裏の私はかの有名な星の魔女!
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星の魔女──最近現れるとてつもない力を使いこなす、魔女様のこと。そして、星の魔女は、夜にしか現れない。満天の星空の日、星の魔女は見たもの全てが見惚れるほどの魔法を見せてくれる。みな、満天の星空の日は空を見上げるようになった。──そして、星の魔女の正体を知る者はその、姉しかいない。
「今日もピシッと行きますかっ!う〜ん、星の魔女様がこんなお淑やかじゃなかったらみんな何を言うことか。喋ることはないだろうけど、お淑やかにいかないと」
そう、私が気合を入れていると邪魔がはいる。
「いや、あなたその時だけじゃなく普段もそうしたほうがいいわよ」
そう言い呆れているのは私の姉。成績優秀!そして綺麗!さらには公爵令嬢という地位!誰でも望むことでしょうね、こんなのを。アイドルですよ、もう。しかし皆は知らないのだよこいつの恐ろしさを。
「いいじゃないの。ギャップがないとバレたら大変よ」
「大変って何が?」
わかってるくせに〜!
「あぁ、あなたは今や誰もが知るゆうめ〜いな魔女様ですものねぇ、おかげに実力もある。というかあなたにかてる魔法使いなんていないものねぇ。ということは?引く手あまたよね〜バレたら〜」
くっ・・・いらない、私に殿方は。一人がいいんだ!だから、学園でも隠してるじゃないか!
「ほら、今日は月がない満天の星空の日よ。どんなことをするのかしら?」
「ふっふ〜ん見てからのお楽しみ!」
今日は綺麗なのをするつもり!
「じゃあ着替えるから。【変装魔法】!」
私の体が光って、一瞬何も見えなくなる。これこそが私が開発した魔法の一つ。変装する!よ。
私の今の姿は人々の知る星の魔女の姿。黒いとんがり帽子を被り、黒のワンピースを着た、まぁ全身黒の魔女。髪の毛は紺色。そこにつける金色の星型ピンはもちろん目立つ。長い髪の毛は光を放っており美しい。きらめく瞳は輝きを放っている。
「いつ見ても、私の作り上げたあなたの姿は美しいわよね」
そう、これは姉がデザインした私。可愛くするって意気込んでいたのだ。さすが、八方美人。
「では、行きますわ。ごきげんよう」
うん。声もバッチリ。高嶺の花って感じがする。
「え?あ、うん。いってらっしゃい。あなた別人にしか見えないわよねそれだと」
失礼な。いや、みんなが待ってるはずだし早く行こう。
「おいで、わたくしの箒さん」
私の箒ちゃんがやってくる。それにまたぐ私。
「今日はみなさまにお伝えいたしましたの。学園でやりますわ、と」
そう言い、学園に向かう。私だけが暗い夜の中光っていた。
学園では、すでにたくさんの人たちが来ていた。予定より十分早く来たんだけど・・・そういえば今日だけは学園が開かれてたんだった。ひと目見たい、的な人がいるんだよね多分。
「ま、待って・・・!あれはこの国の王族!?え、隣りにいるのって帝国の王族!?」
びっくりしすぎて素がでた。だめだめ、今は星の魔女なのよ私はー!空高くに移動する。みんなに見えるように。今夜は星が綺麗だな。怖いな。ドタキャンしようかな。
「いや、だめだ私っ!きっとみんなこんだけか、と思うことはっ!」
気を保てぇ私ぃ。例え王族がいようとも星の魔女様は何とも思わないのよ。
「みなさま、こんばんは」
星に照らされる私は視線を受ける。声は大きくはないはずなのに、みんなに届いている。それは、魔法のおかげ。だけど、こんなちっぽけな魔法だろうとも、みんなには難しいのかな。
「集まりいただき感謝いたしますわ。今日は王様方もいらっしゃるようで。ありがとうございますわ?」
くっ・・・怖いっ!!
「星の魔女様国王にそのようなことを言うなど失礼ですわ!」
なっそうだよねぇ・・・って、え!?
「姉・・・ごほん!」
なぜあんなところに姉が!?どんな速さで来たんだよ!いや、おかげで少し緊張がほぐれた。さすが姉。
「あら、失礼しましたわ」
星の魔女様、に一番に話しかけるとは・・・なんて声が聞こえるが公爵令嬢。しかも長女ですから誰も何も言えない。
「星の魔女よ!今日は何をするのだ!」
こ、怖いっ国王様怖いっ!しかし、私は星の魔女。正体不明。正体不明よ!
「早速見せて差し上げますわ」
私が作った魔法を見せる。
「【星よ 我が望むままに 降れ】」
そう、私が言うと。空が輝く。虹色に光る空は幻想的。星が光を増し、より一層見えやすくなる。
そして、流れ星がたくさん流れる。この国で流れ星が見られたことは一度もなく、みな驚いている。
だけどこれ、星を落とすのはちょっと、ってことで演出してるだけなの。
「おお!これは素晴らしい・・・魔法の力なのか?」
「これほどの魔法の力を持つものなどいるのか?」
「意図的に隠しているというのは・・・?」
なんか、みんな驚いてるね。
「最後に特大のをやるわよ!」
そう言うと、キラキラと星が降ってくる。それは地面につく前に消える。それを見た者たちはみな見とれている。
「では、ごきげんよう。お早めに寝ないと寝不足になってしまいますわよ」
こうして、私の一日は終わっていく。
なぜだかは、分からない。しかし最近やけに視線を感じるのだ。殿下から。私、なんかやらかしちゃいましたか!?もう、やだ〜!
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