まず、送りつけて、乗り込む!
可奈の家に寝具一式が送られてきた。
注文した覚えもないし、受け取り拒否しようかとも思ったが、料金などちゃんと支払ってあるし、宅配会社の人に問い合わせても不審な点はなかったので、受け取ってしまった。
ピンポーン!ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
ドアチャイムがしつこく鳴り響く早朝、寝ぼけまなこで可奈がドアを開けると、いとこの修二がズカズカと家に上がり込んできた。
「どうしたのしゅうちゃん?」
「家出してきた」
「なんで?!」
聞けば、長男の嫁さんが実家でイチャイチャしていて、身の置き所がないという。
「あいつら、羞恥心てもんが欠落してるんだよ!」
「おじさんとおばさんは?」
「海外旅行中」
「うっわ」
「とゆーわけで、よろしく!」
「えー、だめだよ」
「なんで?」
「いとことはいえ、一応男と女だし」
「ダイジョーブ!道具は先に送っておいたし」
「道具?」
「婿入り道具」
「じょーだん!だめだめ」
「なんで?」
「昔っから自分勝手だし、あんた好かんもん」
「ガーン」
しくしく泣きだす修二。
「泣き落としはだめ」
「ならば!」
顔が至近距離。
「色仕掛けもだめ!」
「えーい、どないせいっちゅうんじゃあ!」
ばちん。
可奈が修二のほっぺたを平手打ちした。
「あの寝具一式持って出て行って!」
「いやじゃ、いやじゃあ!」
ピンポン。
「誰?」
「誠さん!」
可奈の彼氏が現れた!hp500!
修二のhpはマイナス30!
逃げる
→話し合う
闘う
「…という、訳なの」
「そうか。じゃあ、修二くんはひとまず俺んちに来るとして、問題は実家の状況がいつ変わるかだな」
誠がお茶を啜りながら言った。
「俺は可奈んちが良い」
「なんで?!」
「男所帯なんて耐えられるか!」
「贅沢言ってる身分か?!」
ゴソゴソ。
修二が手荷物から預金通帳を取り出した。
「いちじゅうひゃくせんまん……7億ぅ?」
「宝くじ当たった」
「ちょっと待てよー、これだったらホテル住まいとかできそうじゃないか」
「おさんどんしてくれるおねーさん希望」
「私はしません!」
可奈はへの字口。
「3人で一緒に住むか?」
と、誠。
「また他人のイチャイチャ見なきゃなんねーのかよ!」
と修二。
「修二!誠の家に行って!」
ピシャリと可奈が言った。
作戦失敗か。何がいけなかったのだらう……と、修二は思った。