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人間になりたかった犬  作者: 仁咲友希
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ー 俺の選択 ー

いよいよ 最終話です、データが消えたりと なんだかんだ大変でしたが、やっとゴール!

長々と書いてしまいましたが、みなさんは最初のことをおぼえているでしょうか?

ここにひなたがいるのは 3つの選択肢からひとつを選択する事、

それと、作者 犬が好きなのに なぜ飼わないかということです、

うまく伝わればいいのですが…。

では 最終話 楽しんでいただけると嬉しいです。


ー 俺の選択 ー



「えっ なにっ? 声が…」


台に乗ったのはいいけど 立ってるのがやっとだ 足がガクガクと震えている、

思わず弥月の方を見た そうしたら なんだか俺の回りが光っているのがわかった、

なんだろう 弥月は驚いているようだった、それより…声だ なんだか声が聞こえる、

何を 言ってるんだろう… これって選択のこと… なんだよな よく…、えっ?


“……やっと そこに 立ってくれた……ね、……ひなた……くん…”


「天空~ 天空~っ、なんか変だぞ 選択のことなんか言ってないぞ…」

「ひなた~、ひなた こっち こっちにきて とにかく こっちに…」


なんだ これって失敗したのか とにかく言われるままに 天空の方に向かった、

でも 呼んでもらってよかった、なんだか… なんだかわからないけど、

このままここにいたら どこかに引っ張られて つれていかれそうだったから、

空色の台を降りると すぐにそんな感覚はなくなった、振り返ってみると台の光が…。


「なぁ 天空、いったい どういうことなんだ さっきこの台の辺り光ってたけど、

こんどは なんか煙がで出るぞ 大丈夫なのか?」

「わからない、わからないよ いままで こんなことなかったから、

とにかく ひなた こっちに こっちにきて」


俺は天空に言われた通り 天空の元に走っていこうとした、そうしたら…。


「えっ なにっ? なんだ…!」


天空の方に走り出してすぐに 俺の体は中に浮いた、そう浮いたんだ、

人間に抱き抱えられている…んだけど なんか抱えられかたが ちょっと違うんだ、

そう… そうか さっき 天空に抱えられて飛んだときみたいなんだ。


「……何をしてるんですか……先輩…」

「せん…ぱい? えっ 天空の先輩?」


どういうことだ? それに なんだろう あの天空の顔… あの感じは…え~っと…。


「あぁ… そんな 冷めた目をしてさ 引かないでよ こーはいっ!」


あっ そうか 冷めた だ 冷めた目か、俺を抱えている人間?の言葉でわかった。

…とツッコミを入れている場合じゃないが、まぁ おかげで ちょっと落ち着いた。

俺は 天空の先輩? の顔を見ようと 上を向いたしたんだけど…、

ここからじゃ顔は見えない…、どうやら パパさんのような 大人の人間のようだ、

よく見ると 俺をしっかり抱えている手は とても大きくて力強そうだった。


真っ白だからよくわからないけど どうやら浮かぶのをやめて 床に立ったようだ、

天空の先輩が そっと俺を床に下ろしてくれた、

俺は 天空の方に歩いて行った、天空も 俺たちのそばに近づいてくるようだ、

その先輩から少し離れたところで 俺は振り返った これで顔が見られるはずだ。


「……キレイ…だなぁ…」


思わずつぶやいてしまった、たぶん さっきまで浮いていたからだろう、

大きく広げていたんだ 大きな 白い翼、俺の目には まずそれが最初に映った、

天空の翼よりも 大きくて 真っ白で、回りが白いのに それより とてもキレイで、

これが 目を奪われるってことなのかなぁ…、


「何をしてるんですか、何で 先輩がここにいるんですか」

「えっ そんなの決まってるじゃないか ひなたくんを…」

「わっ やめっ やめろ~」

「やめて やめてよ ひなた ひなたー!」


あっという間だった あっという間に俺は 先輩天使に抱き上げられていた、

そして すかさず撫でられて、あぁ 顔スリスリまで… なんという速さなんだ、

天空があわてて 先輩天使の手を引っ張っている でも もちろん動かない、

俺も暴れて降りようと… あれっ でも それほどイヤじゃないかも…、

なんだろう… なんだか懐かしいようなそんな感じのする やさしい手だ…。


「ありがとう ひなたくん イヤぁ… もっと抵抗されるかと思ったよ」

「……いえ」

「もう ひどいですよ 先輩、ひなたが 驚いて 固まってるじゃないですか!」


天空が言うように驚いた 驚いたんだけど、動けなかったのはそれだけじゃなかった、

あの手の優しさ 改めて見る 先輩天使さんの顔、なぜか懐かしいって感じるんだ。


「ひなた大丈夫? なんだか バタバタしたけど、 …改めて 紹介するね」

「どうも~ こいつの指導役の~ 先輩天使… でぇ~す」

「………。」

「もうっ 先輩 仕事中ですよ ちゃんとしてくださいよ!」


これか… 独特の口調で ポーズを決めて 俺にあいさつする先輩天使さんに、

さっき 先輩天使さんが現れたときに 天空が 引いたっていう気持ちがわかった。


それよりだ 俺は驚いていた、あの弥月が あんなふうな顔を見せるんだってことに。

俺が知ってる弥月は どちらかと言えば 落ち着いて… いや おとなしくて…かな、

弥月は いつもバタバタしている奏星を 優しく見守っている感じだったんだ。

はっきり言う奏星、受け入れる弥月って 良い意味でも悪い意味でもそう思ってた。


先輩天使さんと話している 弥月のその姿は、そう…何て言うか…、

だらしない先輩天使さんを怒ってる しっかりもの のように見えるけど、

そうじゃなくて… そうか じゃれて遊んでいるように見えるんだ、

だって 俺と話していた 悲しそうな弥月の顔は だんだん笑顔になっていく…。


弥月…。 俺たちと離れて いつの間にか こんなにも大きくなったんだね、

もう 兄ちゃんやパパさんたちがいなくても こんなふうに笑えるんだね…。


「ねっ ひなた、ひなたも そう思うでしょ!」

「えっ あっ ごめん 聞いてなかった…」


ちゃんと聞いててよね…って言ってる、 その弥月は とても楽しそうだった、

まるで 大きな兄ちゃんと遊んでいるように、パパさんに甘えているように…。


俺 ずっと思っていた 俺は ずっと弥月を待っていてやるんだって思ってた、

弥月がなかなか帰って来ないから、みんなも迎えにいかないから、だから…、

俺だけはずっと弥月を待ってて 帰って来たらすぐに出迎えしてやるんだって、

弥月が笑ってくれるように、だって だってさ、俺は弥月の兄ちゃんなんだから…。


「…もう わかった わかったよ、それじゃ 仕事の話をしよう」


先輩天使のその言葉に 天空は楽しそうに話しかけるのをやめた、表情が変わる。

少し真剣な顔だ、あぁ… 少し離れている間に 弥月はこんなに変わったんだ…、

弥月は こんなにも大人に近づいたんだな…、そして俺は気がついてしまった。


弥月が必要だったのは 俺の方だったんだな。 なら… もう…いいか。


「あっ そうださっきの、どうしてですか、さっき ひなたはあそこに立ったのに、

いつもなら 神様からのお告げが聞こえてくるんですよね なのに 何で先輩が…」

「そうそう それだよ、はいっ コレっ、 俺は “コレ” を届けにきたんだ」

「コレって これは何ですか?」

「コレっ? これはね 〈神様のお告げ〉 だよ」

「お告げだよって お告げは 神様が直接 伝えてくださるんじゃ…」


…棒? 違う 紙かな? 先輩天使さんはどこからか筒状の何かを取り出した。

天空 や 他にいる天使さんの仕事は ここに来た 生き物の手伝いをすること、

その様子を神様に報告をすることなんだよな…。


「神様のお告げはな、俺らが それっぽく読んで 伝えることもあるんだ、

神様もお忙しい方だからな」

「そんな… 知らなかった」


天空は 説明する先輩天使さんの話を聞いて驚いていた、天空も知らなかったらしい。

神様は 報告された すべての生き物の過去の行いから 

これからの行き先を決めているのだけど、でも ここは 他とは違うとくべなところ、 

だから神様は ここでの行動も含めて 特別にお告げを考えてくださるのだそうだ、

特別だから 神様がここにいらっしゃって 直接お示しになることが多い、でも、

神様がここに来られない時は、お告げを あんなふうに書いてくださるらしい、

お告げを渡された天使さんは、離れたところから それを伝えていたそうだ。


「今まで 弥月が担当した生き物も 俺がお告げを読んでたことがあったんだぜ」

「えっ? そうなんですか、全然わからなかった」

「あれっ 名前、 何で 弥月って名前を知ってるんですか? 名前は無いんじゃ…」

「そうか そうだね…、まず ひなたくん 後輩に いい名前をくれてありがとう、

みづ…じゃない、今は 天空だったね、実はね 俺は 弥月の担当天使だったんだ、

だから 昔の名前を知ってるんだよ」

「そうだったんですか…」

「ここでは 見習い天使に名前がないのは本当だよ、だから普段は 呼ばないけどさ、

まぁ 君は 弥月の関係者だし、それにさ…」

「それに 何ですか?」

「こいつ すぐに来ないように…とか言ってたけど ずっと会いたがってたんだよ」

「会いたがった? それは 僕に… 僕に会いたがってたってことですか?」

「そうそう 仕事をはじめたばかりの頃は こいつ 結構 泣いてたんだよ、

みんなに会いたい ひなたに会いたいって…、そのこと思い出してさ、つい…」

「先輩!」


弥月は先輩天使さんの口をふさごうとしている、でも 手が届かない、

飛べば届くんじゃないかなぁ…って思うが それを忘れるほど 顔が赤くなってる。


でも そうか そうなんだ 弥月はみんなだけじゃなくて 俺にも…。


「どうしたの ひなたくん なんだかすごく嬉しそうだね」

「えっ あっ そうですか?」

「あっ~ 俺に会えて嬉しかったとか~? 俺のことは パイセンでいいからね」


その言葉を聞いた天空は 頭をかかえている その気持ち わかる気がするよ…、

それから 先輩天使さんは真面目な顔をして 話はじめた。


「まぁ 話が それたけど…、そんなわけで お告げを渡しにきたんだよ」

「何が そんなわけで…、なんですか、そう それに それにですよ、

ここまで来なくても いつも通りに 外から読み上げれは いいじゃないですか」

「そりゃ もちろん こんな モフモフのチャンス……、じゃなくて!」

「……やっぱり そうだと思いましたよ」


天空がまた冷めた目をしている、だけど 決してイヤなものを見る冷たい目じゃない、

ふざけて しょうがないなぁって 優しく見守る感じ そう いつもの弥月だ。


「いや 違う 違うぞ、話はそれたけど 指導をするためにも来たんだ」

「えっ 僕 何か ダメなところがありましたか?」

「ひなたくんが やさしい犬だったからよかったけど、危なかったんだぞ…」


先輩天使さんが俺の頭を撫でてくれた、あぁ やっぱりそうだ 

この人は 犬好き だ、そして とても とても優しい人だ、

寂しくないように こんなにも 弥月のことを気にかけてくれている…。


「ごめんね ひなた、僕 気がつかなかった」


弥月が俺に謝っている ボーッと聞いてたからだけど、俺 何かしたのか?

どうやら俺は ご主人様と別れ テレビで人間の動物に対するひどい映像を見た、

その辺りから、ずっと 怒っていたらしい、どうやら それがいけなかったようだ…。


「ひなたくんが 怒りを静めたからよかったけど、そのままだったら大変だったぞ」

「はいっ すみませんでした」

「大変って 何が大変なんですか?」

「相手を憎んだりしてはいけないってことだよ ここはそういう選択もできるから、

そういうことばかりを考えるのは よくないことに つながるんだ…」

「よくないことにつながる?」


あぁ なんか天空が言ってたなぁ すごく怒っていて話すことも出来ないとか、

どうやらここでは 怒っていること それが選択肢に使われることがあるようだ、

本当に そんなことが選択につながるのかなぁ…、

だけど なんで それがよくないんだろう…。


先輩天使さんは教えてくれた、相手を憎む? そんな思いにとらわれていると、

どんなに隠しても 神様は その思いを 確実に読みとられるのだと、

その事は選択肢に影響される、その思いが願いとして 神様に叶えられると、

これからの生まれ変わり? 天国? とかなんとか、

そのことに 関わるってんだって、それって なんのことだろう…。


「それで改めて 選択肢のことだけど…」


よくわからない言葉が出てきたが、そのことも このお告げを聞けばわかるらしい、

今回は お告げを自分で見ることも出来るようだけど…、

簡単に天空と話し合って お告げを先輩天使さんに読み上げでもらうことにした、

やっぱり 天空も …だよな。


「それで いいんだね じゃ 先に見させてもらうよ」

「はいっ お願いします」


あぁ すごく緊張する…、俺たちは 並んでソファーに座った、

先輩天使さんがその前に立つと、  お告げの内容を読み始める

すると その顔が 少し曇ったように感じた。


「心の準備はいいかい? よかったら 読み上げるよ」


「そんな… そんなのって…」

「何で… そんな…、イヤだ 嫌だよ そんなのって イヤだよー!」


僕はソファーから飛び降りて走り出した、とにかく あの台から離れたかったんだ、

飛び降りたときに、弥月の驚いたような 泣きだしそうな そんな声が聞こえた、

けど、俺は構うことなく 全力で走った 迷子になったっていい それだっていい、

何で…、何で…。


どれぐらい走っただろう… 走れるだけ走ったが、さすがに疲れて 立ち止まった…。

やっぱり ここは ただただ真っ白だ…何もないな、とりあえず振り返った、

でも やっぱり 何も 見えない…、匂いも 感じないし 音も聞こえない…、

どうしよう 自分でやったことだけど いまさら すごく不安になった。


「ここまで走ったら 弥月じゃ 迎えに これないよな… でも…」


選択肢を 聞いた時… 俺 どうしたらいいのか わからなくなったんだ、

俺の願いなんて 何もわかってないじゃないかって、そう思ったら 走り出してた、

迷子になったら ここでずっとひとりなんだよな… そんなこと 考えてなかった。


「ひなたく~ん どう もう 落ち着いた?」

「えっ?」


上の方から声がした…、下がりきっていた俺のしっぽが 上がって勝手に動き出す、

声は先輩天使さんだった 降りてくると 大丈夫かいって 俺の頭をなででくれた、

やっぱり やっぱり 嬉しいんだ…、ひとりじゃダメだし 仲間といるのとも違う…、

こうして やさしい手で 撫でてもらえることは 俺には 幸せなこと なんだ。


きっと 俺たち犬は 人間から離れられない、離れたくないんだ 大好きだから…。


「じゃ 落ち着いたら 帰ろう 弥月…じゃない 天空か… 心配してるよ」

「天空…は 天空は 俺のことを迎えには来てくれないの?」

「そんなことはないよ、すぐに追いかけようとしてたよ、でも 俺が止めたの?」

「どうして?」

「それはね あいつの翼だとさ… ひなたくん 結構な勢いで走ってたから、

あいつに追いかけさせると、俺がふたりとも 探すことになりそうだからね」


迎えに来ないのは あきれて俺のことを嫌いになったっだって ちょっと思ってた、

そうか天空は俺のことを心配してくれたんだ 嫌われたんじゃないんだ 良かった。


「走って帰ってもいいけど よかったら 飛んでいこうか?」

「…お願いします」

「じゃ ちょっとごめんね…」


やっぱり迷子だなぁ… ソファーに帰ろうって言われて 指された方を見たけど、

やっとわかる程度だった、焦った俺だったら きっと見つけられなかっただろう。


「…うっ はっ… 速い…」

「大丈夫 少しゆっくりにしようか?」

「だっ… 大丈夫…です…」


すごく速かった 俺が全力で走ったって こんなに速くない、だけど気づいた、

先輩天使さんは飛んでいるときも とても俺のことを気にかけてくれていることに、

抱き上げるときも 飛んでいるときも 痛くないように気遣っている、

ほらっ…ね、声をかけてた後 速さは変わらないけど 顔に当たる風がやわらぐ…、


俺が 考えているのって 天空みたいに先輩天使さんにも伝わっちゃうのかなぁ…、

先輩天使さんに抱えられていると、 なんだか パパさんに抱えられているみたい、

すごく落ち着くんだ…  もう パパさんには会うことは 出来ないんだよな…。


「はいっ 到着~、お疲れ様でした」

「いえっ 僕のせいで すみませんでした」

「ひなた~、よかった 無事でよかった…」


待っていたとばかりに 天空が駆け寄ってくる 先輩天使さんが床に俺を下ろすと、

天空はすぐにしゃがんで 床に立った俺を抱きしめた。


「心配かけて ごめんね 天空…」

「僕の方こそ ごめんね、僕 僕… ひなたの担当天使なのに ごめんね」


大丈夫だよって 天空の顔をなめてあげた、ちょっと天空が泣きそうだったからだ、

俺のことを思って泣いてくれたんだよね 迷子のことで… それとも…。


「さぁ 落ち着いたところで 仕事を進めろよ こ~はい」

「…はい 先輩」


天空は たぶん 俺が走っていた間に ちょっと注意されたんだろう、

そして あの紙も 読み直したんだろう テーブルの上に広げて おいてあった、

ソファーに座った俺たちのそばで 先輩天使さんが そのやり取りを見ていた…。


「ひなた 次にあそこに立ったら たとえ 答えが決まっていなくても、

 ここから出ることになるから 注意してね」

「あぁ わかったよ 天空」

「もう一度 お告げを読むよ…、決めるのはどれだけ時間がかかってもいいからね」


それから 天空によって読み上げられた さっきのお告げ、内容は こうだった。


1.天国にいく。

2.犬として生まれ変わり、生涯 ご主人様になる人間にかわいがられて生きる。

3.人間として生まれ変わり、生涯 幸せに暮らす。


天空たちには この選択肢は予測できる内容だったらしい、

気になっていた 天国 や 生まれ変わり “転生” って言うのか 教えてくれた、

基本的には、良い行いをしたら、痛いとか苦しいことはない 天国ってところにいく、

その逆だと、毎日がつらく苦しい、罰を受けるところに行く、その二つだけ、

後は 長い間 どちらかの状態ですごし、順番に 転生して 生まれ変われる。


「ひなたくんが 相手を苦しめることを願ったら ここではそれも可能なんだよ、

その代わりに 罰を受けるし 生まれ変わりも先になってしまう、それは辛いよ」


ここは特別なところだから 順番を待たずに 生まれ変わり そう転生出来る、

それに 神様が特別に願いにそって選択肢を用意してくださるから、

それを 自分で選ぶことも出来る、それは ここだけ、ここにきた生き物だけだ、

俺は 神様からのお告げから 選択が出来る そんな特別なところにいるんだ。


今までここにきた生き物の中には、相手を苦しめることを願ったものもいたらしい、

それで その時は満足した生き物もいるけど、ほとんどが 今 後悔しているそうだ。


「相手を 苦しむことを願ってしまうと その願いが叶うと良いことはないんだよ」

「俺 そんなに大変な選択をしそうだったんですか?」


どうやら 相手を苦しめる選択は 代償…って 自分も苦しむことになるらしい、

そのひとつに 悪い行いをしたら行くところがある、それだけそこは辛いらしい…。


「まぁ… ちょっと そうなりそうだったんだけど 君はやさしいね ひなたくん」

「えっ そうなんですか?」


俺は 大丈夫だったそうだ、それより 問題なのは この後だ、この後の内容は

珍しいらしいらしい、天空たちにも これは予想できなかったそうだ。 


「でも 何で神様は こんなことをわざわざ 付け加えたんでしょうか」

「そうだな 何でだろう 但し “元の飼い主には会えないとする” なんて…」


俺は もう戻れないってわかった、俺の体はもうないんだって、でも それでも、

俺としてじゃなくても、ご主人様たちの元に戻れればいいって そう思ったんだ、

どんな姿でも あのご主人様たちの元に戻って また一緒に居れればいいって…、

なのに…、なのに…、どんなに幸せだって あのご主人様がいないなんて…。


「どうしてもダメなの 遠くからでも 会えないの?」

「神様のお告げだから たぶんダメだよ」

「そうだね おそらくだけど ひなたくんが暮らしていた場所とか、時間とか、

まったく 会うことが出来ないところに 生まれ変わると思うよ、それに…」


せっかくここにいるからと 先輩天使さんは教えてくれた、それは記憶のことだ、 

天国に行けば記憶は残ったままでいられる 会いたい生き物が天国に来たら会える、

だけど、生まれ変わりをすると、その時に今までの記憶を消されてしまうらしい、

そして 聞いたことがある程度だけど…と話してくれた、


「ごく稀に…だけど、生まれ変わってからも 前がどんな生き物だったかってことを

覚えていることもあるらしい、だけどそれは 本当にとても稀なことんだ だから、

ご主人様に会えたとしても何も覚えていない、だから ひなたくんも何も感じないよ」

「そっ… そんな…」


もう帰れない、生まれ変わっても会えない、会えても…俺は覚えていない…なんて。


なんでだよ 神様は俺の心をわかって一番いい方に導いてくれるんじゃないの?

俺は ここに来てからずっと “ご主人様たちの元に帰りたい”って言ってたのに、

ひどいよ こんなのって 弥月は病気のせいで、俺は車にひかれて帰れなくなった、

やっぱりそれって みんなイジワルなヤツのせいじゃないか! それがなければ…。


「ダメだよ ひなたくん、その思いにとらわれてはいけないよ」

「えっ?」


驚いた…、弥月も驚いている、俺 声に出していたかなぁ、

俺たち 犬が知らないところや いや 見ているところでも、いろんなことがあった、

そのことや 帰れないことで、悪いやつらへの 怒りが また沸き上がったこと…。


「ここにきた生き物は 過去の映像をみていると そうして怒ることもあるんだ、

とても辛いことを たくさん見るせいかもね、だから 天使が付き添うんだよ」

「えっ 先輩 今 ひなたは…」

「しっかり導かないとな弥月 さっきも言ったけど 怒りに身を任せてはいけない」

「ひなた 怒ってるの…、みんなのことがキライになったの?」


弥月が心配そうに俺の顔を覗きこむ、そして抱きしめてくれた、

小さいけどあたたかい、小さな手で撫でてくれる…、どうして…どうして…、

みんなとも 弥月とも別れて もう帰れない…、もう 会えない…。


「僕が怒ったら 弥月は悲しいの?」

「悲しいよ だって ひなたと僕たちは 二度と会えなくなるかも知れないんだよ」


弥月がソファーに僕を乗せてくれた そして僕の顔を見ながら教えてくれた。

天国に行けば いつかは弥月やご主人様たちと また会えるかも知れないことを。


弥月は まだ見習い天使だから 自由に天国には 行くことはできないけど、

いっぱい仕事をして天使になれば たまにいくことができるようになるだって、

天国に行っても 転生して またこっちに来ても、いつか会えるかも知れないって。


「弥月はね それを望んだんだ みんなに会いたいって ずっと言っていたんだ」 

「そうなんですか?」

「あぁ…そうだよ、だけど 話していたように 相手に怒ってばかりだと…

ひなたくん 神様が願いを叶えてくださったら 怒りをぶつけることができるよ、

でも その代わり、けっして天国にはいけないんだ、もう みんなに会えないんだよ」

「みんなにも 弥月にも?」

「そうだよ ひなた、僕はここで ひなたに会えたことが 嬉しかったんだよ、

だから だから… また 会いたいんだ、みんなに ひなたに…また会いたいんだ、

その為なら その日の為なら 僕は どんなに 仕事が大変でも頑張れるんだ」


ちょっと悲しそうだけど 弥月は精一杯 俺に 笑って見せた。

嘘…なの? いや 嘘じゃない…、でもなんで なんで そんなに悲しそうなの?

あぁ… 俺 人間ならパパさんより年上なんだろう、なのになんで…、

なんで俺は 犬 なんだろう こんなとき 抱きしめてあげられないんだろう。


「もう大丈夫だね ひなたくん」

「えっ? あっ…はいっ」


やっぱりわかるんだな、確かに俺は もう嫌なやつに怒る気持ちは小さくなっていた、

もう やめようって もう たくさんだって思ってんだ、

ご主人様たちのような泣き顔はもう見たくない、弥月にもそんな顔をしてほしくない。


「僕…、もう 怒ってないって 言いましたっけ?」

「いや~ 俺ぐらいの天使になるとさ、ほらっ 俺 弥月の パイセンだからね~

というよりも… 君は…ねぇ わかりやすいから」

「えっ?」


先輩天使さんは 天空みたいに もちろん 頭のの中や心の中をのぞけるけど、 

怒ってるとか 嬉しいとか そのぐらいは 見るだけで簡単にわかるんだそうだ、

“オーラ”って言うのを見れば 簡単に どんな感情かぐらいは わかるらしい、

なんか 回りの色が変わる…とかなんとか、だけど 俺は…。


「そんなふうに 見なくても 君は しっぽを見るだけでわかるよ」


俺には そんなことは関係なく…、めちゃくちゃ しっぽが動いていたらしい、

その動きで 感情がバレバレたったそうだ ちょっと恥ずかしい…。

でも またあの引いちゃう口調に戻ってって…、弥月は また黙ってる…。


「本当に… ひなたくん 君が やさしい犬でよかったよ、弥月のときは…」

「弥月のときは?」

「あぁ こいつさぁ 感情を表に出すのが苦手っていうか…、ずっと、帰りたいよ…、 

帰してよ…、パパ ママ 奏星~ 明日花~ ひなた~って そればっかで…」

「…先輩!」

「もう 泣いて泣いて ひなたとの約束が…ってさ!」


泣きそうだった弥月は また 先輩天使のペースに巻き込まれて 笑ってる、

俺は笑顔に出来なかったのに 先輩天使さんが話し出したら 弥月はこんなに…、


ボーッと見ていて思った たぶん この先輩天使さんは わざとやってるんだと、

弥月が悲しそうだと そばに来て わざとふざけたりして助けてくれているんだと、

それに さっきのご主人様たちも 確かにちょっと心配だけど笑顔がもどっていた。


俺は戻れない もう戻れない…、いや もう… もう 戻らなくていいんだ。


ご主人様たちも 弥月も 俺がいなくても もう誰かがそばにいて 平気なんだ。

弥月は俺との約束があったから だから ここにいるだけだ、だから 俺はもう…。


「もうっ 僕 そんなにふうに泣いてないですよ ひなたの前で いい加減な…」

「え~っ そうだっけ? 最近も泣いてたし それに ひなたに会えるって…」

「えっ 会えるって」

「そうだよ こいつ ひなたが来ちゃったって 思いっきり泣いてたと思ったら、

担当に決まったことを知って やっと会えるって ワケわかんないぐらい興奮して」

「先輩 なんでそれを ひなたに言っちゃうんですか!」

「家族もだけど こっちにきてから ずっと ひなたと遊びたいって言ってたんだ」

「弥月…」


弥月の顔が赤くなってる 恥ずかしいってことか なんで? 


「遊びたいって こいつは いつまでたっても子供ってことさ、でもね ひなたくん」

「はいっ」

「こいつ仕事を簡単そうに言ってるけど、それだけひなたくんに会いたかったんだよ」

「えっ?」

「それこそ 見習いは何百年も続くってこともあるんだ、それに担当できないと

会えないかも知れない そう言われても それでも 見習いの仕事を選んだんだよ」


そんなに? そんな思いをして 僕たちに会うことを弥月は願ったの…?

犬の知識のままならわからなかったけど 今はわかる どれだけ大変かってことが、

待っててって 俺とした約束なんて 忘れてるって思ってたのに そんなに弥月は。


「ひなたくんも大丈夫そうだし、たくさんモフッ…、あぁ… 俺 もう戻るわ」

「えっ 先輩 もう戻っちゃうんですか?」

「ほら 俺ぐらいの パイセンだと 仕事から抜けるとさ みんな大変なんだよ…」

「へ~っ、そうなんですか~」

「…ノリが悪いな みづ…、いや 天空だよな 最後まで しっかり仕事しろよ」


先輩天使さんが 空色の台のところに向かって歩き出した、天空があとを追いかける、

俺は あの空色の台に あまり近づきたくなかったから そのまま少し離れていた。


「もう少し ここにいても 大丈夫なんじゃないですか 先輩」

「なにっ~、もしかして 俺がいないと 最後まで仕事ができないとか~?」

「いえっ そんなことはないですよ 出来ますよ」


また先輩天使さんは ふざけているような口調で 弥月に話しかけている、

弥月もその言葉に 怒ったような顔を見せるけど すぐに 笑っている、

なんだかんだいって ふたりとも楽しそうだ、なんだか パパさんと弥月みたいだ。


「まぁ それに…」

「…それに 何ですか?」

「二人の時間を邪魔するほど 俺は無粋じゃないさ、二人とも後悔のないようにな」

「はい…先輩」


先輩天使さんは そう言うと 空色の台の上に乗った、そして…。


「それからさ~ 弥月~」

「はいっ 先輩」

「仕事が終わって 泣きそうだったら 俺のところにこい、からかってやる」

「なっ!」

「ははっ 冗談だよ、でも 寂しかったら マジでこいよ、…いつでもいいからな」

「…はいっ」


さっきの俺みたいに先輩天使さんが光に包まれていく、

あんなふうにつれていかれるのか、光に包まれながら話していた先輩天使さんは 

一度も こちらに振り返らなかった、あれって 弥月や俺に手を振っているんだな、

ただ振り返らず 顔のところの高さぐらいまで右手あげて、手を左右に振っていた。

そのまま… そのまま 先輩天使さんは 光の中に消えていった。


振り返った天空は ちょっと残念そうだったけど、もう悲しそうな顔ではなかった、

俺たちと離れて たくさん仕事をして、あの先輩と一緒に頑張ったんだね 弥月、

あの先輩や 他にいる天使さんたちは もう 弥月の 新しい家族 なんだね。


…さみしい…な 僕はもう 弥月を笑顔にできないんだ…、もう…僕は 要らないんだ。


「ソファーに戻ろうか ひなた」


天空のその言葉に 俺はうなずくと 天空の後を追うようについていった。

ソファーに座った俺たちは…、ただ何をするでもなく 前を向いて座った。

静かだ とても静かだ… にぎやかだったのは 先輩天使さんのお陰だったんだな。

あの空色の台が 嫌でも 目についてしまう…、もう 選択なんて どうでもいいや。


「俺…、もう あの台に乗ろう…かな…」

「えっ もう どれにするか 決めたの?」

「決めてないよ… でも あそこに立てば 神様が勝手に決めるんだろ」

「ひなた…」


まただ また天空は悲しそうな顔をする 俺がそばにいると こうなるんだ、

俺は もう 弥月を笑顔にできない 弥月を困らせることしかできないんだ…。


「ひなた 先輩も言ってたけど 僕も ひなたに後悔してほしくないんだよ」

「弥月に会えたのは嬉しいけど、急に ここに来たこと それは後悔だと思うよ…」

「…ひなた、やっぱり 家に帰りたいの? おじいさんのことは 許せない?」

「でも もう帰れないんでしょ、弥月は…」


言葉につまった もちろん 弥月の顔が悲しそうだったのもあるけど…、

ふと 頭の中に浮かんだんだ、なんで 弥月はここにいるんだ?って、

そういえば 先輩天使さんが、弥月がみんなに会いたがってたとか…、

仕事は長くても…とか、そんなこと言ってたな、

弥月も あの先輩天使さんと ここで過去を見て 同じように選択したんだよな、

なら 弥月のときの選択肢は どうだったんだろう。


「なぁ 天空 聞いていいか」

「えっ どうしたの ひなた 何か わからなかった?」

「あの…さ 弥月、弥月の選択肢には天使の仕事があったのか? だからここに?」

「…それは、僕の選択は ちょっと特別だったんだ…」


そう言うと 天空は立ちがって あの先輩天使さんがいなくなった台に向かった、

手を広げて 何かを確認しているようだ…、しばらくして 戻ってきた。


「僕は ちょっと 特別な選択をしたから 話していいか聞いてきたよ」

「やっぱり 話せないのか?」

「ううん 話していいって、それでね…、そう… 僕は “第4の選択”をしたんだ」

「えっ 第4の選択?」


天空はソファーに座って 少し俺の方に体を向けると 俺の頭の撫でて話はじめた、

弥月がここに来たときのこと、パパたちに会いたくて ちょっと泣いてたこと、

先輩天使さんが そんなに弥月に寄り添って たくさん助けてくれたこと、そして…、


「僕が神様から 頂いた選択肢はね たぶん すごくいいものだったと思うんだ」

「えっ どんな選択肢なんだ」


聞いてみた その選択肢は…。


1.天国に行く。

2.アイドルになり たくさん 人を幸せにして たくさんの人に愛される。

3.スーパードクターになり たくさん 人の命を救い、たくさんの人に感謝される。


愛されるとか 救うとか 確かにいいもの…なんだろうな… と思うけど

俺は 犬 だから その仕事? のスゴさが理解できない… それがわかったのか、

アイドル や スーパードクター のことについて、天空は説明してくれた、

そうか そんな特別な仕事で なることが大変なんだ スゴいな。


「それにね 男性 女性 どちらでも選べるし、特に大きな苦労もしないって、

自分が悪いことをしなければ 生涯 苦労なく幸せに暮らすことができるんだって」

「ずっと 何もなく 幸せにか… 確かに それはいいな」


さらに付け加えられた内容に、本当に 良い選択肢ばかりだなって思った、

選択肢が良くなった理由は どうやら あの おじいさんが係わっているらしい、

本当は弥月も もっと後にこちらに来るはずだった、でも それが変わってしまった、

だから 早く生まれ変われるようにしてくれたらしい、 それに…。


「確かに 僕としては戻れないけど、パパたちに会えるかも知れないって言われた」

「…なんで? なんで 弥月は会えるかも知れなくて 僕は会えないんだよ」


そんなことを天空に言ったって もちろんその理由が わかる訳はなかった。

過去のこと、過去を見ていた俺たちの行動 それを見て 神様が決める、

なんだか そんなこと言ってたよな、やっぱりそのことしかわからなかった。

きっと 俺が 悪いことをしたんだ、人間のことをキライって思ってしまったから、

だから ご主人様たちに まったく会うことができないんだ きっと…俺への罰だ。


「選択肢は3つだよね 弥月は なんで第4の選択? 見習い天使になってるの?」

「そうだね」

「なんで? 選択は お告げの選択肢から選ばないといけないんじゃないの?」

「それが… それは 僕にも よくわからないんだ」


天空は そのあとのことを説明してくれた、神様に選択の答えを言いにいって、

そこで 神様から 直接 天使として働くか? という 質問をされたことを。


「追加した選択肢は その代償として すぐに生まれ変われないって言われたんだ」

「すぐに生まれ変われない? 弥月は それでよかったの」

「う~ん そこに立つのは お告げを聞くときと答えを言うときの2回だけでしょ、

追加を聞いたのは 2回目だったから、ゆっくり考えることは出来なかったんだよ、

そう 選ぶというより、神様が 僕の願いを読み取って決めてくださった って感じ」

「弥月の願い?」


僕が神様に答えを言いに行ったのに なぜか戻ってきたから、

先輩 すごくあわてて驚いていたんだよって 弥月はちょっと楽しそうに言った、

そして、そう 第4の選択をした弥月に 先輩天使さんが説明してくれたそうだ、

見習い天使の仕事 その後は天使になり仕事をする、それはとても長く続くってこと、

でも ここで 仕事をしていれば 会いたい人に会えるかも知れないってことを。

 

「だから こうして ひなたに会えたんだ、ちょっと早かったけど 僕は嬉しいよ」

「弥月…」


弥月が笑ってくれた 僕に笑ってくれた その笑顔は 俺の記憶にある…そう、

ご主人様たち あの先輩天使さんといたときの どの笑顔よりも嬉しそうに見えた。


あぁ…、ここに来て良かった 担当が 弥月でよかった、

犬の俺でも 役に立てた あんなに嬉しそうな 弥月の笑顔 を見れたんだから。


「ひなた どうしたの すごく嬉しそう」

「そっ そんなことはないよ、なぁ 天空… 天空は まだ 仕事中なんだろ」


そうだよ…? と不思議そうな顔をする天空に俺は言ったんだ。


「じゃあ 一緒に遊ぼう、俺の願いならいいんだろ?」


……それから、その言葉をきっかけにするように、俺たちは たくさん遊んだ。

さっき遊んでいた 犬用のおもちゃ それに さらに追加して たくさん遊んだ、

遊び疲れたら 一緒にゴロゴロしたり、美味しいものを食べたり、そしてまた遊ぶ、

空も飛んだし たくさん話したし、ここに来なければ出来ないことを たくさんした。


たくさん遊んで たくさん話して たくさん撫でてもらって…、

今までの…、そう ずっと待っていた 今までの ふたりの時間を 埋めていった…。



「本当に もういいの ひなた」

「あぁ だって ずっと ここにはいられないんだろ そう言ったのは 天空だぞ」


俺たちは休むためにソファーに座っていた、そこで俺は これからのことを話始めた。


「ねぇ 弥月、台に乗る前に 聞いてもいい?」

「何かわからないこと?」

「これからのことは もうよくわかったよ、それとは別に 気になってたんだ」


俺は弥月に聞いた 弥月は 第4の選択で見習い天使になった って言ってたけど、

神様に選択を伝えに言ったとき そう あの場所に立ったときに、 

弥月は 自分がどうしたいのかを 選択肢から答えを決めていたのかってことを。


「僕は…、僕はあの時ね どれにするかは 決めていなかったんだ」

「じゃ 神様に 選択をお願いするつもりで あの場所に行ったの」

「ん~、お願いというか… 僕はどうしたいか ずっとそれだけを思って立ったんだ」


なんだか 歯切れが悪いって言うんだよな 話しづらそうだ、でも 教えてくれた。


「僕は…ね、答えじゃなくて ただ…この事だけを ずっと思って いや願ってた、

みんなに会いたい、ひなたに会いたい、ひなたとの約束を果たしたいって…」


俺との約束を守ろうとしてくれていたのか…、話す弥月はなんか照れくさそうだった。


「弥月は 天使の仕事はつらいって あとで知ったんでしょ」

「そうだよ 後から仕事の説明をされて それには ちょっと驚いたんだ」

「後から説明されたんだから、もう一度 考え直させてほしい…とか思わなかったの」

「言われてみれば そうかも 知れないね でも…」


大変だって話を聞いても やり直そうって思わなかった…、弥月はそう言った、

弥月…、言葉もよくわかってないような、そんな 犬の俺との約束だったのに、

長く仕事をずっと続けるのに、すぐに生まれ変われないのに、そのことを知っても、

考えを変えることなく 俺との約束を守ることを 選んでくれたんだね…。


「ねぇ 弥月 後悔はないの? 神様が決めてくれて よかったって思える?」


…弥月は すごく嬉しそうに 頭をたてに振った。



「ひなた どれを選択するか決めたの?」

「決まってないよ」

「じゃ 神様にお任せするの? それで 後悔しない?」

「後悔はしないよ だって俺の答えは 決まってないけど 決まってるから」


俺たちはソファーから立ち上がって、ゆっくり なるべくゆっくり歩いていた、

どちらからでもないけど ゆっくりと、そう 別れを惜しむかのように…。


「ひなた それって どういうこと?」

「どういうこともなにも、俺は ここに来たときから ずっと言ってるじゃないか」


そう ここに来て俺はずっと言っている 俺の… 俺の答えはこれしかないんだ。

やっぱり俺は、ご主人様たちが 弥月が…、そう みんなが大好きなんだ。


「弥月… 行ってくるね 最後に 撫でてくれないか…」


この 小さくてあたたかい やさしい手とは これでお別れなのかもな…、

さびしい…な あぁ… それに 緊張してきた…、また しっぽが下がってる。


「ひなた 本当にもういいの? もう一度 しっかり考えても…」

「あぁ いいんだよ 天空、行ってくる」

「ひなた…」


俺は ゆっくり歩き出した さっきの先輩天使さんのように 振り返らずに。

手前で一旦止まって 空色の台に飛び乗り 真ん中辺りを目指して歩き出す、

ついたところで立ち止まった あぁ… しっぽ もう お腹に付きそうだ、

…カッコ悪いな 俺、それでも 俺は 精一杯 強がって 弥月の方に振り返った。


「…泣かないでよ 弥月、 俺たち 犬は 人間に いつも笑って欲しいんだよ、

俺は 弥月に笑っていて欲しいんだ そう 弥月兄ちゃんに!」


俺の回りが光だした、だんだん光が明るくなってきて 弥月の姿が見えずらくなる、


「えっ ひなた、僕は ひなたの弟でしょ」

「違うよ、弥月は 僕の兄ちゃんだよ、だから…兄ちゃんは強いんだから 笑ってよ」

「…なら 泣いちゃいけないなら 僕は ひなたのお兄ちゃんじゃなくていいよ…」


なんだか 強く引っばられていく感じがしてきた 俺はどうなるんだろうか、

いろいろあったけど 選択肢も聞いたけど、俺の願いは 最初から変わらない。

会ったことはないけど 俺はあなたに選択を任せるよ、神様…俺はあなたを信じる、

また 弥月に会わせてくれた 弥月を笑顔に戻してくれた あなたを信じるよ。


「弥月は 俺たちの兄ちゃんだよ、だってさ 最初から注射を怖がらなかったのは、

弥月だけだろ」


飼われていたときも ここでも 人間のひどいところを たくさん見た、

それでも…、どんなに人間にひどいことをされて 怖い思いをしても、

人間に そう ご主人様たちに かまってもらえなくなって寂しくても、

やさしい人間がそばにいてくれたら ご主人様たちが また笑いかけてくれたら、 

また 人間を好きになってしまう、それは きっと 俺だけじゃないはずだ。

 

俺たち犬は 人間が笑ってくれると嬉しいんだ、人間が ご主人様が大好きなんだ。


「弥月兄ちゃん 俺との約束を守ってくれてありがとう」

「ひなたー! 待って 待ってよ…」 


俺は 犬、 ご主人様に名前をつけてもらった 犬の ひなた、

とてもやさしいご主人様に可愛がってもらった 犬のひなた だ。

いろいろあったけど 俺 ご主人様に飼われてよかった、弥月にまた会えてよかった。


俺は いつまでも あのご主人様たちのそばに…。

ご主人様たちのことを考えるだけで 下がっていたしっぽが大きく動きだした、


俺のことを呼んでいる声が…、弥月が走ってきて 俺に手を伸ばしてるのが見えた。

けど、どんどん光が眩しくなって 俺からは弥月の顔がみえなくなってしまった。


弥月の目には涙が見えたけど でも 最後には笑ってくれたから いいよな、

あぁ 弥月には俺が見えているかなぁ まだ 俺の声は届くかなぁ…。


「ありがとう 弥月兄ちゃん! 大好きだよ!!」


今まで読んでくださった方々(いるのかなぁ…)読んで頂きありがとうございました。

みなさんは 3つの選択肢 なんとなく予想がついていたのでしょうか?

そして 作者が犬を飼わない理由は伝わったでしょうか?

飼わない理由 それはもちろん、

「最後まで責任が取れないなら命を預かってはいけない」です。

作者 しっかり飼える自信も 別れに耐える自信も全くありません、 

犬にかわいそうな思いをさせるぐらいなら 好きでも踏み行ってはいけないと。

“犬好きっていうな!”って言われそうですが…、やはり犬は好きなんですよね…。

作品の中で ひなたにはあえて “生死” について知らない(理解していない)

ように書きました、そんなひなたが そのことを知り 人間が犬にしたことを知り、

それでも “犬は人間が好き”って思ってくれると…、でも実際の犬はどうなんでしょうか?

きっと 犬はご主人である飼い主さんが大好きでしょう、でも一部の飼い主さんは…。

この作品が、安易に 犬、いや生き物を飼ってその生き物に悲しい思いをさせない、

そんなことにつながればと思っております(それには 全く 力不足ですね)

犬を飼っていない作者が いろいろ調べて想像や書いたので、

飼うにあたって それは 犬には負担がかかるとか、そんなことを犬はしないとか、

いろいろツッコミどころがあると思いますが、(病院やテレビの方々にも)

どうぞ 修行が足りない作者 ご容赦下さい。

次はどんなことを書いてみようかなぁ…、ひまつぶしにはいいかも程度なので、

もっと勉強が必要かな…(笑)

では 改めてもう一度、最後まで読んでくださり ありがとうございました。




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