表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

3

 そして、わたしの生活指導がはじまった。


 ちゃんと学校に行きなさい。

 部屋の掃除をしなさい。

 髪を切りなさい。

 爪を切りなさい。

 洗濯をしなさい。

 食事は自分で作りなさい。

 食べたらすぐに食器を洗いなさい。

 ごみはきちんと分別しなさい。

 布団は敷きっぱなしにしない。

 お風呂はシャワーでなくちゃんとお湯に浸かりなさい。


 わたしはことあるごとに目に余る点を指摘して是正するよう彼に意見した。

 なにせずっと一緒にいるし、わたしにはそれしかすることがない。

 必然、彼がわたしの言うことを聞くまで辛抱強く訴え続ける。


「ゆーきやー!」

「んっだよ次から次へうるせえな。んないっぺんに言われたって覚えていられるかっつーの」

「メモを取りなさいメモを」

「面倒くせえ……」


 彼は悪態をつきながらも、さいごには折れて、渋々ながらわたしの言うことに従った。

 やはり仕送りは欲しいのだろう。


 でも……。


 思えば全て、わたしが自分自身でできなかったことだった。



 そんな状況をくりかえして何週間かが経った。

 有紀哉の生活は、少しずつまし(・・)になってきた。

 少しはわたしの指導が効いたとみえる。


 そして久しぶりに有紀哉ママが訪ねてきた。


 彼女は部屋の様子を見るなり、

「あら見違えたわ。やればできるじゃないの」


 わたしは有紀哉ママから、とても感謝された。

 ずっとこの家にいてください、と懇願されてしまった。

 とうぜんながら、有紀哉は嫌そうに顔をゆがめるのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ