どっちが先?
後ろを振り向けば必ず視界のどこかにいるのを知ってる。
前を向いていても気配を感じられる。見られてる感じがする。
少しずつ近づいてる気がする。
目が合えば、すいっと視線を外して、どこかに行ってしまったりするのに、すぐに視線を感じる。
これってストーカー?
でも、悪い気はしない。むしろ、もっと近づいてきて欲しい。だから、なるべく見ないようにしてる。してるけど、振り返ってしまう。顔が見たい。居る事を確認したくなってしまう。
目がばっちり合ってしまった。慌ててこっちから外してしまった。チラリと盗み見る。足早に離れていく。
ああ、逃げないで。
耳まで赤くなってる。
こちらから声をかけようか。
考えただけで、顔が熱くなる。
話をしたい。
遠くで聞いたあの声をそばで聞かせて。いつまでも耳に残ってるあの笑い声。
今日は後ろを取れた。
チャンス。
あの腕を掴んで…。
手を伸ばして…。
上がった腕が、それ以上動かない。
緩く伸ばした指をぎゅっと握って拳にした。そのまま振って、一歩前に。横を通り過ぎる。
真後ろをついてきてくれてる。
僅かに呟かれる『好き』の言葉。
聞こえてるよ。やっぱりその声、好き。
どっちが先にこの言葉を相手に告げるんだろうね。
今、振り返って言ってしまう?
暑い…。
胸元をパタパタ動かし、風を送った。
足を止めた。
後ろも止まる。
次は…




