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1章 -8- 俺はいつだって前向きさ!

南雲さんのヒロイン活動つづき

ちょいエロのつもりです。

 静かな部屋の中、お互いの呼吸の音だけが聞こえる。

 時折動く南雲の身体に意識が集中してしまう。

 あのままだと南雲は意地でも床で寝そうだったので妙案だと思ったのだが、なんなんだよ抱き枕の刑って。

 南雲と二人、ベッドの中で俺は早くも後悔していた。

「……ありがと、古川。あんた、ホントいいヤツだね」

 南雲が、前に回っている俺の手に触れながら、ぼそりと言った。

 俺が南雲を床で寝かせないように考えた案だと察したのか、意外と気付くギャルだな。

「別に良いヤツなんかじゃないよ、俺は。お前が寝たあとフルボッコにする予定だ」

 本当に俺は良いヤツなんかじゃない。

 今目の前にある欲望に必死に耐えているところだ。

 言い忘れていたが俺は巨乳好きだ。そして南雲のそれは極めて豊満だ。

 グラビアアイドルが泣いて逃げ出すナイスバディは校内の男子の視線を釘付けにして離さなかった。そんな代物が今、俺の腕の中にある。

 抱き枕は失敗だった。添い寝の刑とかにしておけばよかった。

 肺いっぱいに広がる南雲の香り。目の前に見える南雲のうなじ。そして異世界という謎の空間、俺たち二人だけの部屋。異質な雰囲気過ぎて頭が理性がどうにかなりそうだ。

 役得なんて甘いもんじゃない。これでは生殺しだ。

 マジでヤバイ。

「ふふ、そうなんだ。じゃあ、さっさと寝るわね」

 向こうを向いている南雲の表情は見えないが、笑ったように聞こえた。

 自分の本能を押さえ込むのに必死で南雲の考えてることまで考えられない。

「ねえ古川。さっきも言ったけど、アタシのこと、好きにしていいからね」

 ズッキューーーーーン

 謎の効果音が脳内に響いた気がする。

 もうこれあれだ。終わった。試合終了。もう、ゴールしてもいいよね。

「あのー。南雲サン」

「?」

 こうなったらもう知らん。格好悪くてもみっともなくても俺はいい!

 恥も外聞もなくお願いしてみよう。

 お願いしてみた。

「いいよ……」

 その甘い返答は、一番最初の「好きにしていいよ」の暗いトーンとは違った気がする。

 気がするだけかもしれないが。

「んっ」

 結論から言おう、俺の抱き枕、最高です。



 朝、俺は両手を眺めながら呆然としていた。

 この掌に残る幸せの感触。

 何あの天にも昇れそうな柔らかな感触。

 ぶっちゃけ一睡も出来なかった。

「ん……、朝?」

 横で寝ていた南雲が置きだしてきた。

「お、おう」

「あ、お、おはよ……」

 最初寝ぼけていそうだった南雲だが、俺をみてすぐ覚醒した。

 恥ずかしそうに目をそらしている。なんか可愛い。

 気の強そうなギャルがやるとギャップだよね。

 とか思ってしまう。

「あんた、目真っ赤じゃない。寝れなかったの?」

 南雲が気付いて聞いてきた。お前はすっきり寝れましたって感じだなこの野郎。

 人の気も知らないで、横であんなにすやすや寝やがって。

「お前みたいなビッチと違って、俺みたいな童貞には刺激が強すぎたんだよ!」

 思わず童貞宣言してしまった。

「ビッ!? ……あ、アタシだってケイケンないわよ!」

「え?」

 南雲は顔を真っ赤にしてこちらを睨んでいる。

「いやいや、あの余裕の爆睡モードは?」

「それは……、その、なんか安心しちゃって……」

 俺に乳もまれながら?

 それはそれでなんか尊いな。うん。尊い。

 昨晩、俺の理性の崩壊と供に始まったハッピータイムだが、南雲は途中ですぐに寝息を立て始めたのだ。

 しかもこっそり覗き込んだ寝顔は非常に安らかだった。

 まあ、数日間熱帯夜を床で寝ていて疲れが溜まっていたり、悩みで寝付けなかったのであろうが、爆睡だった。

 寝ているところを好きにする気になれず、それ以上はお手上げだった。

 だが、今目の前にいる美ギャルのたわわな果実は確かに俺の手の中にあったのだ。

 思わず感触を思い出してしまう。

『スケベ』

『まあ、悠太もお年頃ですから……』

 脳内に響く声。

 今更ながらに思い出す。俺の中にはミズキやカグラがいたのだった。

 つまり昨晩の成り行きも……

『まあ、わたしは見守っていくヨ。面白いシ』

 ミザリーも。

 急に恥ずかしくなってきた。

 というか考えると日本にいたころのあれやこれやも全部見られているわけで……

 そこまで考えると、逆に落ち着いた。

(男だから仕方ない)

『さすが悠太ね。どこまでも前向き(バカ)ね』

 ミズキが謎の納得をしている。バカとは失礼な。

 まあ、いいだろう。

 掌に残る幸せの感触に免じて、自分の恥全てを許すことにした。

こういうの、ちょいちょい書いていきたいです。

そろそろ次の転換へ。

まだまだ続きます。

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