1章 -2- 異世界で初めての出会い(やっべぇぜっ)
異世界ものって世界観書き出すの難しいですね。
楽しんで頂けると幸いです。
感想や評価をぜひお願いします。
森の中を歩いていて気付いたことがある。
とにかく、
「暑い……」
季節が存在するかは謎だが、日本で言う夏のような暑さだ。
学校の制服の夏服で転世していたが、肌に張り付くシャツとズボン。非常に気持ち悪い。
草木を掻き分けながら進んでいるが、流れる汗がぽたぽたと地面に落ちる。
幸い酸素が濃いためか、息切れはしていなかった。
うっそうと生い茂る植物が視界を覆い、見通しは最悪だ。
地図など持っていないし、そもそもここがどこなのかも知らない状態で、当てもなくさ迷う。
「ちょ、ちょっと待ってよ古川!」
少し後ろからやかましいギャルの声が聞こえる。必死に俺を呼び止めようとしている。
可愛げがあれば良いのだが、俺をいじめていた女に呼び止められても嬉しくない。
「どこに向かってるのよ!?」
「知らん」
こっちが知りたいわ。
「とにかく森の中で夜を迎えるのは避けたいから、森を出る」
必要事項だけを伝えて、なるべく会話はしないようにしつつも、早くなり過ぎないように進んでいる。
女子を一人放置していくのも忍びないので、一応南雲がついて来れるペースで進むようにはしているのだ。
しかし、人の気も知らずにこいつはどんどん話しかけてくる。
「何よそれ!? 方向も知らずに進んでるっていうの!?」
暑さのためか南雲もヒステリックになっている。
このままだと、このうるさい声に引かれて何か出てきたりするんだろうか。
その時はこいつを囮にして逃げよう。
そう決心したのだった。
強く決心した矢先。
「ぶおおおおおおおおおおおお!!!!」
猪とは思えない声を出した大猪が目の前にいた。
体長が3mはありそうな猪の化け物みたいなやつ。
「やっべぇぜっ」
攻撃態勢の大猪を前に、どこかの芸人みたいなことを言ってしまった。
「ふ、古川!?」
怯えた南雲が、俺の背中に隠れた。俺を盾にするな。
「お前が大声だすからだろ!?」
「ご、ごめん……」
急に素直に謝られると調子狂うな。こいつ見た目は美人だし、思わず助けたくなってしまう。
気を取り直して、目の前の怪物を見る。
某アニメの神々の森に出没する海を渡ってきたやつみたいな見た目だ。いやもっと禍々しい。
しょっぱなから何でこんなのと遭遇するんだよ!?
普通こういうのは村人とかとの遭遇があって転世後の説明があるのが普通だろっ。
なんで何の導入もなく戦闘に入ってんの。初級魔法も習得してないよ!せめて武器プリーズ。
『追い払うならカグラでいいんじゃない?』
『悠太、いつものあれを』
どれだよ。多すぎてわかんない。
『風靭斬です』
(あ、ああ、あれね)
よく寝る前の妄想や電車の中での暇つぶしに考えていたやつだ。
カグラが風の精霊だというから、風を圧縮して攻撃として放つやつをイメージして遊んでいたのだ。
中学時代は調子に乗って風靭斬とか技名つけてたな。恥ずかしい。
え? それ今やるの?
『イメージはあれで合っています。今は魔力がありますので、それなりに攻撃にはなるかと』
右腕に力を集中し、それを掌から出す感じ。何度もやったことだ。
後はカグラが合わせてくれるとのこと。
(大丈夫なのか?)
『問題ないっしょ』
『思い切って行きましょう』
能天気なミヅキの声と、意外にやる気のカグラ。
まあ、この状況では藁にもすがるというような気分だ。
とにかくやってみるしかなさそうだ。
相変わらず大猪はこちらを睨んだまま、土を蹴り上げ鼻息を荒くしている。
「ど、どうしよう……」
背後の南雲の声が震えていた。
いつものキツイ表情はどこへ行ったのか、泣きそうな顔で俺のシャツを掴んでいる。
うむ。なんと言うか、ギャップに萌えてしまいそうだ。というか萌える。
「大丈夫。俺に任せとけ(キリッ)」
とりあえずなるようになるだろう。
カグラたちを信じることにした。こういう思い切りのよさも俺の美点だと思う。
空気を読んだのか、いいタイミングで大猪が突進してきた。
右腕を突き出し、力が集まるイメージをする。集まった力を右手に送り、その掌を正面に向ける。
右腕の周りを風が舞った気がした。
『いつでもどうぞ』
(OK 風・刃・斬!)
声に出すのは恥ずかしかったので、脳内で叫んでみた。ただし、脳内では絶叫。
その瞬間、突風が吹き荒れた。
「おお……」
思った以上の成果だった。
俺が右手から放った力に呼応し、吹き荒れた突風が大地を抉り、木々をなぎ倒し、突進してきていた大猪を止めるどころか遥か彼方へ吹き飛ばしてしまった。
前方数十メートル先まで森がなくなり道が出来ていた。
初手で成功とは、俺のイメージトレーニング(妄想)は完璧だったようだ。
「中二病なめんなよ」(キリッ)
とりあえずキメてみた。
「あ、あんた何したの?」
一応危機は去ったと判断したのか、少し落ち着いた南雲が聞いてきた。
「風神ごっこ」
「は?」
南雲は放置して考える。
とりあえず身を守ることは出来そうだ。
この感じで行けば、他の精霊の力も使えるかもしれない。
『使えるわよ』
とのことだ。
だとしたら、思ったより安全に森を抜けられるかもしれない。
最悪さっきのを連発して強引に道を作ってもいい。
特に疲れとか感じなかったし、消費エネルギーが少ないのかもしれない。
「さっきのあれ、アタシにもできる?」
「たぶん無理」
まだまだ「ろくでもない」感が足りませんね。
まだまだ続く予定です。
早めに更新していきます。