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たっぷりあんこが入った小ぶりのパン。

彼の大きな口に消えるパンをぼんやり見ていた。


もぐもぐ動く。


近くでは仲間の咀嚼音にお喋りの音がいっぱい。

でも、彼を見てたら不快だって思う音さえ聞こえない。


彼はお喋りもしてるのに、不快なものは何もない。

さりげなく口元に持っていく拳がミソだと思う。

牛乳パックを持つ手もかっこいい…。


手元の袋に手が伸びる。


名残り惜しい。

彼の長くてすらりとした力強い指が、最後のを摘んで…。

視線が追う。こっちに来る?

唇に軽く押し付けられた。


ニッと笑う彼の口が『あーん』と開く。


釣られて『あーん』とすると、ついっと入れられた。

口が閉じれない。

パンに彼の指。そこから連なる彼、彼、彼!

唾液が溢れて来て、慌てて閉じた。


あんこが見える断面を残して彼との繋がりが途切れた。


もぐもぐしながら、残念に思う。


「好きなら言えよ」


「うん……好き」

口元に添える拳。真似っこ。


「これ美味しいよな。俺も好き」


うん。好き……



残ったのはどっちのお口に?


◆「ほら、残り」って追加で放り込まれる。唇に触れる指。


◇もしくは、彼がパクッと残りを食べちゃう。


◆と◇、どっちがいい?(≧∀≦) お好きな方をどうぞ。

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