ー 俺たちの出会い ー
ー 俺たちの出会い ー
「誰だ? 誰かいるのか? どこにいるんだ?」
初めて音が聞こえた その音は 人間の声のように聞こえた。
長く人間と一緒だから なんとなくだけど 言葉もおぼえた…ん…だけど、
たぶん… 俺に話しかけた…ぐらいはわかった、けど 姿がどこにも見えない。
俺は走るのを止めて 辺りを見回した でも 何もないし 誰もいない、
だけど、声に動きを止めて 落ち着いてみたら 気がついた、
自分でも さっきのソファーでもない 匂いがしてることに、
でも この匂い… いったいどこからするんだ? 匂いをたどってみた、
この匂い…どこから…、んっ? どこかで…嗅いだような…。
「えっ、上?」
「ねぇ そんなに走ってどこにいくの? 離れると戻るのが大変だよ」
何もないのに なぜか匂いは俺の頭より少し上からするように思えた、
俺が匂いの方に顔を向けてみると、そこには、人間のような… 鳥のような…
なんだかわからない変なヤツが飛んでいた、バサバサと音まで立ててる、
ホンと 俺 回りが見えてなかったんだな、あの頃の夢のせいか? まったく、
俺 あの変な夢のせいでイライラしてた、あの頃ちょっとイヤなこともあったし、
こんな 大きな音 や 匂い がしてたら気がつきそうなのに、ダメだなぁ…俺。
その 人間? 鳥? みたいなヤツは俺の前に降りてきた。
「あんまり遠くまで走ったら 元の場所がわからなくなって戻れなくなるかもよ」
「戻る? 戻らなくたっていいよ、俺は帰るんだ」
「帰る? 帰るねぇ…、とりあえず戻ろうよ ここよりははいいと思うよ」
何なんだコイツは、さっきのは人間の言葉のように思ったんだけどな、
鳥なのか? 俺の言葉がわかっているようだから きっと鳥なんだろう、
人間と話は出来ないが 鳥のには ちょっと言ってることが伝わってたから。
言われてみれば 本当にそうだな…。
あれが さっきのソファーかな…ってぐらいに ソファーが小さく見えた、
それだけ走ったんだな あらためて また辺りを見回してみた、
でも、やっぱり側の 鳥みたいなヤツと 遠くのソファーしかなかった。
「確かに、あれがわからなくなったら探すのが面倒そうだ、戻ってやるよ」
「何? ちょっと偉そうだなぁ」
そう言うと 鳥みたいなヤツが笑った、体は人間っぽいのになぁ、
大きさは… 俺の弟ぐらいかな? そう俺の弟 人間の弟ぐらいだ、
とにかく 俺たちはソファーの方に向かって歩き出した。
「ねぇ あんなに走って どこに行こうとしてたの?」
「出口だよ 出られるとこを探してたんだ、ドアとか マドとかさ」
「ここには ドアとかマドはないよ」
「ドアがない? ソファーがあったのに? じゃ ここは 外 なのか?」
「外じゃないよ、んっ~ 普通の部屋とも… 違うかなぁ…」
「なんか知ってるのか え~っと 鳥…くん」
鳥みたいなのは やっぱ言葉が通じるようだ、しかも 何かを知ってるらしい、
なら 帰る方法を教えてもらわないと まずはここから出るんだ。
…でも 歩いてもなかなか ソファーにすら戻れない、本当に何なんだよここは。
「ソファーに戻れないなら 出口でもいいです、近い方で」
「あれっ、さっきは偉そうだったのにどうしたの?」
「どうって そんなことはないですよ、いつも通りです」
「…とりあえず ここから出る方法は一つだけだよ ソファーの近くにあるんだ」
「何だよ それを早く言えよ、そうだ お前 飛べたよな」
「お前って… 飛べるけど 何で?」
「お前なら俺を持てるだろ 飛んで連れていってくれよ、その方が早そうだ」
「えっ~ 自分でここまで走ったのに、やっぱり偉そうだなぁ…」
でもさぁ イヤイヤだよな、お前って呼んだり 面倒なことを頼んでいるのに
それなのに、なんだかその鳥みたいなのは ちょっと嬉しそうに俺を持ち上げた、
思った通りだ 俺の弟ぐらいだから 俺を持ち上げることが出来る、
俺を持ってるせいか 俺が走るのより遅いけど それでも歩くよりは早いだろう。
鳥ってこんな感じなんだなぁ…、いつも飛んでるのを見上げてるけど
今はどのくらい床から離れているんだろう、ここでは よくわからなかった、
本当に 何も… 何もないんだな…、ソファーがだんだん近くなってくる、
飛ぶのはもう終わりか、意外と気持ち良いもんだ ちょっと楽しかったのにな、
まぁ それもだけど、コイツ… 意外といいヤツかも…、
落とさないようにしてるのか ちょっとぎこちないけど なんか…優しい手だ。
「ふぅー、やっと着いた… はいっ 到着」
「ありがとな、それで それでさぁ どこから出られるんだ?」
「頑張ったんだから ちょっと休ませてよ、僕 たくさん飛べないんだ」
「出口を教えるだけでいい、そのあと ゆっくり休んでくれ」
「そこだよ、そこだけど すぐには出られないよ」
俺を降ろして すぐに手足を広げて寝転んだ鳥みたいなのは、
寝転んだまま そこだと ソファーの前の方を指さした、
でも、そこだって 指さした先には …何もなかった。
「そこって 何もないじゃないか、なぁ どこなんだよ」
俺は 鳥みたいなの の着てるものを咥えて引っ張った、
コイツには鳥の羽根はほとんどなくて なぜか人間たちのような服を着ていた、
引っ張りやすいヒモはないけど靴も履いている、やっぱり人間みたいなんだけど。
「もう そんなに引っ張らないでよ、ちゃんとお話 するから」
「話なんていらないから ここから出る方法を教えてくれ、早く帰りたいんだ」
起き上がった鳥みたいなのは 立ち上がると、
さっきまで俺が寝ていたソファーまで歩いて行って 近くの床に座った。
「まあまあ 君も走って疲れたでしょ、とりあえずここに 座りなよ」
「ん~…、そこに…か」
鳥みたいなのが ふっかふかのソファーの座るところを手で軽く叩いている、
自分はソファーに乗らず 寄りかかるようにして手だけを使って合図するなんて、
さっきまで変な夢を見みていたところ、小さい頃の夢をみてたいところだ、
いいこともあるけど もう…夢はいいよ イヤなことも思い出すんだ。
コイツ… まさか俺がイヤがってるって知ってて わざとやってるのか?
自分は乗らずに手招きをするなんて やっぱり…怪しい …怪しすぎる、
きっと さっきのは勘違いだったんだろう、“いいヤツ” は取り消しだ。
「そんなに警戒しないでよ… 大丈夫 痛いことはないよ 話をしようよ」
「…わかったよ」
ニコっと笑いながらソファーを叩く鳥みたいなのには、イジワルを感じなかった。
とにかく早く帰りたいからな、とりあえず言われた通りソファーに乗って
鳥みたいなのが見える方を向いて座った。
「ねぇ、触ってもいい?」
「…ちょとだけだからな、さわったら 帰り方を教えろよ」
「うん、ありがとう」
なんだろう、なんとなくコイツに なでさせてもていいかなぁ…って思った、
なでて欲しい…とか? いや うんっ そうだ そうだよな きっとそれだ、
コイツの言うことを聞いておけば早く帰れる それが理由だ、きっとそうだ。
ゆっくりと 鳥みたいなの の手が頭にふれる… 頭をなでる、
上手くなでてるっては言えないけど、やっぱり この手は あたたかい…。
もうあの人間は戻ってこないんだよね、狭いところにに戻らなくていいんだよね、
そうだよね、人間たちがたくさん遊んでくれる、楽しい、スゴく楽しいよ、
それから この優しい手の人間たちといっぱい遊んだ、
ものすごく いっぱい遊んだ、こんなに楽しいのは久しぶりだ。
なんだか喉がかわいてきちゃったな…、あっ そうだ お水…って、
そうかここには…、前にいた狭いところのように すぐ飲めるところはないよな、
それに どこにあるのかもわからないし、どうしよう、
話しても 人間には僕の言葉は伝わらない…よな。
「あっ それって お水?」
人間は 僕がごはんを食べるときに使うような入れものに お水を入れたようだ、
そうだよね 人間だって喉がかわくよね、いいなぁ… 僕も飲みたいなぁ…、
ここは来たことないところだから 探さないと…。
「えっ、これ 飲んでいいの?」
人間たちはその水を飲まず、入れものを僕の方に近づけた。
これ 僕が飲んでいいのかなぁ…、でも 人間のために入れたんじゃないの…、
どうしたらいいのかわからなかった、人間たちだって喉がかわいてるはずだ、
でも僕だけ飲んだら… どうしよう…、そうだ先に飲みなよ、一緒に飲もう。
人間たちは じっと僕を見ていた、なかなか水を飲まない僕を見ていた、
そして人間は 自分の手に水を付けて僕の口のところに差し出した、
大丈夫だよ 飲んでいいんだよ、まるでそう伝えているように 僕には思えた。
「そうか これは僕のなんだね、ありがとう」
思った通りお水だ ただのお水なんだけど なんだろう スゴくおいしい!
ずっと狭いところにいたし、いっぱい遊んだし スゴく喉がかわいていたんだ、
ねぇ なにかあったの? 人間たちがずっと見てる、そして また笑ってる…。
「お水ももらったし、ねぇ 今度は何をして遊ぶ? えっ …どこに行くの?」
お水を飲み終わった僕を 大きな手の人間は抱き抱えて ゆっくりと歩き出した、
どこに行くのかなぁ、たくさん走れるところとかがいいなぁ?
「今度はここで遊ぶの? えっ ねぇ どこに行くの 待って」
立ち止まった大きな手の人間は 僕を床に降ろした、
そこには母さんと過ごしていた時のような もふもふ とかがあった、
そして僕の頭を優しくなでると 人間はゆっくりと離れだした、…この感じって。
「待って、ねぇ 待っててば、遊ぼう 遊ぼうよ、ねぇ 置いていかないで」
いっぱい呼んだ、いっぱい呼んだのに 人間はこっちに戻ってきてくれない、
追いかけようとしたけど 何かにぶつかって追いかけられない、
頑張ってぶつからないところを探したけど ぜんぜん見つからない、
これって…、あの狭いところと同じ… 待って 置いていかないで、捨てないで、
いっぱい呼んだ 叫んだ けど 人間は振り返ってくれない、
そして 姿が見えなくなった…。
「やっと会えたのに…、きっと人間が僕を捨てる前に 喜ばせただけだったんだ、
ヒドイよ、僕、やっぱり要らなかったんだ、人間たちに ここに捨てられたんだ」
もうここから出られないんだ 僕は捨てられたから、人間にも母さんにも…、
アイツが言ってた ひどいところって…、ホントだ、ホントのことだったんだ、
ひどい ひどいよ、こんなに嬉しくさせておいてから、がっかりさせるなんて、
こんなに悲しいことはない、こんなにして捨てなくたって…、……いっぱい泣いた。
「……あれっ? この匂い… ごはん~!」
いっぱい泣いたからかな、疲れちゃって ちょっと うとうとしちゃった…、
でも…、なんだかスゴくいい匂い…、お腹がすいていたんだな 僕、
いいなぁ、誰のごはんだろう…、僕は捨てられたから もう…。
「えっ 食べていいの? そのごはんは 僕のなの?」
美味しそうな匂いに なんとなくそっちを見たら、あの人間たちがいた。
美味しそうな匂いのするごはんを 僕のいる狭いところに入れてくれた、
あぁ 上は開いていたんだ まぁ 届かないけどね、でも あそことは違うな、
さっきのお水と同じだ、僕が食べていいかわからなくて うろうろしていたら、
人間は近寄って来て さっきのお水のように ごはんを少し手に取った、
そして僕の前に差し出してくれた。
「おいしい、おいしいよ、スゴくおいしい、お腹すいていたんだ ありがとう」
さっきみたいに 思った通りの…じゃない、いつもよりも おいしいごはんだ、
そのごはんは狭いところでもらっていたのより スゴくおいしいごはんだった、
たぶん両方だ ごはんがおいしいだけじゃない きっとこの人間がくれたからだ。
あれっ? もしかしてこれって、おじさんが言ってた “かわれる” ってこと…?
まだ食べてる途中だったけど 急に あのおじさんが言ってたことを思い出した、
アイツが言ってたこと、あのおじさんが言ってたこと、つい気になって、
食べるのを止めて 思わず顔を上げて考えてしまった。
あっ 人間たちがのぞいてる、僕を見てる 顔を上げたら人間の顔が見えた、
けど…、 さっきみたいに笑ってないな、人間たち…。
人間を見ながら ふと アイツや おじさんが言っていたことを思い出した。
〝早くここから出ないと ごはんがもらえなくなる〟
〝出るのはスゲー大変なんだぞ お前さ 痛いの嫌いだろ〟
〝ここから連れ出した人間が 君にごはんをくれる “かいぬし” になる…〟
たしか そんなことを言って…、そういえば 何か変な人間に痛いことされた…。
大きな手の人間が また僕を持ち上げた、小さい手の人間が僕の頭をなでる…、
なんだか元気がない感じ 大丈夫? あっ これって…この間の僕のようだ…。
「大丈夫だよ、僕がいるよ、僕がずっとそばにいるから、いや いさせて…」
僕の手は小さいから 人間のように包んであげれない…、言葉も伝わらない…、
どうしたらさっきみたいに笑ってくれるの? ねぇ 僕は 何をしたらいい?
母さんは僕が泣いていると 僕の顔を優しく舐めてくれた…、じゃあ 僕も…。
人間の顔にはぜんぜん届かないけど、なでてくれる手を舐めてあげた。
よかった 笑ってる…。
よかった 人間たちがまた笑ってくれた、少し元気になってくれたんだ、
これって…。
そうか 人間たちと仲良く暮らす これが “かわれる” なんだね おじさん。
ここが僕の新しい住みかで あの手の人間たちは 僕の新しい家族。
そう 期待してもいいんだよ…ね そうだよね おじさん。
「うっ う~ん… あっ お前、何してる いや 何をした!」
俺は また ふっかふかのソファーの上で目が覚めて、すぐに飛び降りた、
目が覚めたのに また同じだった、それだけじゃない、
さらに驚いたのは、あの鳥みたいなのが 自分の頬を俺の体に当てていたからだ。
「えっ 何って…、触っていいって言われたから 触ってただけだよ」
「さってただけだ…って お前、なんかしたろ! 何かをしたから…」
「何もしてないよ~、撫でてたら君が寝てしまっただけだよ」
「…ホントになでてただけか? 変なことをしてないか?」
「うん 撫でてただけだよ、ずっと触りたかったんだ」
「……。俺がいいって言うまでさわるの禁止、あと 顔スリスリも禁止」
「えっ~、もっと もふもふ したかったのに~」
「ダメったら ダメだ」
ちょっと八つ当たり気味だが 仕方がないだろう、なんか恥ずかしかったんだ、
目を開けたら アイツが俺の体に 体に顔をスリスリしてたのに気づいたとき、
なんかちょっと、小さい頃の自分を見られた気がしたんだ、
あっ~ もうっ! きっとあの変な夢のせいだ。
たしかに鳥みたいなのになでられて 眠ってしまった俺も悪いけど、
でも、いつもならあそこまではさわらせない、せいぜい手でなでる程度なのに。
「なぁ 約束、さっき約束したろ」
「約束? そんなのしたっけ…」
「さっきしただろ、さわらせたら出る方法を教えるって」
「あぁ…それのことか、あれって約束だったんだ」
「教えないとは言わせないぞ、それで、それで どうやったら出られるんだ」
「やれやれ せっかちだなぁ、それはね…」
鳥みたいなのは そう言って 立ち上がると歩き出した、そして…。
「ここだよ、ここに立って 神様に祈るんだ そうしたら出られるよ」
どうだ! って言うぐらい 鳥みたいなのが手を広げている、
なんとなくだけど その辺りが明るくなった ようにも見えたんだが…、
「神様? 祈る? それってなんなんだ、どうすればいいんだ?」
「んー あのね…、ここから出るには やらないといけないことがあるんだ」
「やらないといけないって 何を?」
↓
↓ …… 説明中。
↓
「じぁ…、俺が その ふっかふかのソファーで寝ればいいんだな」
「えっ~ どうして そうなるの」
「んじゃ 寝る、邪魔するなよ」
「ちょっと待って…」
アイツ… 禁止って言ったのに…、目を閉じた俺の頭をなでている…、
あぁ… でも なんでだろう… なんか 落ち着く…な。
「ホンとに… 君は ワガママなんだから…」
また狭いところとに入れられて 捨てられたと思って いっぱい泣いて…。
だけど 新しく入れられた狭いところとには 遊ぶものも もふもふもあって、
きっと人間たちが僕にくれたんだよな、でも… ここからは出られない。
確かに、人間たちと遊んでるときは狭いところから出られるけど…また戻される。
人間にかわれるって、こういうことだったんだな…、
アイツが言っていたように この人間は仲間のいた狭いところから出してくれた、
おじさんが言ってたように、人間はごはんもお水もくれるし 遊んでくれる。
捨てられてないってわかって、でも 人間たちがいなくなって寂しくなって、
人間たちを呼んだんだ、たくさん呼んだんだ、けど…戻って来てくれない。
人間たちはいつもどこかに行ってしまう、たまに戻ってくるけど…さ、
なんか…、これで他の人間が来たら、仲間といたあの狭いところと 同じみたい…。
あの人間たちは大好きだけど これじゃ… あまり変わらない…な。
〝お話してね…〟って なんだか母さんの言ったことを思い出した、
見たかったな…、 “大きな水溜まり“ や ”いい匂いの床”
きっと僕は ここから出られないんだろう…、みんなはどうなんだろう…。
また遊びにきてくれたの? なんだか辺りが明るくなった。
人間たちがやってくるときはいつも明るくなる また狭いところから出れる、
今度は何して遊ぶ? それともごはん? お水はまだあったよ、いつもと同じ。
なんだかいっぱいなでてくれるなぁ…、 えっ もう行っちゃうの?
いっぱいなでてくれるんだなぁ…って思ってたら すぐに戻された、
いろいろと遊びたかったし、探検もしたかったのに…、
この間 探検していたとき、イタズラしたからかなぁ…、それともおしっことか…、
僕がイタズラしたりしたあと 人間がスゴい大きな声を出すことがある、
たぶん 怒れたんだ 僕、だんだんわかってきたよ、
怒る時 人間は “ダメ!” って言うんだ、やっと言葉を聞き取れたよ。
それに “ひなた” も おぼえたんだよ、でも なんのことかわからないんだ、
いっぱいおぼえたし、いい子にもするよ、ねぇ… だから もっと遊ぼうよ…
いっぱい止めたけど 僕の言葉は伝わらない、人間たちはいなくなった…。
また狭いところに独りか…、ごはんは まだだし、お水を飲んで寝よう。
「……あれっ」
いつもならぶつかってしまうのに、隙間があった、しかも… 出られる!
きっと壊れてるんだ よ~し、ここから出て探検だ! …でも。
「……また “ダメ” って 怒られるかなぁ…」
少しだけその隙間から出てみた、けど 人間たちのことを思い出す。
これって 人間たちはイヤがることなのかなぁ…、
あっ、足音だ、人間たちが戻ってきた、ごはんの匂いもする…、
戻らなきゃ、走ってもどった、狭いところから出ていたのを見られたかも。
ほらっ、やっぱそうだ、こっちに来てくれない、しばらく遊んでくれないかも、
やっぱ いけないんだ、怒られるんだ、もしかしたら ごはんもらえないかなぁ。
「ひなた…、おいで ひなた ほらっ ごはんだよ」
ごはんだ…、でも、イタズラしたから やっぱり食べれないんだ、
いつもなら狭いところに入れてくれるのに、人間は近寄って来ない。
だけど、人間は何かを言っている、まただ またあの “ひなた” って言ってる、
“ごはん” は ごはん のことでしよ、えっ~と “おいで” は 何だろう?
ごはん食べていいよって言ってるのかな、
もしかして “おいで” は側に来てってこと? …ここから出ていいの?
どうしよう…、とりあえず 隙間から顔を出してみた…。
「そうだよ ひなた、おいで ひなた、そこから出てもいいんだよ」
怒られた時とは違う とても喜んでるような感じだ、…なんか うれしい。
少しずつ隙間から出て近づいてみた、なんか 人間たちはさらに喜んでる、
どんどん人間の側に近づく また “ひなた” って言ってる。
「偉いぞ ひなた」
「いい子ね ひなた」
スゴく嬉しそうに、人間たちが僕をなでてくれた、
喜んでくれた? ごはん食べていいの? なんか あのときみたいだ、
初めてここに来たとき、お水を飲んだ僕を見て喜んでくれたときみたい、
でも。あのときとは違って、“ひなた ひなた” って言ってる。
もしかして “ひなた” って 僕のこと…? 初めて人間と会話が出来た気がした、
言葉をは伝わらないけど きっとそうだ 僕は “ひなた” なんだ。
ごはんを食べて、人間たちとたくさん遊んで、いつも通り狭いところに戻された、
人間はどこかに行ってしまったけど、隙間から出入りが出来るようになっていた。
でも 全部 好きにしていい訳じゃないみたいだ、…たまに怒られる。
人間たちと一緒にいるには “決まりごと” があるようだ、
それは人間たちが “ダメ” って言ったことはしないこと、
でも 人間たちも 僕が本当に嫌がることは しないでくれるみたいだ。
ここのことを探検していっぱい調べて、なんだか面白いものをいっぱい見つけて、
隙間はどうやらドアだったらしい、仲間たちのところと違ってわからなかった、
……たまにイタズラすると 閉められて出られなくされるけど…。
そういえば、人間たちも大きなドアから出入りをしている、
人間たちは大きいもんな、最初はドアが大きすぎてわからなかったぐらいだ、
手の小さい人間でも 僕よりずっと大きかったし。
人間の出入りするドアの向こうには何があるんだろう…、開けられないけどさ。
人間とは話が出来ないからなぁ、あぁ 人間の言葉が話せたらいいのに…。
でも、本当にここに来てよかった、この人間たちに “かわれて” よかった。
「はっ、お前~ また触ってただろ 禁止って言ったのに」
「かっ 顔は 顔スリスリはしてないよ~」
「はぁ~、まっ いいや、これで帰れるんだから」
「えっ 帰えれる?」
「だって あの ふっかふかのソファーで夢を見たら 帰れるんだろ」
「あぁ… やっぱ 勘違いしてる」
俺はソファーを飛び降りた、けど… 何で? 帰れるんだろ? なんか違うの?
何もないところに行こうとした俺を止めて、鳥みたいなのが頭をかかえている。
「だって言ったろ、あの ふっかふかのソファー で寝たあと あそこに立つと、
えっと…その… 神様? が、 “とうしたいか?” って聞いてくるって」
「そうなんだけど… 言ったでしょ、あそこに立つのは、一番最後、
その夢をみたいなのを “全部” 見終わった 後だって」
「夢なんかどうでもいいだろ、したいことはもう決まってる 早く帰りたいんだ」
「もう なんか話がいろいろと抜けてるし、いい もう一度 聞いて」
まただ、また あのふっかふかのソファーを叩いて アイツが手招きしてる、
あそこで寝ると何故かあの頃の夢をみるから、ちょっとイヤだったんだ…、
イヤだけど 言われたことを ちゃんとしたのに、何が違うって言うんだよ。
「話とか夢とか もうどうだっていいから、早くその “神様” っていうのに…」
「ねぇ 僕の話を聞いて!そう 君は どうやって ここに来たかおぼえてる?」
「どうやってって…、どうせ寝てる間に…」
「じゃ、ここに来る前は何をしてた? おぼえてる?」
「…う~んっと、たしかどっかに行ってて… それから…何か…あったような…」
「何か? 中途半端だね、それではダメなんだ だから思い出してるんだよ」
「別に ダメだからって こんなに前から思い出さなくたって、必要ないだろ」
あれっ、何でアイツ 俺の夢のことを知ってるんだ? やっぱり怪しい…、
それに 最後に何をしていたか? って どうだっていいじゃないか、
どうせ帰ればわかることだろ、とにかくここから出たい 帰りたいんだ。
「大事なんだよ、君の願い その選択を迷えば きっと神様が決めてしまうよ」
「俺のことなのに その 神様 っていうのは 勝手に決めるのか?」
「神様はとてもスゴい方なんだよ 君の本当の気持ちなんか見抜いてしまうよ」
「本当の気持ち?」
「そう 君が本当に望んていることだよ、例えば 今は “帰りたい” でしょ」
「そうだ 帰りたい」
「じゃ もし ここから簡単に帰れるとしたら 帰ることを願う?」
「簡単に…? …でも 帰れないんだろ そう言ったじゃないか」
「そう簡単に帰れないよ、例えば…の話さ、 でも、今 迷ったよね」
「その神様って スゴい方に頼めば 何でも願いが叶うのか?」
「何でもじゃないけど… 君の選択を 本当の願いを 神様は叶えてくれるんだ、
神様は君の知らないことも知ってるからね、…じゃ もう一度 話をしようか」
またアイツが、ふっかふかのソファーに乗るように言っている、
俺はそれにしたがった、ついでに話ながら頭をなでさせてやった、
これで早く眠れるだろう、なんでだろう…やっぱコイツになでられると落ち着く…。
なんの匂いだろう…、人間たちから なんか新しい匂いがするようになった。
「なんだかスゴくいい匂いなんだよな…、なんか思い出すなぁ… 母さん…」
ここを探検しているけど その匂いは 人間から…が 一番強く匂う、
でも 前までそんな匂いはしてなかったのに…なぁ。
片方の人間しかこないことも多かったのに、人間たちが遊びにきてくれた、
久しぶりにそろったんだ いっぱい遊ぼう、ねぇ 何をして遊ぶ?
「…ねぇ どこにいくの?」
大きな手の人間が僕の体を持ち上げた、やっぱ人間に抱えられると高いな、
人間はゆっくりと歩き出す、僕がたくさん探検したところ…って、
ねぇ… そっちに行くと ぶつかっちゃうよ。
あそこには なんかヒラヒラするのがあって 面白いんだよな、
それに その向こうには 何かが見えるんだけど…、その先には進めなかった、
あの狭いところとと同じで 必ず何かにぶつかるんだ。
それに人間たちは ヒラヒラしたので僕が遊ぶのはキライみたいだし、
それで あそこにはあまり行かなくなってたんだけど、
人間は僕を抱えたまま ヒラヒラしたのを手でどけた、そして…。
「えっ? なに? うわっ まぶしいよ」
いつもならぶつかるところが 動いた、人間が簡単に動かしたんだ、
そこは ドアみたいだった、そして ついに その先に
僕は初めて いつもぶつかる その先に 行けた。
人間に抱えられて見えたものは 僕が見たことがないものばかりだった。
「なに ここ… スゴいなんかいっぱいある、ねぇ あれなに?」
「どうだ ひなた 外に出た気分は、おっ、風が吹いてきたな…、」
「えっ なに! なんか なでてくるよ なにこれ!」
「どうだ ひなた 気持ちいいか?」
「えっ 何て言ったの ねぇ これなに?」
「おっと危ない、ちょっとびっくりさせちゃったかな」
「ホンとだ 大丈夫だよ 怖くないよ ひなた」
なんだか目に見えない、人間じゃない “なにか” になでられた、
思わずその変なのから離れようとして人間の手の中でバタバタしてしまった、
小さい手の人間が 僕をなでながら “大丈夫” って 言っているみたい、
覚えたよ “大丈夫” って痛いことはないんだよね、なでる手がとても優しい。
「落ち着いたかな、今日は庭を一回りするだけにしようか」
「そうね…、初めてのお散歩 早く出来るといいね ひなた」
「ひなたが 外を気に入るといいな、そしたら いっぱい走ろうな」
「ねぇ あの子たちには いつ会わせる?」
「あの子たちもだけど、まずは ひなたにも強くなってもらわないと…だよな…」
「ねぇ、これからどこかにいくの?」
人間たちが話してる、僕が話しかけても聞いてない みたいだ、
僕を見ないで頭をなでてる、何を話しているんだろう…、わかればいいのに、
僕も人間の言葉を話せれば、この人間たちに大好きってたくさん言えるのに…。
それから、人間たちとの暮らしは、狭いところを探検するだけから、
少しずつ遠くへ、僕が行くことが出来なかったところへ行けるようになった、
それを人間は “さんぽ” って言ってることを しばらくしてからおぼえた。
少しずつ 人間の言っていることをおぼえて、人間に伝わってるって知らせる、
そうすると人間たちは嬉しそうにして、僕も会話が出来てるみたいで嬉しくて、
でも、わからないこと、伝わらないことの方が多いのが 少しさみしくて…、
僕はもっといっぱい人間と話したい、仲間たちと話すみたいに話したい、
でも… 出来ない。
「あの子たちもだけど ひなたもあの子たちを気に入ってくれるかな…」
「ひなたは あの子たちの 弟 になるんだもんな 大丈夫だよな」
「大丈夫? 僕 今は痛いことはないよ?」
初めて狭いところとから出て “さんぽ” に出たときから 何回 眠ったかな、
また人間たちが遊びにきた、人間たちは何を話しているんだろう、
ほとんどわからない…、何かを話ながら僕をなでると、人間は僕を抱き上げた、
それから人間たちが出入りしているドアから出た、これは… 初めてだ。
「ここが人間たちの住みかなの? 広いんだね~、スゴいね」
「ひなた 楽しそうだな そういえば こっちにくるのは初めてだもんな」
「ねぇ あれはなに? あれは? ……んっ… この匂いは…」
「んっ どうした ひなた?」
あの匂いだ なんだか最近 匂いだした あの匂い…、いつもより強い。
どこから匂うんだ? 人間から いや 別のところ? どんどん強くなってる…、
これって近づいてる? 人間が匂いのところに向かってるんじゃないかなぁ…。
僕が初めて来たところだから いろいろと探検したかったのに、
人間は僕を抱えたまま どんどん進んでいく、人間の高さから見えるのは、
僕がたくさん探検した住みかの回りに似てるけど、どこかちょっと違って。
スゴく広いから、きっと 匂いをたどらないと 自分の 寝床 まで戻れない、
そんなこと思ってたら…、人間は歩くのをやめて 僕を下に降ろした。
床に立って辺りを見回してみた、やっぱ広い 僕のいたとこよりスゴく広い、
それに 僕のすみかの回りにはないものが いろんなものがたくさんある。
それじゃ ここは 人間たちと新しく遊ぶところななんだろう、
じゃ さっそく探検だ…って思ってたのに、すぐに狭いところに入れられた、
ここに来たときぐらいの狭いところ、真っ暗じゃないだけ…いいけど…さ。
んっ? まただ、 また “あの匂い” が強くなった。
なんだろう、狭いところにに入れられてわりとすぐに あの匂いが強くなった、
母さんを思い出すあの匂い…、匂いのする方を探して鼻を向けてみた、
出られないけど匂いは嗅げる、なんでだろう 今までの中でも一番強く匂う。
「ひなた おいで…」
大きな人間の声がした 僕を呼んでる、声の方に向くと人間の手が見えた。
そこから顔を出すと人間が頭をなでできた、そして…。
「あのね ひなた、ひなたに会ってほしい人がいるんだ」
「ねぇ、これからさんぽにいくの? それとも遊んでくれるの?」
人間が僕のことを呼んだ、なんて言ったんだろう…、それ以外わからない、
また僕を抱えて歩き出す、でも いつものように遊んでくれるんじゃないようだ、
近くに小さい手の人間がいたらしい、抱えられた僕をなでできた。
「ひなた 仲良くしてあげてね」
「さあ 初対面だ」
「ねぇ、何を言っているの? どうしたらいいの?」
大きな手の人間は僕を床に降ろした、座ったんだね 人間の顔が近い、
僕の頭をなでると それから僕が後ろを向くように体を軽く動かした。
「なっ、なんだよ お前ら!」
びっくりして 思わず大きな声を出してしまった。
そこには、見たことがないほど小さい スゴく小さい人間? たちがいた。
「なんだよ、おっ お前、俺とケンカしようって言うのか!
この人間たちには近寄るな、近寄ってみろ 許さないぞ!」
精一杯 強がってみた だけど、しっぽがどんどん下がってしまう、
でも 逃げないぞ 僕が人間たちを守らなきゃ。
大きな手の人間は しっかりと僕にしがみついてるようだ、手に力が入っている、
えっ? 小さい手の人間がスゴく小さい人間たちの側に近づいていった…。
「ダメだよ、戻ってきて」
「ひなた 大丈夫だよ 怖くないよ」
小さい手の人間は スゴく小さい人間たちの側に行って座った。
えっ 笑っているの なんで? えっ 大丈夫? 今 大丈夫っていったの?
「…ねぇ コイツたち なんなの なんでここにいるの?」
人間が大丈夫って言ってるから、すぐに何かが起きるわけではないよね、
だけど コイツらが何かしたら 僕が 人間たちを守らなきゃ。
小さい手の人間が スゴく小さい人間に近づいたから わかったんだけど、
たぶんコイツらは 人間たちが抱き抱えることができるぐらいの大きさだ、
でも僕の方が大きいよな、そうだよ大きい、だから僕の方が強い、きっと強い、
だから ちゃんと人間たちを守れる、僕には出来るはず…だ。
「ひなた… なんか ご機嫌ナナメだね 怒っちゃたかな、今日はやめようか…
ひなたは この子たちのこと 好きになってくれないのかなぁ…」
「そんなことないさ 初めて見るからビックリしてるだけだろう、
なぁ ひなた、 ほらっ ひなたのお兄ちゃんたちだぞ~」
「だっ 大丈夫だよ 僕の後ろに下がっていいよ」
人間たちが何かを話してる、小さい手の人間はちょっと泣き出しそうに見えた、
ほらっ やっぱり 僕が頑張らないと、あっ~こんなときに 上がれしっぽ!
「ひなた そっちに行かせてみるよ、ちょっとそこで様子を見てて」
「うん、わかった」
「えっ」
大きな手の人間が僕から手を離した、やっぱり怖かったんだね、
いいよ そのまま待ってて、今すぐ小さい手の人間を助けてくるから、
きっと僕を守ろうとしてくれたんだね、大丈夫 君たちは僕が守るよ。
なんだよ、やる気があるのか? スゴく小さい人間たちは ただ座ってる、
でも、ただ座っているだけなのに、こいつら なんだかグラグラして…、
今から戦おうっていうときに、もしかして 座ってるだけでやっとなのか?
「わっ!」
ちょっとびっくりした、スゴく小さい人間の片方が 倒れそうになったんだ、
でも 側にいた小さい手の人間が倒れないように手を出して ささえた、
えっ、怖いんじゃなくて 実は仲良しなの? ………あれっ。
「…この匂いだ 人間からしてたのは このスゴく小さい人間の匂いだったんだ」
そう言えば ここに来たときは たくさんこの匂いがしてたんだっけ、
見たことがないものがたくさんあったし、突然 スゴく小さい人間が現れたから、
しっかり匂いを調べてなかったんだ。
結局 コイツらは自分では座っていられなかったらしい、
僕のところにもある もふもふみたいの の上に横になったようだ、
小さい手の人間が スゴく小さい人間に笑いかけている、
小さい手の人間が手をかすほどの仲良しなら 本当に大丈夫…なんだよな。
「何もしないなら 仲良くしてやってもいいぞ」
ゆっくりと スゴく小さい人間に近づいてみた。
「だらしないな ちゃんと座るぐらい出来ないと 自分も守れないぞ」
ちょうどスゴく小さい人間たちの間に入るようにして 僕は体を伏せた、
挟まれるなんて危ないことは 本当はしない方がいいんだけど、
なんでだろう なんとなく 大丈夫な気がしたんだ。
「わっ なにを…、 …でも まぁ… いいか」
スゴく小さい人間たちの間で伏せていた僕の 僕の手をつかもうとしたんだ、
それぞれ近い手をつかんだのに まるで決めていたようにほとんど同時だった。
「仕方ないな、お前らも俺が守ってやるよ、これからはお前らは俺の子分に…、
いや、これからは 俺がお前らの 兄ちゃん になってやるからな 安心しろ」
スゴく小さい人間たちは 僕の手をさわりながら 笑ってた
なんだが スゴく楽しそうに、笑ってたなんだろう これっ スゴくいいな…、
スゴく小さい手の人間に なんか頼られてるみたいだ、なんか楽しい。
あれっ? さっき動かなかったのに、あれだけ上がらなかったのに…、
僕のしっほが 勝手に上がって 嬉しそうに大きく動きだしていた。
僕たちは 僕と手と小さい人間の手をつなぐことにより 一列につながった、
そして 僕は このスゴく小さい人間たちの 兄ちゃん になった。
「いい夢は見られた? なんだか楽しそうだったね…」
「…お前、 また 顔スリスリしてたろ…」
「しっ、してない してないよ、ただ 撫でてただけだよ」
「それもって… はぁ~ また 途中で寝てしまったんだよな、
まだ ダメなのか…、あとどのくらいだ?」
「ちょっとは もう一度 話を聞く気にはなってくれたんだね」
鳥みたいなのが なんだか言い訳をしていたようだけど、まぁ いいや、
やっぱり 眠っただけだと帰れないんだな、“最後まで” って言ってたけど
いったい どこが最後なんだろう、なんとか 早く帰れる方法はないのか?
さっき 鳥みたいなのが言ってたことを思い出していた。
「あのね スゴ~く 言いにくいんだけど
その “鳥みたいなの” って呼び方、そろそろ変えない?」
「なんでそれを… 俺 声に出してないハズだぞ」
「それを含めて説明するよ、…早く終わらせたいんでしょ 寝ないで聞いてね」
俺 コイツのこと声に出してたかなぁ 出してないとハズ…、うん そうだ、
やっぱ コイツ 怪しい…、怪しいけど…、なんか…怒れないだよな。
さっきから自分でも言ってるくせに ちょっとだけど、俺が帰りたいって言うと、
寂しそうな顔を するんだよな。
「じゃ、これからお前のことは “お前” て呼ぶ それでいいな」
「相変わらず上からだね…、君は知らない? 僕はね “天使” だよ」




