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1章 -9- やっぱりまずは修行だよね

ちょっと章題変更しました。

閑話が長くなりすぎるので……

 この世界に来てはや一ヶ月が経った。

 初日に捕まえた筋肉バカたちはそれぞれ違った技術を持った職人で。特にケンシロウは大工だったらしく、エルフの村の住宅事情の改善に役立った。

 女神(?)から授かった不屈の肉体を大いに活躍させてもらって、他の4人共々しっかり働いてもらっていた。

 ミズキのプレッシャーからか、男たちは大人しく言うことを聞いてくれている。

 エルフ達は彼らを毛嫌いしていたが、建築技術を学ぶように俺が言うと素直に勉強をしていた。

 これで彼らの生活環境がどんどん改善してくれたらいいのだが。



 村の改善をする一方、俺は山に入り修行をしていた。

 なぜかって?

 魔王を倒す運命を得たわけでも、南雲を誰かにさらわれて取り返しに行くわけでも、借金取りから逃げるためでもない。

 オタクを自称するこの俺が、異世界に来て「修行」をしない訳が無い!

 だってそうだろ?

 どんなマンガでも主人公ってのは修行するものだ。

 強くなるために修行していく話とか大好きだ。

 この世界には甲羅を背負った仙人とか、緑色のシワシワなちっちゃい爺さんとかいないけど、俺の頭の中にはミズキたちがいる。

 彼女たちの力を借りて、自分の力がどこまでなのか試してみたかった。



 結論から言おう。

 俺の妄想はほぼ全て実際に実現可能だった。

 というか妄想だと思ってただけだった訳だし。

 けっこうえぐい。

 細かい調整は精霊たちに任せて、大体は自分の意思どおりに魔法を操れる状態となった。

 精霊たちの種類も多いので、使える属性も多かったのがうれしいポイントだ。

 たった一ヶ月の修行で多くのことができるようになった。

 魔法だけじゃなく、自身の身体を鍛えることも忘れない。武器はひとつに絞っては危険だ。

 危険な状況が来るのかは不明だ。

 こちらの世界の言葉もある程度理解できるようになってきた。

 日中は修行をして休憩中や夜にミザリーとこちらの世界の言葉を練習してた。

 せっかくなので南雲も時々参加させたのだが、ギャルの癖に物覚えはいいようで、案外すんなりとしゃべれるようになっていた。むしろ俺のほうが覚えが悪かったくらいだ。ちょっと悔しい。

 言葉を覚えるごとにエルフたちとのコミュニケーションも取れるようになり、今では自分で日常会話くらいは出来るようになっていた。

 この世界の言葉は大体共通らしい。

 一部の限定されたエリアや種族以外はこの言葉で話しができるらしい。

 つまり、旅に出ても困らないということだ。

 そろそろ冒険ってヤツに行ってみるか。



「あんたいい加減にしなさいよ!?」

 キレる南雲。

 相変わらず怖いやつだ。ギャルの威圧は種族を問わず効果は抜群なようで、同行していたエルフのお兄さんたちもびっくりして固まっている。エルフのお姉さんたちがこんなキレかたをしているのは見たことが無い。彼らにとっては未知の体験なのだろう。

 俺が山の中で修行をしていると、様子を見に来た南雲がキレてきたのだ。解せない。

「昼間いないと思って来てみれば、何してんのよ!」

「何って、修行だけど……」

 こいつは何にキレてるんだ?

「修行って……。あんたバカなの?」

「バカじゃねえよ。中二病なんだよ」

 誰が中二病じゃ! 妄想じゃなかったと判明しただろう。

 まあ、性格とか考え方は変わらないけどね。

 開き直っていると、南雲のマジで怖い視線が飛んできた。

 殺気に攻撃力があれば俺は死んでいそうだ。

 ホントにちびりそう。

「お、お前、なに怒ってんの?」

「別に怒ってないわよ!」

 ええ、キレてらっしゃるんですよね。

 南雲のボルテージは上がったままだ。ギャルのキレ状態って手に負えない。

 というかマジ怖い。

「そもそも、何が修行よ。ただその人たちに攻撃させてただけじゃない」

 その人たちとはエルフの方々だ。

 今日の修行は何をしていたかというと、どこまで防御力があるのか検証をしていたのだ。

 最初は簡単な風魔法からお願いしていたのだが、最後には調子に乗って5人がかりの大魔法で攻撃をお願いしていた。大爆発が起こったので、南雲は爆音を聞きつけて探しに来たのだろう。

 まさに南雲が来た瞬間、今度は10人がかりで攻撃してもらおうとしていたところだった。

 意外と察しの良い南雲は、何をしていたのか大体検討がついたのだろう。

 というかこいつ、俺の性格を若干把握してきたな。

 主に好奇心に弱くて、いろいろ試してみたくなってしまうところとか。

「すごい爆発だったわよ!? ミスったら死んでるわよ!?」

 一応心配してくれているようだ。

 が、キレることは無いんじゃないだろうか。

「人間、アタシが守ってるんだから、悠太が怪我なんてするわけ無いでしょ」

 急にミズキが顕現してきた。

 相変わらず南雲に対して当たりがキツイ。

 しょっぱなから喧嘩腰だ。

「何よ。あんたなんて古川の魔力吸って生きてるヒモのくせに」

 南雲もミズキを敵とみなしているようだ。

 声にトゲしか見当たらない。

 ミズキは一応、日本で言うところの八百万の神様的な存在のハズなのだが。

 まあ、俺も友達みたいなもんだと思っているが。

「うるさいわね。あんただって悠太がいないとその辺で野たれ死んでるわよ」

 ミズキの切り返しに、南雲は一歩も引かない。

 キーっとお互いにらみ合っている。

 女の喧嘩って怖いかも。

 まあ、それはそれとして。エルフの皆さんも困っているし、修行をやめるならもう帰りたい。

「まあまあ、とりあえず落ち着けよ。俺のために争うな」

 キリッ

 とりあえず格好つけて言ってみた。イケメンっぽいよね。この発言。

「別にあんたのためじゃないわよ!」

 こわっ!?

 南雲の視線に射抜かれただけでびくっとしてしまった。

 目が釣り上がり過ぎて逆三角形になっているように見える。

「アタシは悠太のために言ってるわよ~」

 ミズキは調子に乗って俺の肩に腕を回してまとわりついてきた。

 ちょっと能天気なノリになり、少し落ち着いた。

「はいはい。とりあえず帰ろうぜ」

 検証は途中だったが、とりあえず俺の防御力は十分ありそうだ。

 5人がかりの攻撃を受けたとき、まだまだ余裕を感じていた。

 これならある程度まともに戦えるかもしれない。

 何と戦うのかは不明だが。魔王とかいるのかな?

 まだキーキー怒っている南雲をなだめながら、俺たちは村に帰ったのだった。

次章突入!と思いきや、南雲さんの回がもうちょっとだけ続くんじゃよ。

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