〜開かれたゲート、亜空間〜
ふとしたら、いつの間にか明晰夢の織りなす亜空間にいた。
えと、、、
いる、というよりも、ぽんと意識がそこにあった、な感じ。
私は寝たんだ、いつもの部屋のベッドで。
寝たんだけど、気が付いたら、この亜空間に意識があった。
そんな感じなのだ。
その事にたった今気が付いて、そしてなぜここが亜空間だと感じてるかというと、
視界に入る光景があからさまに、お目にかかったことのないものだったからだ。
見渡す限りある広大な銀河が広がっている。
それも、普段私たちが写真やCGで見るような、無数の星が煌めき、発光するガスが渦巻くような宇宙、銀河とは少し違う。
ここの銀河はもう少し真っ暗寄りで、白っぽい星々の光は鈍い。
チラチラと、時折り漆黒の闇のベールと折り重なって、消えたり、発光したりしている。
スパークする宇宙というよりも、闇に佇む最果ての狭間のような気がしていた。
もちろん地面はない。
全てが漆黒の闇と、チラチラと鈍く発光する、真珠のような厳かな白い光が無限に広がっていて、
わたしはそこに、存在していた。
立っているのか、浮いているのかも良く分からない。
その真ん中くらいなのだろうか、こんな感覚は初めてだ。
「その通りよ、ここはセントラルから最も離れたエリアの一つなの。やはりあなたは勘がいいわね、ここへ招かれただけの事はあるわ。」
突如として、何かの存在が話しかけて来た、それもテレパシーで。
これがテレパシーだと、私はその時はじめて知った。
意識が呼応し合う、感応し合うようなのだ、
言語では説明しきれない。
相手が送信する想念みたいなものが、さざ波のように優しく振動しながら、一瞬にして伝達と理解が与えられるのだ。
情報の塊ってワープするのだろうか?
テレパシーってこんななの?、
と何となく思い流した。
しかし、話しかけて来る、
いや、テレパシーを送って来る相手、というか、そこにいる存在は、なんか薄い。
見た目、と言っても、第3の目・サードアイで私はその存在を視ているのだけれど(なぜか自分が、サードアイで視ている、事を既に知っている自分がいる)、その存在、相手は、何となく体全体が異様に細くて柔らかくて、青っぽいような、白いような、
まるで蜃気楼のような、はっきりと肉体の形が見えない。
肉体の一部が、見えたり見えなかったり、
そしてまた、見えたり見えなかったりする肉体の部位は絶え間なく変化する。
何て不思議なんだろう。
地球には、発光するクラゲがいるけれども、あれに蜃気楼現象が、霞がかったような感じ。
かろうじて人間ぽいフォルムで、テレパシーで話しかけて来るなぁ、、、
私はそう感じていた。
「あなたの惑星での日常機能は今切り離されている状態よ、特殊な睡眠によってね。
ここは来るには軽くなる必要があるから、物理次元で転生している魂をインバイトするには、寝てもらうのが手っ取り早いのよ。マスター達はハイレベルなメディテーションやなんかで、この時空間に来る事も出来るけどね。
まぁ、あなたの惑星には数える程しかいないわ。
あ、これは差別発言ではないのよ。単なる事実よ。」
その存在は、すごくいい感じで親しみを込めて、そんなテレパシーを送って来た。
地球で言うなら、片目でウインクしながら、チャーミングに話すような雰囲気で。
何しろ相手は、はっきりとした物理的な肉体がないから、全ては感じる雰囲気でしかないのだけれどね、、、
「あなたの感じてる事、思考は全てリーディング済みよ。次に何を思い考えるかも、私たちちは全て理解と了解済みなの。
気を悪くしないでね、これはこの時空間では普通のことなのよ。
あなたが今転生している惑星とは、ほとんどの法則性が異なるの。
でもあなたは受け入れられる事も知ってるわ。
あなたが、今の惑星に転生して肉の生を営む途中で、ここを訪れる事は、あなたの大元の魂、ソウルが同意した事なのよ。
気も遠くなるような、遥か彼方異次元でね。既に約束された事なの。
今は全てをハッキリとは思い出せないだろうけど、徐々に記憶は蘇り、あなたのプログラムに馴染んで行くわ。心配無用よ。
だから今は先へと進むわね。」
その存在から伝送される情報量は、何だかとてつもない。
とんでもないボリュームの情報が瞬時にしてやりとりされて、気が付いたらもう、私はそれを既に知っていて、理解し終わっている、という状態になっている。
まるでワープしていふようだ、過程がない。
テレパシーってやっぱり便利だな、、、
きっと、
私が寝ている間、ここに意識が孫策しているのは、ほんの一瞬なのだろう。
地上では、きっと1分にも満たないのだろう。
だって、過程がないのだから。
全ては瞬時に起こり完了する、ように視える(サードアイから)。
その青白い蜃気楼のような、人っぽい揺らめく存在は続けた。
「この世界について今は深く探究するタイミングではないから、大体感じてもらったところで本題に入るわ。
この最果ての時空間へようこそ、この時が来るのを待っていたわ、あなたを呼んだのは我々よ。いつか交わした、遠い次元での約束の通り。
これを渡すわね。」
その揺らめく存在は、どこからか、まるで手品のように、一つの大きな鍵を、いつの間にかその透き通る手に持っていた。
何となく古めかしい、荘厳なデザインの鍵。
素材も何となく不思議だ。
銀に、プラチナと真珠を混ぜ合わせたような、地上では見た事あるような、ないような、摩訶不思議な素材で出来ている。
その時私はようやく、その存在を宇宙人だと認識した。
あ、そうか宇宙人だ、今分かった。
「あなただって宇宙人で、私たちと全く同じ存在よ」
その宇宙人は、多分クスクスと笑っているであろう、
そんなさざ波のバイブレーションを感じた。
ここには、話す、とか、声、とか、身振り手振りや、顔の表情とかはない、存在しない。
伝わって来る波動、波でコミュニケーションが図られるのだ。
肉体がハッキリくっきりないとは、多分そういう事になるのだろう。
「次元が高いからよ。ここはあなたの住む枠のように、固く重く、想念を物資化する事は出来ないわ。
またそれを目的とする次元でもないの。
中継地点のようなものね、ここは。
とても沢山の種族が訪れるから、その為に最適な波動域を形成しているのよ。」
ふとよく見ると、漆黒ベールの時空間には、沢山のスペースシップが往来している。
私はぐるっと下から真上まで、サードアイを凝らして視た。
!!!良く見たら、めちゃくちゃいっぱいスペースシップ飛んてる!!
「あなたの惑星には、また本格的人使える、民主的なスペースシップはリリースされていないから、睡眠で飛んで来るしかないのよ。惑星のリーダー達が近未来覚醒すれば、スペースシップでも来れるけどね、まぁ冬馬は無理だわね。
これを今授かるわ。」
宇宙人は持っていた摩訶不思議な、荘厳なる古めかしい大きめの限りを、私の額に近づけた。
一瞬、首から上が後ろに押されるような感覚があった後に、鍵は私のサードアイに吸い込まれるように一瞬で消えた。
今気が付いたけれども、
今の自分は、まるで目だけの存在になってここにいるようだ。
どう見ても、私もどうやら肉体がない。
サードアイそのものだけが、今ここに在るようだ。
「この鍵はシンボルのようなもので、今あなたに起きた事を象徴しているのよ。
眠れる第3の目の能力の、一部を開いたわ。本来は備っている能力だけど、今意図的に、かつての約束の通り復活させたの。
あなたは眠りを使って、こちらの次元と地球を行き来出来るようになったのよ、
細かい事はこれから少しづつ、情報が解凍されて行くわ。最適なタイミングで、今ここに起きている事のあらゆる事が、段々と分かって来る。」
目の前の宇宙人から、テレパシーを受け取っているその時、不意に他の宇宙人の存在を感じた。
その宇宙人は、私のすぐ隣にいる。
その存在を反射的に見ようとしたが、
なぜだろう?視えない。
すぐそこにいるのは明らかなのに。
あちらはといえば、雰囲気的に私という存在を認識していないようだ。
てもその存在も、私と同じように、この時空間の宇宙人の1人から、ここへ出入りする為の鍵を授けられているのは、なぜか良く分かる。
でもお互いが全く繋がらない、かすりもしない、すぐそこにいるのは手に取るように分かるのに。
一目見ようと思っても、でも、どうあがいても見る事さえ出来ない。
なぜ?
「周波数帯があまりにも異なるからよ。
繰り返しになるけれど、ここは宇宙のセントラルから驚異的に離れていて、ビッグバンの最果てのエリアの一つ、一部なの。
同時に、高次元が多重層を織りなしていて、様々な異なる宇宙種族が交わるところでもあり、
多種多様な目的によってここを訪れるのだけれども、
あなたと、今すぐそこにいる宇宙種族は、ほとんど異質で関わりがないの。
だからあちらはあなたを認識どころかキャッチさえもしてないわ。
宇宙は本当に広大で、何億年と無限の転生を繰り返しても、ほとんど関わる事のない種族は、実は膨大にいるのよ。
でもまぁ、あなた自身の大御霊はもちろん、そんな宇宙の常識は知っているけどね。
ひとかけらの、物理次元のあなた自身はその事を忘却しているだけなんだけど。
まぁ、追々思い出すから。楽しんで!」
その宇宙人は、また軽やかに笑いながら、私にウインクするかのように、伝えてくれた。
「さぁ、そろそろ帰る時が近くなって来たわ。」
そう告げられた時、突如この漆黒ベール時空間に、まるで歓喜そのもののような大歓声が、大きなウェーブとなって、私に打ち寄せて圧倒した。
驚いて見上げると、漆黒ベール時空間の真上に、
綺麗に横並びに、ズラッと隊列を組んだスペースシップ達が、
まるでエアショーのように、幾重にも真っ白な光跡を描いていた。
なんて美しいんだろう!!
その歓喜は私の深い魂の奥から、一気に溢れ出た。
そして、まるで感動で号泣する時のような感覚が、一緒にして私に満ちた。
ここへ来れて良かった、細かい事は分からないけれども、なぜだか懐かしい、
地球で私を産んでくれた母の、そのまた向こう側に存在する、生命の本質のような何かに、触れたような気がしたのだ。
まるで夏祭りで見る花火のようだ。
命が躍動するような、突き上げる喜びの感覚。
「もうそろそろ落ちるわよ。でも大丈夫、鍵は完璧に戻したし、復活しているからね。また来れるわ。そしていつでも繋がっているのよ、あなたが意識しようとしまいと。忘れないでね。」
ガイドしてくれている(今また分かった!この宇宙人は私のガーディアンだ!)宇宙人から、まるで、懐かしい友人のような、ハグされるような感覚が届けられた。
ああもう地球に戻らなくちゃいけないのか、そう思うとなぜだか少し、苦しくなった。
気がつくと、止まらぬ速さでフォーカスがブレて行くような感覚に、意識が朦朧として行った。
開いたドアが再び閉じる時のようなイメージ、感覚。
スーッと、光の速さで地上へと吸い込まれて、底の底へと落ちて行くような体感。
なぜだか悲しくて淋しくて、戻りたくないとうっすら感じていたけれど、どうにもしようもなかった。
そのまま意識は途切れた。