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人間になりたかった犬  作者: 仁咲友希
5/20

ー 捕まった その後は…? ー (改)

ー 捕まった… その後は? ー



「とりあえず、一旦 休憩する? さっき眠くなったんでしょ」

「そうだよ、なんだよこのソファー なんか眠くなるようにしてあるのか?」

「そんなことはないんだけどなぁ…」


なんだか この ふっかふかのソファーに乗ってると眠くなるんだよな。


「んっ~ やっぱり 映像を見てても面白くないとか… なのかなぁ」

「えっ、なんだよそれ」

「つまんないから 寝ちゃったのかなぁ…って」

「んっ~ どうかなぁ、懐かしい… と言えば 懐かしいけど…、

確かに この頃は仲間と出会って 毎日が楽しかった それだけだからなぁ…」


天空の意見にのった、一旦 休憩だ、ソファーを降りて少し歩く…といっても、

本当にこの辺は何もない、さっきみたいにあまり遠くに行くわけにもいかない。


「じゃ また何かを口にする? でも 欲しがるって 珍しいよね」

「なんで、珍しいんだ 普通だろ?」

「う~んと、上手く説明が出来ないんだけど、ここは時間の流れがないんだ」


時間? 流れ? 天空が上手く説明が出来ないんだから、俺に分かるわけないよ、

まぁ、ここは どれだけいてもお腹が空かないから、食べる必要はないらしい。


だから 食べる 食べない も自由、ゆっくり見る 見ないも とにかく自由、

この映像を見終わるまでは やりたいことをやりたいように していいらしい、

天使が手伝うから、後悔をしないように 過ごしてくれればいいのだそうだ。


「でもさ、俺みたいに食べるヤツはいないのか」

「いるよ、でもそれって ほとんど とっても食いしん坊な生き物だよ」

「俺 そんなに食いしん坊じゃないぞ」

「だよね、そんなに太ってないもんね、…だから珍しい…というか不思議」

「そういえば、天空 お前のこと…」

「そろそろ始めなくていいの? 早く帰るんじゃなかったっけ」

「あっ… そうだった、なんか天空といると くつろいじゃって…」


天空に言われて続きを見ることにした、合図とともに映像が早送りされる。

3歳の祝いをする楽しそうな映像が流れる…、俺は…と言えば、

最初こそ一緒にいたものの、人間たちはだんだん食事に夢中になって、

かまってもらえなくなる、わかってる わかってるよ 俺 犬 だもんな…。

そして、また変わらない日常に戻る、朝 起きて ごはん お水 そして散歩、

人間たちの気配を側で感じながら…、人間に呼ばれるのをずっと待ってる 俺…。


確かに代わり映えしないもんな、天空も退屈だったんだろう…、

ああは言ってたけど ホンとは天空も仕事を早く終わらせたいんだろうな…、

ついそう考えてしまう、でも ちょとだけど 天空の機嫌が良いように見えるんだ。

それにしても 俺のことばかりだし 天空のことを聞こうと思ったんだけど…

まぁ… 後でいいか。


「ねぇねぇ、あのワンちゃんはお友達?」

「えっ、どの犬のことだ」


急に 天空に言われて 俺は映像を止めた。

どうやら 近所の公園に弟たちと散歩に行っているところのようだ、

天空は俺にわかるように 手で犬を指し示した。


「ほらっ、この子 この子だよ、ひなたと同じ犬種の」

「あぁ サクラさんのことか、友達だよ 優しい姉さんのような…かな」

「えっ、お姉さんなの?」

「ちょっとだけ…な、たぶん… そうだ 1つ上だと思う」


こんなふうにならなかったら 年がいくつ なんて事も知らなかったんだよな。


「ひなた、この頃の映像 普通にみてもいい? 

まだ ドックランの仲間しか 紹介してもらってないからさ」

「別に 紹介するまでも…って、 わかった、わかったよ 見る 見るって」


残念そうな顔をしたと思ったら、何かを目でスゴ~く訴えかけている、

こっ これって、なんだか 俺の仲間がよくやってる おねだり っぽいな、

俺よりもちょっと小さい仲間が 人間にやって よくおやつを貰ってたよな、


それにしても、さっきは 早く仕事を終わらせたいんだろう って思ったのに、

〝登場人物がわからない…〟 なんて、やっぱり 俺の過去を楽しんでるのか? 

そもそもだ 本当に これの何が楽しいんだ? やっばり変わったヤツだ。


「じゃ 再生にしよう、別に俺は見なくても いいんだけどな」

「えっ 僕のお願い聞いてくれるの?」

「あぁ 聞いてやるから 早くしないと 俺の気が…」

「じゃ、お願い、別のお願いも 1つ聞いて!」

「えっ? 別の…」


鼻息荒く…って感じで 俺にお願いをしてきたと思ったら…、

なんだか分からないけど、とりあえず聞いてやることにした。


「これでいいのか? でも これなんだ?」

「これ? リモコンだよ」

「これ、俺が出したのか?」

「そうだよ、ひなたは かじったことがあるから 簡単に出せると思った」


そうしたら リモコン って、こういう道具が欲しいって頭で考えてって言うから、 

言われた通りにしてみた、 天空が あそこ でまた何かをすると 何か出てきた。

そう言われてみれば、これって 俺が かじって怒られたのに 確かに似てる。


「別に、お前が あそこで頼めばよかったんじゃないか?」

「えっ、いっ 一応 僕のお願いじゃ ダメなんだよ」


そうなのか… さっき ごはんがもらえたのは、俺の ついで だったもんな。

天使見習いは俺の手伝いをするためにいるから、自分のお願いは出来ないらしい。


「これがあれば 僕も簡単に映像の操作が出来るんだよ」

「僕も って、天空が映像を止める意味があるのか?」

「えっ あるよ、面白そうなとろで止めて ひなたに解説してもらうんだ~」

「おいおいっ、俺の過去で勝手に楽しむなよ」


やっぱ気のせいだっ…、早く終わらせようどころか楽しんでるぐらいだ。


「とりあえず 落ち着け、進めるぞ」


リモコンを貰って楽しそうにしている 天空は とりあえず置いておくとして、

映像が再生される ここはちょっと広い公園、多くの人間の子供たちが遊ぶ公園だ。





「あっ ひなたくんも 遊びにきたの? ねぇ 付き合って」

「えっ、何を付き合うの サクラさん」

「ご主人様、話に夢中になっちやって ヒマしてたの…」


公園に入るなり 弟たちは面白そうな大きなおもちゃのところに遊びに行った、

ご主人様は、僕をつれてお気に入りの人間のところに向かったんだけど…、

そこに サクラさんがいた。


「ずっとここにいるんですか?」

「そうなの…、ご主人様ったら話し出すと長くて、

モカちゃんのご主人様が帰ってから ヒマなの、ねぇ 話し相手になって」

「サクラさんの相手なら喜んで」


どうやら モカさんは帰ったようだ、この公園の仲間では僕が一番下だった、

みんないると なかなか話せないからな…、これでゆっくりサクラさんと話せる。


「ようっ みんなも来てたんだな~」

「あっ マロンくんの声 マロンくーん」

「ちぇっ…」


ちょっと離れたところから 僕たちに声がかけられた、マロンさんだ、

僕たちのところにマロンさんがやって来た。


「ようっ いつも かわいいね サクラちゃん、あっ ひなた も いたんだ」

「どうも… マロンさん」


せっかく サクラさんとゆっくり出来ると思ったのに いつもマロンさんは…、

マロンさんは苦手だ、嫌いじゃないんだけど いつも邪魔するようにやって来る。


「ねぇねぇ、マロンくん 最近 何かあったの? 楽しそう」

「え~、教えてもいいけどなぁ…」


ほらっ いつもそうだ、僕との話はどこかにいってしまった、

僕が一番最後に仲間に入ったから 話についていけないところもあって、

特にマロンさんがくると どんなに楽しく話をしてても 話を持っていかれる。


「あっ、ごめんなさい、ご主人様 帰るみたい、またね みんな」

「おっと 残念だな… またね サクラちゃん」

「サクラさん、またね」


サクラさんが離れていく… せっかく久しぶりに会えたのに。


「で、どうなんだよ ひなた、俺に 邪魔されてばっかじゃダメだろ」

「邪魔? 何のことですか マロンさん」

「全く… しょうがないヤツだな…」





「なっ なんだよ 天空、急に映像を止めて 何かあったか?」


俺は止めていないのに 画面に映った映像が突然止まった、俺は天空に話しかけた。


「何があったって、ねぇ サクラさんとはどういう関係なの?」

「どうもこうも、言ったろ 良くしてくれる 姉さんのような 感じだよ」

「それだけ?」


俺の返事に なんだか天空は不満そうだったが…、本当にそうだからな。


「さっき話した 俺と同じ犬種で俺より大きいサクラさん、とても優しい姉さん、

それからモカさん、気配りの出来る 頼れる姉さん、たぶん2つ上ぐらい、

そして この中で一番大きいのがマロンさん、ここでは一番先輩、

いい兄さんなんだけど、俺をよくからってくる」


それから とりあえず ここにいた仲間の紹介を 天空にしたやった。


「ねぇ マロンさんはいくつぐらいなの…?」

「わからないよ…、年齢っていうより…俺たちって えっと 四季? だっけ、

あれを何回 経験したかとかだから…、例えば サクラの季節が何回とか」

「そうか… 暑い季節とか寒い季節とかを何回って 言い合ってたってことか」

「そんな感じたよ、回数が増えるとわからないし… マロンさんは…」

「もしかして、覚えていなかったの?」


その通りだ、別に回数を数えてるわけではないから…、マロンさんいい加減だし、

どっちが上かは もちろん そこに古くからいる順番とかで… 年齢は関係ない…。


「俺がこの公園に…デビュー…か、それをしたとき もうみんな仲間でさ」

「じゃ ひなたは この仲間に 後から入れてもらったんだ」

「あぁ、仲間に入れてもらって ここでのことをたくさん教えてもらったんだ」


別になぁ…、公園のことはおぼえてるけど 特にこれってことはないしなぁ…、

見たそうにしている天空のことは置いておいて さっさと早送りに切り替えた、

だいたい、俺が からかわれているだけなんだ、ほらな 思った通りだ、

マロンさんにからかわれてから、わりとすぐに俺も公園を出て帰ったようだ。



それからは また変わらない日常へ。

朝起きて、ごはん 散歩 遊んで また寝る…、たまに大泣きとかもあるけど、

この頃は そんなことが多かった 同じことの繰り返しで飽きてくる…、

そうだ、今は人間の言葉が解るから それを聞いたら面白く変わるかもな。


でも、ここに来た生き物たちは どんな思いでこの映像を見るんだろう、

もしかしたら 他の生き物はこんなに同じことばかりの毎日じゃないのかなぁ。


「あっ、これは… この仲間は…」

「えっ、どの子? とりあえず 映像 止めたよ」


ただ だらだらと画面を見るのに飽きてきた頃、道ですれ違った犬を見つけた。


「そういえば、どうなったんだろう…」

「えっ このワンちゃんのこと? この子… なんか…怪我してない?」


しばらく会っていなかったから、今 見て思い出した、ルークさんだ。

この公園によく遊びに来ていた頃、すれ違うことが多かった仲間なんだが…、

最初は飼い主さんと仲良く散歩していたんだよな、でも いつからだろう…。


「この犬は ルークさんって言うんだ、確かに よく怪我してたよ」

「そんなに? じゃ活発的なワンちゃんなのかな、ひなたもケンカとかしたの?」

「いや、俺は道ですれ違うぐらいで、あいさつする程度だった」


確か ルークさんは車に乗って 遠くに行ったんだよな…。

あの時… そう言えば ルークさん あの時なんか言ってなかったっけ…。


本当に俺 いろんな事を忘れてるのか? 天空に言われたことを思い出す、

子供の頃の事って そんなに思い出せないものなのか?

俺たちは、ご主人様について行くから、いなくなるなんて よくあることだが、

そういえばあの頃 確かに何かがあったんだけど、なんか そのままになってた。


「ちょっと… 普通に 見ようか…な…」

「なに? 急に 見る気になったの、このワンちゃんが 大切な犬とか?」

「コイツは 男 だよ」


何かを勘違いしている天空は… もう ツッコミを入れる気にもならないや、

とにかく 問題の映像だ 俺たちはまた画面に目を向けた。





「ようっ ひなた 散歩か?」

「ルークさんこそ、…また逃げだしたんですか?」

「まっ、そんなところだ じゃあな~」


相変わらず ルークさんは忙しいなぁ、

でも、なんでそんなにご主人様から逃げるんだろう、ケガまでしてさ、

ご主人様のところにいたら、ケガなんかしないし、ごはんももらえるのに。

そんなことを考えながら歩いていたら…、もう公園に着いた、

どうやら先にモカさんが来ているようだ。


「モカさん 久しぶりです」

「あらっ 久しぶり ひなたくん 元気してた?」

「ええ こんなにって モカさんこそ 最近 来ないから…」

「来ないのはあなたよ、私のご主人様はここが気にいってるから、

私の散歩はいつもここだもの」


いつも通り、仲間と楽しく遊んで、ご主人様は優しくて… って。


「どうしたの ひなたくん 何かあった」

「さっき ルークさんとすれ違って、ご主人様と一緒じゃなかったなぁって」

「また、ルークくんは… ひなたくんは真似をしたらダメよ」

「真似って 逃げることですか?」

「そう ご主人様から逃げることよ 絶対に真似しちゃダメよ、

私も詳しくは知らないんだけど、捕まえられて、そのまま怖いところに

つれて行かれちゃうんだって」  

「怖いところ…ねぇ」


単純に飼い主さんや その仲間に捕まえられただけ なんじゃないのかなぁ…、

だって ルークさんは何回もご主人様から逃げてるんだから。


「でも、何でルークさん そんなに逃げるのかなぁ…」

「ルークくんも自由だから…、でも 散歩が…ごはんが…とか言ってたかな」

「ご主人様のところにいれば ごはんはもらえるのに なんか変ですね」

「どうかなぁ…、ちょっと変かな …ルークくん 最近 元気が無いような…」

「そういえば、さっきはケガを…」

「ひなたくん、モカさん 久しぶりです」


サクラさんが公園にやって来た、ご主人様たちがいちだんと騒がしくなった、

また話が長くなりそうだ、これなら久しぶりにゆっくり話せるぞ、

サクラさんと話せると思うと、なんだ嬉しくて、しっぽが上がってしまう…。





「もう 早送りするぞ」

「えっ~、今 サクラさんといいところじゃない」


早送りと言う俺の言葉に、隣の天空は 何だががっかりしているように見えた。


「天空 お前さ 何か期待してるようだけど、俺 フラれてるからな、

サクラさんは 同じぐらいの大きさの犬がタイプなんだって…」

「えっ…、あの… ゴメン なんか ゴメンなさい」

「いいよ別に、でもさぁ… 同じ犬種?だよな なのに何で違うんだろう…」


俺だって 前はもっと大きくなるって思っていたんだ、人間みたいにさ、

だって 俺と出会ってからの弟たちは どんどん大きくなっていったから。

でも 俺は そう1年だな それぐらいで 大きくならなくなったんだ。

今は天空のおかげで分かる、犬にも犬種って種類があるってこと、

でも同じ種類なのに、俺だって大人なのに、何でサクラさんとこんなに違うんだ。


「なぁ 天空 俺とサクラさん同じ犬種ってやつだろ なのにさぁ

何でこんなに大きさが違うんだ?」

「あぁ それはね 〈改良〉ってヤツだと思うよ」


まただ、また難しい話だ、天空も難しいことは解らないらしいが、

ただ言えるのは…。


「人間の都合や 好みに合うように 少しずつ作られていったってことかな」 

「作られて? 本来の姿を変えるように…ってことか?」

「そう、魔法のように…じゃないよ、時間をかけてそう生まれるようにするんだ」

「…そう…か」


俺は たまたま小さく育ったんだと思ってた、でも それは違ったのか?

ペットショップに並べられたり、大きさを作られたり… すべて…人間の都合。

 

天空は 俺との約束通り 頭の中は見ていないようだ、楽しそうにしてる、

こんなこと思った俺を、いや こんなことを 直接 聞いたらどう思うだろう。


今さらだけど、人間に飼われるって、どういうことなんだ。

犬ってなんなんだ、犬は人間の 相棒 や 家族 じゃないのか?


それから映像を早送りにした、また注射、そして4歳の誕生会の映像になった。



「ねぇ ひなた、4歳の誕生会の映像になったよ、少し休む?」

「別にいいよ、でもさぁ お水だけもらえると助かる」

「そう…、じゃ…、 はい どうぞ それじゃ 早送り続けるね」


天空に また水をもらった、天空が操作してまた映像が動き出す、

俺が水を飲み終わり顔をあげると、日常が映し出されていた、

水もらえてよかった…、ちょっと 頭の中がごちゃごちゃしてたけど落ち着いた。


「ねぇ、このワンちゃん また怪我をしてるね あっ 行っちゃった」

「えっ、あぁ ルークさんか いつも動いてるからね ルークさん」

「…やっぱり ひなたは疲れちゃったんじゃない 休もうか?」

「いいよ 別に疲れてないし、天空こそ疲れたんじゃ…って そんなことないか」


映像が また止まっている、俺 ボーッとしてたから、天空が止めたらしい、

映像の端の方にルークさんが映っていた、本当に俺よりよく見てるよ天空は、

弟たちと散歩をしているところで ルークさんとすれ違ってたんだな。


「ねぇ ひなた、ルークさんに 何で逃げるのかって 聞いたことある?」

「直接はないよ、そういえば、えっと狭い箱…じゃない キャリーバックだっけ

それに入れられて 車? に乗ったのは見たなぁ、あれが最後だったような」


まだ 人間の言葉に馴染んでないから、出てくるのに やっばり時間がかかるな、

言われてみれば ルークさんとは 近所の散歩でも しばらく会っていない、

俺だって車で出掛けるときはキャリーバックに入る、だからきっと遠くへ…。


「確かこの頃は ご主人様に ドックランによく連れて行ってもらってたからな、

この間に ルークさんのご主人様が引っ越しってヤツでもしたんだろう」

「そうなんだ…、ならいいか ご主人様と仲良くしてるんだもんね」


また映像の早送りを始めた、言ってるそばから ドックランの映像が映る、

この頃からだったよな、ママさんが車を動かすようになったのは、

それもあって ドックランにママさんと弟たち そして俺で行くことが増えた。


「ねぇ ひなた、デュークくん いなくなっちゃったの?」

「えっ、そんなことはないぞ、今でも たまに会うし」

「そうか… そうだよね、なんかずっといないから、気のせいか」

「そういえば、しばらくいなくて 迷子になった…とか言って頃があったなぁ」

「迷子? そのシーンがあったら見ていい?」

「別に 好きにしていいよ」


その辺に あまり興味がなかった、なんだかんだ俺の過去だ、知ってることだからな、

それよりも人間のことだ、言葉が解ってみると いろんな事が気になってくる、

あの頃 何があったのか? あの時、何て言ったのか? いろいろと見れた。

でも、俺が子供の頃に聞いたことだから 分からないところもなぁ…、

俺が 過去に聞き取った言葉だから、聞こえていてなかったら そのままらしい、

以外と 見たいところが見れてないのかもしれないな この映像…。


「あっ、ドッグランに デュークくん出てきた 再生に変えるね」

「あぁ わかった…」


天空のその言葉を合図に画面は変わった、何だかゆっくりとした声が聞こえてきた。





「ホンとだよ~、ホンとなんだよ~、スゴ~く 怖かったんだから~」

「それの何が怖いだよ、ご主人様と遊んで来ただけだろ」

「それは~ そうだけど~…」

「みんな、楽しそうね、仲間に入れて~って どうしたの?」

「どうも ミーナさん、もう ミーナさん聞いてくださいよ、

デュークくん さっきから自慢話ばっかりするんですよ」

「自慢話じゃないですよ~ ミーナさんも聞いてくださいよ~」


これが自慢話じゃなくて なんだって言うんだよ…、あぁ もう一度聞くのか…。


「僕ね、ご主人様たちと お出かけしたんだ、すごーく遠いところ、

なんだか 見たことがないものがいっぱいあって、すごーく楽しくて、

おいしいごはんもいっぱいもらえて、すごーく嬉しくていっぱい食べて…」

「なるほど、自慢話ね」

「違う~、違うんですよ~ ミーナさ~ん、ひなたも~ 聞いてよ~」

「なんだよもう」

「この後なんだよ~、このあと~ 迷子になって~ 怖いところに~」

「ほらっ デュークくんがゆっくり話してるから ご主人様に呼ばれちゃったよ、

その話は また今度 聞いてあげるよ じゃあね」


まったく自慢話はもういいよ あ~助かった、ご主人様のところに向かった。


「何が怖いところだよ…、あれっ こんな話 どこかで聞いたような…」





「ひなた、全然 デュークくんの話 聞いてないじゃないか」


画面から目を反らして 何だが不満そうな顔で天空が俺に話しかける。


「だって しょうがないだろ 天空、俺のせいじゃない、これ過去の話なんだ」

「あっ そうだ ごめん、でも どうなったか聞いたの? 気になるんだけど」

「あぁ、確か… 聞いたよ、え~っと、そうだ ミーナさんから聞いたんだ」

「じゃ、話が出てくるね もうちょっと 見ていい」


なんだか リモコンを使うようになってから 天空が映像をリードしてるなぁ、

さっきまでは俺が映像を操っていたのに すっかり天空に取られてしまった、

まぁ 別にいいけど、どうやら次のドックランまで早送りをするようだ。


「あっ、あった ドックランだ、再生にするね」

「あぁ…」


確かに あの頃 聞いたんだけど…、ちょっと…な 詳しくはおぼえてないかった、

デュークくん いつも話が長くて分からない事を言うから、理解するのが難しいんだ、

ミーナさんの話も…なんか…内容が…だったような…、でも 今なら 解るかなぁ…。

映像は またドッグランで集まって話しているところを映し出した。





「それでね…、ひなたくん聞いてる?」

「聞いてますよ、デュークくんの自慢話でしょ」

「それもそうだけど、ちょっと 違うみたいなの、デュークくんの話はね…」


そう言うと ミーナさんはなんだか説明しにくそうに、その時のことを話してくれた、

思い出しながら話してくれたその内容は…。


“僕ね、すごく楽しくて夢中になっちゃって、ご主人様とはぐれちゃったんだ、

ご主人様を探しても見つからなくて、探せば探すほど どんどん迷っちゃって、

雨も降ってきて スゴく寒いし、お腹が空いてきちゃうし、

もう どうしたらいいか わからなくなって泣いてたら、助けてもらえたんだ”

“ご主人様が見つけてくれたの?”

“ううん、違うんだ~、あのね 僕と同じくらいの大きさの子”

“デュークくん 話の内容を整理して伝えて、ちょっとイライラしちゃうから”

“うわぁ~怒らないで~、あのね それでね、その子は先輩だったんだ、

それでね 仲間のところに連れて行ってくれたんだ、そこでお世話になったの、

でも そこの仲間たちは、お前はもう家に帰れないぞって言うんだ、

それが とても悲しくて悲しくて”

“帰れない? 帰ってきてるじゃない”

“それからだよ、それからが すごく怖かったんだ”


「デュークくん、珍しく そこはハッキリと言ったの、本当に怖かったのね」

「何を言ったんですか?」

「聞いていたけど よくは 解らない内容だったんだ…」


“しばらくその仲間といて、助けてくれた先輩みたいになりたくて頑張ったの、

そうしたらね、みんなが言ってる怖いヤツらが来たんだ”

“怖いヤツら? イジワルする人間とか”

“イジワルする人間も来たけど、でもね、それよりも もっと怖いヤツ”

“え~っと、どんなのかな?”

“それが、よくおぼえてないんだ”

“もうっ それじゃ 話す意味がないじゃない!”

“待って、待ってよ、えっ~っと、その怖いヤツをみんなは警戒してたんだ、

でも、僕は知らなかったから逃げ遅れちゃって 遅れた仲間と捕まったの”

“えっ、デュークくん 怖いヤツに捕まったの?”

“うん、みんな怖がってた、でもね、僕にはそれが人間のように見えたんだ…”



「人間? 何でみんな人間を怖がるの? イジワルな人間じゃないんでしょう」

「だからなの、意味が解らないでしょ、それでね、もっとわからなくなるの…」


人間が何で? 確かに訳がわからない話だ、だって イジワルな人間じゃないんだろ、

だったら何が怖いっていうんだ? 話は続いた。


“それからね 仲間たちと連れて行かれたんだ、人間の住みかみたいなところ、

そこには大人も子供もたくさんいて、そこのみんなと仲良くなれると思ったんだ、

でも、一緒に来た仲間も そこの大人も もうダメだ もう処分される って…”

“処分されるって、何のこと?”

“その事を聞こうと思ったんだけど 他の仲間と一緒にしてもらえなかったんだ

僕が大きいからかなぁ…”

“でも その後でも しっかりそのことを聞いたの?”

“聞いたよ 離れたとこから話かけたんだけど… 返事もしてもらえなくて…、

しばらくしたら 人間の住みかみたいのに、ご主人様が迎えに来てくれたの~”

“だから帰って来られたのね”

“うん…でもね、その時もスゴく怖かったんだ、ずっと泣いてた仲間もいたのに、

僕のご主人様が迎えに来たら みんなに一斉にご主人様に近寄っていったんだ”

“えっ 何で?”

“わからないけど 助けてーここから出してー何でもするからーって 叫んでた”

“みんな そこを そんなに怖がってたの?”

“みたいなんだ~、それでね~ 人間が 〈僕のご主人様〉って気がついたら、

裏切り者ー!って、俺も助けろ~! 恨んでやる~って 僕 怒鳴られたの…”



「……いつもおっとりしてて、あんまり怖がったりしないデュークくんが、

珍しく もう二度とあんな思いはしたくない って言ってたわ」

「それで ご主人様にベッタリなんだ」

「あっ ホンとだ、しばらく ここに来ても遊ばないかもね デュークくん…」





やっばり なんとなく…だよな、確かにあの頃 話を聞いたけど…わからなかった、

改めて その時の話を映像で見ても やっぱりよくわからない。

人間だろう? イジワルをしない人間を どうしてそんなに怖がっていたんだ? 


「俺さ、ミーナさんから聞いたけど、正直 怖かったしかおぼえてなかった」

「えっ、何で?」

「だって よく解らないじゃないか、人間が怖い? 何が? って話さ」

「でもでも、怖いところに連れていく それは人間に見えたって言ったんでしよ…」

「デュークくんは迷子でいろいろあったから どうせ何かと間違えたんだよ」

「だけど、イジワルな人間はいるんだよね」 

「確かにイジワルなヤツはいるけど、そんな時は逃げれば大丈夫 怖くはないよ」


ご主人様を探してくれて 迎えに来るまでごはんもくれて、そこの何が怖いんだ?

きっと あれだ 怖い…って思っていて 変に見間違えるって きっとそれだよ。


「だけど みんなに怒鳴られたって…、みんな 人間が怖かったんじゃないの」

「家みたいなところだろ…、連れて来られた仲間も 迎えを待っていたんだよ、

そこに 後から来たデュークくんに迎えが来たから きっと当たられただけさ」

「そうなの…かなぁ…」

「そうだよ みんなだって 早く家に早く帰りたかったのさ、

きっと デュークくんが帰った後 みんなにも迎えが来てるよ」


そうさ 人間は怖くない、イジワルは確かに嫌だけど 怖いことはない、

嫌いなヤツにイジワルするのは イヤな話だけど 仲間同士でもあることだし、

好き嫌いはどんな生き物でも同じだよ、だって人間はすごーく優しいじゃないか。


「あれっ…、でも」

「どうしたの ひなた」

「さっき 天空が見てただろ モカさんが言ってた ルークさんの真似の…」

「…あっ、逃げたら怖いところって話のこと?」


胸騒ぎってこういうことなのか? 何かすごく気になった、

ルークさんとの別れの時、キャリーに入れられて、たしか…ルークさん…。


「俺もルークさんを最後に見た時が見たくなった、さっそく再生してくれ」

「あれっ さっきまで興味なかったのに」

「それからさぁ 天空 ダメならいいんだけどさ…」


俺は天空に映像の調整を頼んだ、その調整は出来るらしい、

その調整をしてもらいつつ、問題のルークさんを最後に見た日の映像になった。





「ルークさん、また 逃げてきたんてすか?」

「あぁ、あの住みか いよいよダメだ、俺が何とかしないと」

「住みか? ならご主人様に頼めば…」

「ヤバい、人間が来た、じゃあな ひなた」


公園でつながれてた僕のところにルークさんが来たんだけど、すぐいなくなった、

本当に忙しいなぁ、だけど… 走り去る後ろ姿が なんだかちょと小さく見えた、

そんなことを思ってたたら、僕のご主人様もどうやら帰るようだ。


「お待たせ ひなた、じゃ 行こうか」

「ああ…やっとだ、ご主人様の話は長いよ…」


さっきルークくんが走って行った方向だ…、住みかにまっすぐ帰らないんだな、

こっちの方は 人間たちがごはんをもらうところだ、人間がたまに立ち寄る。


「ひなた、最近 野犬が出るんだって、勝手にママから離れたらダメだからね」

「ご主人様、ごはんは何をたべるの?」


ご主人様と話をしていたら たまに見かける人間が近寄ってきた。


「あら、奥さまもお買い物? ここは歩きだと ちょっと遠くない?」

「車は使ってて、ひなたの散歩のついでに…なんですよ」

「ワンちゃんはここに?」

「はいっ、中には連れていけないから、ここなら繋いでいられるので、

ここで待っててね ひなた、首輪を外しちゃ ダメよ」

「そうよ 野犬と間違えられないようにね、ひなたくん」

「何? 遊んでくれるの?」


頭をなてでくれた人間が何か言ってるけど、よくわからないや、

遊んでくれるのかと思ったら帰っちゃった、

ここに来るといつもここにつながれる、イヤなヤツが来ないといいなぁ…。


「そっちに行ったぞ 捕まえろ」

「コイツ、待て 手こずらせるな、逃げんなって」

「やめろ~、お前らにかまってるヒマはないんだ」


何か騒がしいなぁ…、ご主人様がいなくなってヒマだなぁ…とか思っていたら 

すごく大きな声がした、何かルークさんの声に聞こえたんたけど…、あっ いた。


「車を回してくる、まさか こんなところで野犬を捕まえるなんてな」

「コイツ ちょっと弱ってるみたいだ、早く連れていってやろう」

「ああ 待っててくれ、 …弱ってるか、もう駄目かもなぁ 可哀想に…な」

「離せよ、家族が 兄弟たちが、他の仲間が 俺を待ってるんだ~!」


向こうの方かなぁ、声はするんだけど、見えないなぁ、ルークさん何か叫んでる…。


「お待たせ~ ひなた、さぁ 帰ろう」

「もう帰るの? もうお散歩は終わりなの ご主人様」

「あらっ、野犬が捕まったのかしら…、ひなた、間違えられなくてよかったね」

「あっ ルークさんだ ルークさ…」


なんだろう…、見つけたルークさんは 人間にかなり抵抗していたように見えた。


「やめろ! 離せ、俺に触るなー! 俺がアイツらを助けなきゃ… 離せ~」

「あっ、行っちゃった、また連れ戻されたんだ、でも かなり大げさだなぁ」


結局、大きい人間たちに狭い所に入れられて連れていかれたようだった。

ルークさんも逃げ出しすぎだよ、たがらあんなに大がかりに捕まえられるんだ、 

あんなに乱暴に捕まえられてるんだ、きっとご主人様がすごーく怒ってるんだ、

あれじゃ ご主人様のところに帰ったらルークさん大変だろうな。


ルークさんを入れた入れ物が入ったのが、走り去っていった。





「なぁ、あれって…」


俺は映像を止めて天空に話しかけた。


「いや…その前に、ありがとう 天空 上手く映像の調整出来てたみたいだ」

「うん、人間の言ってること解ったんだね」 


頼んだ調整は上手くいっていたようだった。

俺は天空に 〈人間の言葉をもっと聞き取れるようにしてほしい〉

そして 〈もう少し視野?ってのを広くしてほしい〉って頼んだ。

うまく聞き取れないとか、影になって音だけしか聞こえないとかたあったからだ。

映画では セリフって言うのがあって、話していれば映像に入ってるらしい、

見る範囲を広くすれば、影のところも見えるし、回りの音も聞こえるだろうって、

カメラがどうとか シーンがどうとか説明していたけど、ちょっと難しかった。


「難しいことはわかんないけど、見たらわかった、こんな感じなんだな」

「これはホンとに映画だね、ひなたを映した カメラ映像の」

「でも、これのおかげで 俺のおぼえていた事とはちょっと違ったって解ったよ」


俺はルークさんが もっと遊びたくてご主人様から逃げてた って思っていた、

でも それはちょっと違ったらしい。


「なぁ あの車…、何て読むんだ …ところ?」

「たぶん 〈ほけんじょ〉って読むんだと思う」

「保健所? なんだそれ 知ってるか 天空?」


〝簡単に言うと、動物を保護したり、注射したりするところ〟って天空は言った。


「…じゃ 乱暴だったけど、ルークさんはご主人様の元に帰ったんだな、

そうすると…、たぶんデュークくんも そこに行って帰って来たんだろう」

「そう…かもね…」


注射って聞くだけでホンとイヤな場所だけど、保護…って守ってくれるんだろ、

乱暴にルークさんを捕まえていたから その映像に少しビックリしたけど、

ルークさんも そこから飼い主さん ご主人様のところに帰ったんだろう。


だってデュークくんは帰ってきたんだ、たぶんそこに連れていかれて帰って来た、

ご主人様の元に帰って来たんだ、 そうなんだろう…?

なのに… それなのに…、天空 なんで ちょっと悲しそうなんだ?


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