きました。

「あの人たち、エリィがクーゼウィンの人間だから警戒してるんだよ」

「警戒、ですか?」

「レーヴェン公の話は断片的だけどきっと彼らの耳にも届いてるはず。だからエリィがクーゼウィンのスパイで私を狙ってる。そう思ってるんじゃないかな」

 あり得ない話なのにと一蹴されるアリス様ですが素直に喜べないわたくしがいます。

「過去は過去、だよ」

「……はい」

「もう。エリィは私の騎士なんだから堂々とすれば良いんだよ」

「アリス様――はい。ありがとうございます」

「うんっ。良い笑顔。それでね、エリィ?」

「なんでしょうか」

「明日、街に出てみようよ」

「構いませんよ……いまなんと?」

 ニパッと悪戯っぽい笑みを見せるアリス様を前にわたくしは前言撤回します。クーゼウィンにいた頃ならともかく、いまお忍びを楽しむ場合ではありません。それにこの国はいま宿敵が実質的な権力を握っているのです。無闇に出歩くのは危険であると窘めなければ。

「アリス様。いまはアルフォンヌ伯爵が統べています。もし刺客がいたらどうするのですか」

「エリィが守ってくれるんだよね」

「それはもちろんですが」

「なら大丈夫だよ。頼りにしてるからね」

「そういう問題ではなく――グラビス様と相談致します」

「やった」

 なんだかんだ言って最後はわたくしが折れる。それを分かった上でアリス様は言われているのです。クーゼウィンのいた頃からのことですからこの程度は慣れたものです。それに、事前にわたくしへ相談をされるようになっただけマシと言うか、成長されましたね。

「あ、いまバカにしたでしょ」

「そんなつもりはありませんよ」

「その顔、絶対バカにしてるし」

 ぷぅと頬を膨らますアリス様はそっぽを向かれますがその顔はどこか嬉しそうでした。そういえば王都に入ったと言うに街をまだ巡っていませんでしたね。アリス様としてはやはり城下の様子を知りたいのでしょうね。

(あとでグラビス様に伺いを立てなければ)

 城下の街はいわばアリス様のお膝元です。迷子になることはないでしょうが念の為、危険な場所をグラビス様に確認しておきましょう。


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