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1章 -5- 人間と初遭遇……?

他にも銀輪。作品あります。毛色は違いますが、良ければ読んでみてください。

ここから少しろくでもない感じが出てきます。

 そんなこんなで夕食をとっていると、エルフの皆さんが騒がしくなってきた。

「どうしたんだ?」

「?」

 南雲は口いっぱいにほおばった肉でしゃべれないようだ。食べ方もおしとやかとは言えないやつだな。

 おしとやかどころか、ライオンみたいにでかい肉にかぶりついて食っていた。

 やっぱりギャルって肉食獣なのだろうか。

『何かが迫ってきているみたいだネ』

 ミザリーがエルフの言葉を通訳してくれた。

 何かって何だよ。また大猪だろうか?

「俺たちも行ってみよう」



 エルフが走る方向へ俺たちも向かった。

「#$#%#!!」

 エルフ達が何かを言っている。武器を持ち、村の端へ集まっている。

『人間たちが攻めてくる、だってサ』

(人間?)

 どうやら俺たちが最初警戒されたのも、この人間とエルフの確執のせいらしい。

 エルフ達は遠視の魔法で警戒をしていたようで、かなり離れた位置から補足していたようだ。

 ようやく物音が聞こえ始めた。

 しかしなぜこのタイミングで……

『あの壊れた塔が人払いの結界の要だったみたいネ。しかも煙が上がったから遠くから見つかったんじゃないかナ』

 なるほど、これは俺のせいなのか。

 となれば俺も何か手伝わなければ。

「相手が人間だって言うなら、俺が仲介役になれればいいんだけど」

 言葉が通じるかは分からないが、相手が人間なら話し合いの余地はあるだろう。

 この世界に来てついに始めての人間との遭遇だ。

 緊張しながら訪問者の到来を待つ。



「ひゃっはー!! エルフがいっぱいいるぜー!!」

「ひゃっひゃっひゃ! エルフの女をさらえええ!!!」

 期待して待った結果がこれだよ。

 めっちゃ日本語が聞こえる。てか何この世紀末感。

 森の中から現れたのはガラの悪い男たちだった。5人の男たちは、全員屈強なやつばかりだ。総じてガラが悪い。

 というか、あのトゲトゲの服装どうにかならないのだろうか。パンクでロックな人たちではなさそうだが。

男たちはエルフたちを見てニタニタ笑っている。舌なめずりしているやつまでいる。マジでとある世紀末にバイクを乗り回しているやつらを連想してしまう。

「%$#$#!!」

 そんな男たちへエルフ達は迷いも遠慮も警告もなく矢を放った。

 俺もそれでいいと思う。

 この状況と比べれば、自分たちの時はまだ丁寧な対応をしてくれていたようだ。

「へっ、そんな攻撃が効くかよ!」

 ひときわ屈強そうなのが飛び出してきた。

 飛び交う弓矢を掴み取り、払いのけながらもものすごいスピードで前へ出る。

「おらぁ!」

 前衛で盾を構えていたエルフの男たちを盾ごと吹き飛ばした。

(なんつー力だ!?)

 人間業じゃない。

『転世時になにか力をもらったんじゃない?』

 そうだった。転世者は何かしらの力を与えられるのだ。

 日本語をしゃべってるし、まず間違いなく転世者だろう。

 つまり、気を抜いていると危ないということか。

「俺様に勝てると思ったかぁ!!」

 わっはっはっはっはと偉そうに笑っている。

 ムキムキの筋肉が、笑うたびに動いていて服が張り裂けそうだ。

「俺たちも混ぜろよ!」

 他の4人も動き始めた。年齢もばらばらだが、全員日本人のようだ。

 各自ものすごい動きでエルフを翻弄し、蹴散らしていく。

 エルフの男たちはことごとく吹き飛ばされていき、陣営が崩れ始めていた。

 幸い全て体当たりなどの物理攻撃で、死に至っているエルフはいないようだ。

「%#“#”$―――!」

「ひゃっひゃっひゃ! 上物ゲットだぜぇ!」

「こっちもゲットだあ!」

 エルフの女性の悲鳴と供に、下卑た声が聞こえた。

 見ると弓を構えていたエルフの女性達が男に捕まっていた。確かにどっちもすごい美人。俺も捕まえたいな……

「そうじゃねぇ! てめぇ離せぇ!」

 思わず叫んでいた。自分へのツッコミも漏れてしまったが。

「ああん?」

 男どもの視線がこちらに集まった。

「おお、日本人がいるぜぇ! しかも上物JK!」

 正確には俺の後ろを見ていた。

「ひっ」

 どいつもこいつもニタニタと嫌な表情をしている。南雲が引きつった声を上げた。

「へっへっへ。言葉が通じなくて大変だっただろう。俺たちが守ってやるからこっちへおいでぇ」

気味の悪い猫なで声で呼びかけてくる。俺のことは気に留めていないご様子。この野郎どもめ。

 エルフの女を捕まえてない男たちが俺たちに近寄ってくる。

「ちょっ、怖いんですけど……」

 俺の後ろで南雲が引いている。確かにこいつら気持ち悪い。

 しかも大猪とかエルフとかじゃなく、日本人の変質者というギリ想像できてしまうレベルなのが余計に嫌悪感を書き立てる。

「お前らなにやってんだよ?」

 意を決して話しかけてみた。

「ああ? そらぁこの自由に生きられる世界を謳歌してるに決まってんだろ」

 何バカなこと言ってんだといわんばかりの言い草だ。

「どうゆうことだよ」

「自由にできる力を手にしたんだから好きにするのが当たり前だろ」

「……そういうことかよ」

 クズだな。

 だが一理ある。

「確かに。力を得たなら好きにするのが当たり前か」

 ここには法律も警察もない。探したらあるのかも知れないが。

 今はエルフの森の中だ。エルフも武器を持って戦っているくらいだから、正義があれば力に頼ることは悪いことではないのだろう。こいつらに正義はなさそうだが。

「なんだい兄ちゃん。話しが分かるなら俺たちと来るか? 俺は男もいけるクチなんだぜ」

 思わずぞっとした。何だよいけるクチって。

「ごめんこうむるね。俺は破壊者であり救世主、古川悠太様だからな」

「何言ってんだ?」

(勝てるのか?)

『大丈夫大丈夫』

 一応確認を取ってから威張ることにする。

「痛い思いをしたくなければ、大人しく降参するんだな」

「何言ってやがる。バカじゃねぇのか?」

 お前に言われたくない。

「いいからそのJKをこっちによこせよ」

 一人が強引に近づいてきた。

 南雲が俺の背中のシャツを掴む。

 うむ。この感じやっぱ萌えるね。あ、燃えるシチュでもあるな。

「こいつは俺のドレイなんでね。勝手に連れて行ってもらっちゃ困るんだよ」

 とりあえず格好つけて言ってみる。

 ついでに俺の横を通り過ぎようとした男の肩に手を置き、止める。

「うっせぇ!」

 それにいら立った男が腕を振った。

 そのまま俺の顔に裏拳を叩き込んできた。

「なっ!?」

 この声は俺ではない。殴りかかってきた男のものだ。

 その拳は俺の顔の10cm手前で見えない何かに阻まれていた。

「なんだこりゃぁ!」

 男は焦っている。

 俺も焦っていた。

 マジで痛いかと思った。自動で防御できるなら最初から言っておいて欲しい。

『前回弓矢も防いでいましたが』

(確かに)

 内心冷や汗ダラダラだったが、表向き余裕を崩さない。

 そこはダークマスターを語って妄想イメージトレーニングを続けていた中二病の能力だ。

「俺に攻撃が当たるとでも思ったのか?」

「くっ!?」

 あわてて飛び下がる男。

 同時に俺の背中に寄り添う南雲。俺の近くにいれば安心だと思ったのか。

 背中に触れる二つの膨らみに、俺の理性も危険極まりないのだが。

「古川……」

 助けて……といわんばかりのか弱い声。……やっぱりずるい。

「安心しとけ。なんならもう少しくっついて」

「…………」

 背中の感触が離れた気がする。

 まあ、それはいい。まずは目の前のヤカラの対応だ。

「とりあえずオシオキだな」

(エルフの女の人を傷つけずに男だけ無力化できるか?)

『余裕! アタシがあいつらの体内の水分操ってあげる』

 何それえぐい。

『アタシも実体化していい?』

 ミズキがルンルンで話しかけてくる。謎にヤル気だ。

(俺の魔力には余裕があるのか?)

『ぜんぜん大丈夫よ。さっきたっぷり吸ったじゃない』

 なんなら今からまた吸えばいいとか。

 なるほど。

 俺の納得を待たずに、ミズキが顕現した。

 また20cmくらいなのかと思っていたら違った。

 普通に俺と同じくらいの身長の美女が立っていた。

 やっぱり半透明だが、羽はない。長く青い髪に青色に輝く瞳。誰がどう見ても美人にしか見えないが、その表情はちょっとやんちゃな感じに笑っている。ワンピースのような光る布をまとっている。

「やっと会えたわね!」

 ミズキであろうその美女は、顕現するなり俺に抱きついてきた。

「おおっ!?」

 残念なのは温度も感触もないこと。ぶつかった感覚はあるのだが、具体的な感触が分からないのだ。

「ちぇっ、これでも接触はできないか……」

 残念そうに離れるミズキ。俺もちょっと残念だ。

「な、何あいつ……」

 背後の南雲が驚いている。心なしかまた近づいていて、背中に二つの感触が……。

 今は忘れよう。

「俺の頭の中にいた友達」

「何それ」

「何なんだろな」

 さて、顕現してくれたわけだけど、確かに体内にあったエネルギー的なものが心なし減っている。

 さっきのミザリーの時に比べてよりはっきりと分かった。魔力の残量ってやつはこの感じか?

 とにかくまだまだ余力はありそうで安心。

 そして目の前の顛末に安心。

まだまだ続きます。

なるべく早く更新します。

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