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終焉王女と覚醒騎士の王国創世記  作者: 織姫
第1幕 王女と騎士の帰還

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第28話

「なにか問題でも起きましたか?」

「いえ。お食事のご用意が整ったのことですが、こちらへ運んでよろしいでしょうか」

「ありがとうございます。こちらへお願いできすか?」

「承知致しました。それから……」

「申してください」

「皆で話し合ったのですが、国王陛下から与えられた命令はこの街までの警護。やはり国境までお供するのは難しいかと」

「――そっかぁ」

「アリス様?」

 国境を越えろとは言わないので最後まで警護を――そう言おうとしたわたくしより先に「仕方ないね」とアリス様が言われました。

「サミ君の命令がそうならそれに従うのが兵だよね」

「ですがアリス様! 国境まではまだ距離が――」

 馬を使っても2日は掛かる道のりを護衛なしで行くことが危険なことくらい理解されているはず。それなのにアリス様は兵たちにはあくまでサミル様が与えた命令を優先させようとします。

 確かにこの国の治安は比較的良く、盗賊の類も少ないことはわたくしもよく知っています。ですが、それでも警護は必要と訴えるわたくしにニコッと微笑まれるわが主君にはどうやら秘策があるようです。

「エリィが守ってくれるんでしょ?」

「ワタシ、ですか?」

「言ったよね。命に代えてでも守るって」

「確かに言いましたが――」

 だからといって警護を付けなくて良い理由にはなりません。アリス様と近衛兵、両者に再考を求めますが最終的に折れるのはわたくしです。兵は取り込めてもわたくしのことを絶大的に信頼して下さっているアリス様が考えを曲げるとは思えませんし、曲げさせることなど出来ません。

「ねぇ、エリィ?」

「なんですか?」

「仮に、異国の兵がぞろぞろと国境の近くまで来たとするよ。それを見た民たちはどう思うかな」

「それは――攻め込んできたと思うかもしれませんね」

「でしょ。だからここから先、クーゼウィンの兵は連れて行けない。いまのフェリルゼトーヌは政変が起きたばかり。些細なことが争いになるかもしれない」

 サミル様にこれ以上迷惑は掛けられないと口にされるアリス様は再度、ここから先は自分たちのみで行くと言われました。フェリルゼトーヌとクーゼウィン、双方の今後を見据えてのお考えなら従うほかありません。

結果としてこの街から先の警護はわたくしのみで行い、予定通り明日の朝この街を発つことになりました。

 アリス様の御意向とは言え、兵を付けずに国境まで行くことへの不安はあります。ですがアリス様のお考えが間違っているとは言えません。フェリルゼトーヌの情勢を考慮すればリスクは避けるべきです。普段はおふざけが過ぎる面もありますが、やはりアリス様は国を統べる者として相応しいお考えをお持ちでした。そんなアリス様にお仕えできる喜びを感じる一幕でした。


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