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クロスソウル・シンフォニア  作者: 夜鷹
異世界召喚編
2/4

第一話 召喚と出会い


 どうしてこうなった。

 というか、ここはどこだよ。


 目覚めると俺は、洞窟の真ん中に1人寝ていた。

 周りにはいくつもの色に輝く岩がいくつかあるだけで他には何もなく、どこまでも暗闇が続いていた。


(ここにいてもやることはないな。)


 そう思った俺は、とりあえず壁伝いに進んでみることにした。


 え、なんでこんなことになってるかって?


 そんなの俺が知りたいよ。


 でもこれまでの経緯なら話せるから暇つぶしに語るとしようかな。


 って俺、誰に話しかけてるんだろう・・・。




 遡ること約2時間前、場所は日本。


 え、なんで時間が分かるのかって?


 俺はいつも腕時計をしていたからな。

最後に時間を見てからいまの時間が2時間ぐらいしかたっていなかったのさ。

 日付も書かれているから、日にちが変わっているわけでは無いと思う。


 おっと話が逸れかけたな。進めるぞ。


 俺は日本では普通の高校生だった。

 普通の家庭で普通の生活を送り、普通の青春を送っていた。

 ちなみに今は幼馴染の女の子と一緒に高校から帰宅している途中だ。


 今思い出したが、俺の自己紹介をしてなかったな。

 では聴いてもらうとしよう。


 俺の名前は 神城唯人(かみしろゆいと)

 高校2年生。 生徒会の副会長をしている。

 身長体重平均的、運動神経も普通。

 学力には少し自信がある。

 趣味は読書とゲーム。

 本を読むことは昔から好きで、自分の知らない新しい知識を知ることはとても嬉しくて楽しい。

 おかげで学校の試験でも上位に入ることができ、その学力があって生徒会の副会長にもなれたので本には感謝だ。


 そんなことを心の中で語っていると、横を歩いている幼馴染から声をかけられた。


「唯人君、今日もお疲れ様。」


 彼女の名前は、相模凉葉(さがみ すずは)

 俺と同じ高校2年生。

 そして我らが生徒会の会長様だ。

 成績優秀、眉目秀麗、運動神経抜群と火の打ちどころのない彼女はスクールカーストの最高到達点だと言ってもおかしくはないだろう。

 

 そんな彼女がモテないはずもなく、学年を超えて人気があり、この間も3年生の先輩と1年生の後輩からダブル告白されるという学年サンドイッチを食らっていたくらいだ。

 

 凉葉は生徒達はもちろん教師達からの信頼も厚いため、生徒会長をやらないかと直々にオファーされていた。

 断りきれず結果的に生徒会長を引き受けたのだが、楽しそうにしているので良かったと思う。

 

 ちなみに俺が副会長をしているのも凉葉がきっかけだった。

 生徒会長は選挙で決まるのだが、それ以外の役員は会長が決めることになっている。

 その方が会長としても仕事がしやすいだろうということなのだが、書記や会計などは凉葉の周りにいる友人達がで決まったが副会長だけがまだ空席だった。

 副会長の主な仕事は、

 ・会長補佐

 ・会長代理

 ・各委員長への通達

 など重要な役が多い。

 そのため会長はもっとも信頼を寄せる者選ぶ。

 

 今まで選ばれた人たちは、男女どちらであっても特に問題はなかった。

 

 だが今回は違う。


 そう、もう分かっていると思うが選ばれたのは・・・


 俺だった。


 そのため女子生徒達からはキラキラした目を向けられたが、男子生徒達から面白くないと言ったような目で見られることが多かった。

 

 そのことと仕事で疲れていた俺は凉葉からよく心配されていた。


「最近疲れてるんじゃない?大丈夫?」


「大丈夫だよ。仕事とストレスがやばいだけ。」


「相当疲れてるんじゃない!」


「大丈夫だって。心配かけて悪かったな。」


 そんな感じでいつものように帰路についていた。

 そんな時にそれは起こった。


 俺達の横に謎の光が発生したのだ。

 そして足下には魔法陣のようなものが広がっていた。


「なんだこれ!」


こんなのゲームやマンガでしか見たことないぞ!

  

「唯人君!ここから出ないと危ないと思う!」

 

「分かった!クソ、出られない!」

 

透明な壁に魔法陣の外への脱出を阻まれる。


「そんな!いったいどうしたら!」



《規定値量の魔力を確認、勇者召喚を開始します》


(なんだ、頭の中に響く・・・)


 その瞬間俺たちを謎の光は包んでいき、何も見えなくなった。


「凉葉!」


「唯人君ーー!」


 そして謎の睡魔に襲われ、俺は眠りに落ちた。





 はい、回想終了。

 というわけで今に至るのだが、目覚めた時にここにいたのは俺1人だった。それに持っていたはずの鞄も無くなっていた。

 道具はほとんど持っておらず、持っているのはさっき言った腕時計とポケットに入っていたスマートフォンだけだ。

 これが残っていたのはある意味ラッキーだったかもしれない。

 色々と役に立ちそうだ。 

 もちろん電波なんてないからネットとかは無理だけど。


 俺はスマートフォン片手に探索を続けた。

 歩いて行くといくつもの分かれ道があった。

 どちらが正しいのか全く分からないので、とりあえず大きい方の道を選んで進んでいた。


「だいぶ歩いたけどなんもないな。」


 独り言を呟いたとき、遠くで何か音がしたように感じた。

 耳を澄ましてよく聴いてみるとそれは水が落ちる音だった。


「水があるのか!これで水の確保が出来る!」


 音がした方へ走った。たどり着いた先に待っていたのは大きな泉に大きな水晶。泉の周りには今まで見てきたものとは比べものにならないほど大きな輝く岩だった。

 そこはとても神秘的で俺はしばらくの間、その光景を見つめていた。


「この水透き通ってるけど飲めるのか?」


 見た目的には大丈夫そうだったので、勇気を出して舐めてみた。

 しばらくしても何も起きなかったので大丈夫なのだろう。


 (この後どうしよう・・・)


 そう考えていた時だった。

 微かだが地面が揺れているのことに気付いた。


「なんだ、この地震。どんどん大きくなっている。」

 

 そう、揺れは明らかに大きくなっていたのだ。

 何かが近づいているかのように。

 そう感じた時には遅かった。

 背後に何か感じる。

 そう思った俺は振り向くと暗闇の中に何か光っていた。

 暗闇の中に赤く光る丸が2つ。


 (やばい、逃げなきゃ!)


 そう思い、右足を後ろに下げる。

 その時、やつは1秒とかからず目の前に現れた。

 俺は驚き、体制を崩して尻もちをついて倒れた。

 顔を上げた俺が見たのは、背中に大きなトゲとあるカンガルーのような化け物と2本の人の腕が大量の血液を吹き出しながら宙を待っているところだった。

 やつはそれを両手で拾い上げ、ムシャムシャと食らい始めた。

 

 この状況を理解するまで時間がかかった。


 (あいつすげー勢いで食ってるわ。)


 (ああ、なんか腕が熱くなってきた。)


 (クソ!立ちたいのに全然立てない。)

 

 そして俺は正気を戻し、今置かれている現状に気づく。


「あ、ああ、ああーーーーーーーーーー!」


「腕が!俺の腕がーーーーー!」


「痛い!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」


「痛いーーーーーーーーーーーーーーー!」


 やつは容赦なく近づいてくる。

 俺には、泣き叫ぶことしかできなかった。


「たす・・け・・て・・・。助けて。助けてくれーーーーー!」


 そう叫んだ瞬間、何もなかったはずの天井から光が差し込み、俺を包んだ。

 

 叫ぶことも忘れ、ただその光を見つめた。

 その光は次第に強くなり、俺は眩しくて目を閉じた。

 少しして目を開けると目の前には、金髪金眼の美しい少女が立っていた。

 白い純白のワンピースを着ており、サラサラのロングヘアーは透き通るように美しかった。


 少女はこちらを振り向くと優しい笑顔で話しかけてきた。


「やっと見つけたのじゃ。我の眷属、我の息子。大丈夫かのぅ?まぁ見たらわかるのだが、大丈夫ではないの。どれ、我が治してやるのじゃ!」


 少女はそういうと、右の人差し指を噛み、血液を取り出すとそれを口に含み、俺に近づいてきた。

 そのまま流れるように自分の唇を俺の唇へと運び、触れさせた。

 俺は戸惑いを隠せずに目を丸くする。

 その瞬間、口の中に熱い液体が流れ込んできた。

 その血液を反射的に飲み干すと、両腕の痛みはたちまち消え始め、失ったはずの腕はみるみるうちに生えてきた。

 

「君は・・・いったい・・・。」


「説明はあとじゃ。まずはそこにおる魔物を処理するのが先じゃ。」


 そう言うと少女は魔物の方へと振り向き、話しかけた。


「貴様、あの人間は我のものじゃ!貴様のような雑魚が触れていいものではない!」


「グラーー!」


「なんじゃと!この我に向かってなんだその態度は!もう許さん!我の名を知って恐怖せい!」


「我が名は《シルファ=フォン=ラウドラ》。ヴァンパイアの中で最強にして最高の種族、


孤高の吸血鬼(ヴァンパイア=ソリタリー)


であり、


《九大魔神ノイン・ディアティッシュ》


の1人じゃ!」


 っと、見た目とは裏腹に天真爛漫で、口調は古風で少し強めのその少女は、自慢げな顔をその魔物へと向ける。


「今更命乞いしても遅いのじゃ!食らうがいい!これが我が世界最高のヴァンパイアと言われるが所以じゃ!

炎球火柱フレイム・ストリーム!」


 前に突き出された少女の右手から小さい炎の球が放たれ、真っ直ぐ魔物へと飛んでいく。

 それは着弾と同時に巨大な炎の柱を作り上げた。

 そしてそこにいた魔物は跡形をなく燃えていき、最後には全て灰になってしまった。


「どうじゃ見たか!これが我の力じゃ!最弱魔法を使ってもこの威力、恐れ入ったか!ま、もう死んでおるから見れんがの!はっはっはーー!」


 と、高々に笑う少女。


 俺はその光景をただ見つめていた。


 すると少女は思い出したように、


「おう、忘れとった。おい、お主大丈夫かの?」


「あ、はい、大丈夫ですけど。」


「なら良かったのじゃ!」


 そう言うと少女は俺に近づき頭を優しく撫でた。

 その瞬間俺は安心したのか気が抜けたのか、突然力が入らなくなり、倒れ込んでしまった。


「おい!本当に大丈夫か⁈」


「ああ、大・・丈夫・・・だ・・・。」


そのまま強烈な睡魔に襲われ眠ってしまった。



これが俺と彼女の運命の出会いだった。



_______________ __________ _____________


現在のステータス


神城唯人 (かみしろ ゆいと)

種族:人間 (ヒューマノイド)

加護:なし

称号:なし

スキル:なし


相模凉葉 (さがみ すずは)

種族:人間 (ヒューマノイド)

加護:なし

称号:なし

スキル:なし


シルファ=フォン=ラウドラ

種族:孤高の吸血鬼(ヴァンパイア=ソリタリー)

加護:魔神の微笑み、孤高の力

称号:世界最高の吸血鬼、孤高の存在、九神仲間ノインメンバーズ

スキル:不明

 


 

今回も読んでいただきありがとうございました。前書きにも書きましたが、遅くなってすいません!やっと投稿できました。今回は主人公と運命の人?運命の魔物?との出会いを書きましたが、シルファの強さは伝わりましたでしょうか?今回はここまででしたが次回は別れてしまった凉葉のストーリーと唯人の続きを書く予定です。少しでも楽しみにしていただけたら嬉しいです。それではまた次回お会いしましょう!

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